原田マハは5作品目かな。どれも好きだけどやっぱりアートものが特に好きだよなあと思って購入。
『楽園のキャンバス』や『たゆたえども沈まず』はアーティストが主人公だったけれども、こちらは京都を舞台にした画商まわりのお話。
最近は『京都ぎらい』とか出てその閉鎖性を指摘されてもいるけれど、大森望さんが解説で"大学生には大学生の京都がある"みたいなこと書いていて、そうだよなあ歴史のある街はそれだけレイヤーが積み重なっていて、それぞれのレイヤーには相応しい属性みたいなものがあってそれがないと味わえない見えない感じられないみたいなことなんだよなあなんてことを思った。
それはそれとして内容について。主人公の菜穂に終始振り回される夫や父母という構図について、とにかく夫が弱くて苛ついたのだった。身体窮まったときに「俺に落ち度はない」は言いたくなる思いたくなる気持ちは分かるけれど、本気でそれを思ったら負けしかないだろうと思うのである。つまり見ている景色の解像度が違うということになるので。
でも菜穂は菜穂で酷い女なのでなんというかこう、うん、勝手にやってろ感が強かった。そういうのが嫌いじゃないので面白かったけどもね。