あの『コーヒーの科学』の方による文系向けの歴史本と来たら買うしかないと買ったのはいつのころだったっけ? 何はともあれようやく読んだ。
勉強的な意味合い強めで読んだので珈琲が人類に飲まれるようになる頃(前史)から書かれているのはよかったが、やはり自分と関わりのある9章「コーヒーの日本史」あたりから俄然面白くなったのだった。
いくつか気になったところをメモ書き的に。あれだな、こんど年表にしようかせっかくだし。
【コーヒーの歴史に関する本】
『コーヒーの歴史』(マーク・ペンダーグラスト
『コーヒーとコーヒーハウス』(ラルフ・ハトックス』
『コーヒーが廻り世界史が廻る』(臼井隆一郎)
『コーヒーに憑かれた男たち』
- コーヒーの殻の部分だけを煮出す「キシル」という飲み物があるらしい p.68-p.70からまとめ
- イスラーム圏におけるコーヒーハウス=「カフェハネ」。アルコール禁止・男性だけのルールあり。イギリスのコーヒーハウスにも踏襲された。 p.73 からまとめ
"16世紀半ばにオスマン帝国が全盛期を迎える陰で、身分や社会制度への不満から来る厭世観や、政治腐敗による退廃感から人々がスーフィズムに傾倒し、それに付き物であるコーヒーやカフェハネが流行していったのです。円筒形の手回し焙煎機やコーヒーミルなどのコーヒー専用器具も、この時代のイスタンブルで考案されたと言われており"
p.75
"コルシツキーは、ウィーン初のカフェ「青い瓶の下の家(ホフ・ツア・ブラウエン・フラシェ」…略…この逸話から名前を取ったのが、アメリカの「ブルーボトル・コーヒー」(240頁)なのです。"
p.89
"1690年代にはボストンで、ロンドンでも見られた「ニュースとの組み合わせ」を狙ったコーヒーハウスも現れます。1690年にベンジャミン・ハリスという書籍商が開いた「ロンドン・コーヒーハウス」がその最初です。彼は開業と同時に、アメリカ最初の新聞『パプリック・オカレンシズ』を発行したのですが、この新聞が無許可だったため、創刊と同時に逮捕され、発禁になりました。その後1695年には、別の書籍商が「ガターリッジ・コーヒーハウス」を開業し、日本で流行している「本屋とコーヒーショップの組み合わせ」は、このころからアメリカで定番になっていきます。"
p.108
- ブラジル政府が大量の珈琲豆を処分するためにスイスのネスレ社にインスタントコーヒーの開発を頼み完成したのが「ネスカフェ」 p.174から
- 1952年、汎アメリカコーヒー局が消費者離れを食い止めようと宣伝のために作った言葉が「コーヒーブレイク」 p.178
- 銀座にいまもある「カフェー・パウリスタ」は日本コーヒー史の原点 p.194
"「コーヒー自体のおいしさを売りにする専門店」が流行するのは歴史的に見て、とても珍しいことでした。ヨーロッパのコーヒーハウスやカフェはあくまで人の交流ぎ中心で、コーヒーは(エスプレッソを除けば)できるだけまとめて淹れるのが一般的。…略…おそらく、この当時の日本が初めてだったと言っていいのではないでしょうか。」 ”
p.205 純喫茶の話 1970年〜