本屋探訪記第14弾は雑貨屋「ANGERS(アンジェ)」(2011.5の記録)。
まとめ
まず、時間の無い方のために手短にまとめたものを書いておく。
- 品揃え:書斎周り、リビング周り、キッチン周りで必要なもの(文房具とかオーディオとか服とか食器とか)
- 本については、デザイン関連と本、食がメイン
- 雰囲気:お洒落、女性客がほとんど、プレゼント選びに使っても良さそう
- 立地:大通り沿いなので行きやすいが、河原町駅からだとちょっと遠いかも
- 備考リンク:
TEL.075−213−1800
OPEN.11:00〜21:00 Everyday open
アンジェ河原町店facebook
本を扱う場所ならどこでも扱うよ
まず、なぜアンジェを取り上げたかの理由を一言で書くと「本を扱っているから」。基本的には新刊書店か古書店を取り上げるけれどもヴィレッジバンガードや恵文社など書店でも雑貨を扱っている店は少なくない。上述した店は、あくまで書店メインではあるが雑貨や服など本以外がメインではない店にも本が置かれるようになってきた。
本ブログでは「本に関する物事全般(主に読書感想と書店ルポ、電子書籍についてだが)」を扱おうと考えているので、雑貨屋の「アンジェ」も扱うことにした。
ANGERS(アンジェ)は雑貨屋
三月書房に寄ってほくほくな気分で河原町駅(阪急線)までの帰路に着くとふたば書房河原町店の手前にコンクリート造りのお洒落な店舗が見えてくる。それが「ANGERS(アンジェ)」(以下、アンジェ)だ。
入り口は店舗の真ん中にあり店舗外の入り口横にはレトロなデザインの自転車が置かれている(これも売り物みたいだ)。ほぼ全面ガラス張りの入り口を抜けると上質な雰囲気を感じることになる。床面は明るい焦げ茶色のフローリングで文房具やバッグ、カメラ関係など書斎に置きそうなものが並んでいる。
入って目の前にはGW前に行ったためだろう「母の日フェア」が行われており、ちょうど書斎机一台分のスペースにガラスペンやアームカバー、時計、傘、帽子、小さい手持ちバッグなどお洒落に気を使うマダム?に人気そうなアイテムが置かれていた。
肝心の本はというと入り口右手の壁にあった。
どんな本があるのか
コンクリートの壁に直接取り付けるタイプの木の本棚に並べられている。全部で3段ほどで奥と手前で分けられている店舗スペースの右手上部をほぼ占めている。
品揃えは関西の地方出版社のもの(booklore)や京都案内本、料理、酒、本についての本、デザイン関係の本として糸井重里やナガオカケンメイ、さらにアート系の本として岡本太郎、他にはインテリア関係の本などである。ホームページにあるように「上質な暮らし、美しいデザインをテーマ」としていることが一目で分かる品揃えだ。
印象的だったのが、品揃えの中に「本についての本」があったこと(『世界屠畜紀行』の著者・内澤旬子さんが書いた『センセイの書斎』という著名な知識人の本棚をルポする本など。これは思わず読み耽ってしまった)。
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本は上質な生活に必要である
ここから分かるのは、「アンジェ」では「本」を、「上質な暮らしをおくるのに必要な美しいデザインのモノ」として考えているということである。店員さん曰く、本部の意向に沿って選書しているようだが、ブックディレクターの幅充孝さんが関わっていたりするのだろうか。
立ち読みしているお客さんが結構いたことも考えると「本」が生き残る上で、こういった売り方、販路は一つの可能性として有望だと思った。
本棚以外はというと…
さて、店内を見てみよう。
店内は三階建てで一回は奥と手前で壁によって二つに分けられており、それぞれ6畳ほどのスペースとなる。手前はスペースを広く使ってガラスケースの中に革の手帳やノート、万年筆、ブックカバーなどが置かれ壁沿いにも同じように文房具が。しかし、ガラスケースには収まらないようなもの(地球儀とか定規とか地図とか)が置かれている。
また、入り口左手にはフライターグのバッグが2畳ほどのスペースをとって置かれており、近くには他ブランドのバッグも並べられている。奥はこれまた文房具(筆記具や筆箱など)が中心の左手の台に。右手の台にはネックレスなどアクセサリー類が置かれており、奥の壁には書類入れやお洒落なゴミ箱、小物入れ、時計、ペンシャープナー、ペーパーナイフ、ミニオーディオなどが手前との仕切りになっている壁にはガラスケースがありカメラ関連グッズ(カメラ日和という雑誌など本も含む)や腕時計がある。
そして、奥右手の辺はカウンターで女性が2,3人で業務をこなしていた。これで一階は全て見た。
一階は「書斎」
全体として1階は「書斎」をイメージしているようだ。文房具の他にも掛け時計やオーディオ、読書灯、ゴミ箱、電卓などなど大人が書斎で使いそうなアイテムが多かったことからそう判断できる。また、本棚のコーナーの他にも雑貨の横に自然に関連した本が置かれていることがあり新しい発見があった。
さて、左手奥に2階に続く階段があるので上ることにする。
2階はリビング
2階は1階の雰囲気とは違い服がメインの品揃えだ。マリメッコやkukusaなどのブランドがあるが全てレディスであり、服の他にも靴やバッグ、財布、トラベルキャンドル(始めて知った!)、アロマなどがあった。レディスなので僕は特にコメントの仕様もないがCDの扱いがあったことは驚きだった。店内で流れているようなジャズやカフェ系の音楽を扱っているようだ。
レイアウトに関しては階段を上ってすぐは服がメインで真っ直ぐ奥にソファーとCD、左手奥(階段側)には服もあるが一緒にバッグや財布も並べられていた。カウンターは2階の中心部の奥にあり女性が一人で作業している。
ここまでのことから2階のテーマは「リビング」であると考えられる。リビングといえば客を出迎える場所でもある。だからこそ、ゆったりと寛ぐための音楽(CD)があるし客と共にそのまま外に行けるように服や靴、バッグなども売っているのだ。
3階はキッチン周り
さて、残念ながら2階には本が見当たらなかったが3階にはあるだろうと期待して階段を上ると3階は「キッチン周り」がテーマのようだ。
品揃えを見ると一目瞭然だ。
主に食器が置かれており、皿やカップ、ポット、箸、スプーンフォーク、水筒、ワイングラス、おろし金、鍋、コショウいれ、珈琲メーカー、ゴミ箱、エプロンなどが並んでいる。特徴的だったのが木製食器のコーナーと手ぬぐいのコーナーだ。
木製食器のコーナーは階段を上ってすぐの場所にテーブル一つ分のスペースでありオーガニックな感じの料理書も一緒に置いてあった。木製食器を使うとなぜか美味しく感じられる僕としてはこのコーナーは見ていて楽しかった。また、階段を上って左手奥にあるのが手ぬぐいコーナーで主に「かまわぬ」の製品を扱っている。「手を拭うという行為はキッチンや食卓で行うことが多い」という判断なのだろう。食器が主な品揃えの中であえて手ぬぐいも売るというところにセンスを感じた。
目玉焼きを作って欲しいフライパン
その他、気になったものに鉄製のフライパン(確かドイツ製)がある。梅田のスタンダードブックストアでも売っていたがまるで「ハウルの動く城」でカルシュファーが目玉焼きを作る時に使っていたフライパンのようなレトロ感溢れる商品だ。大きさも同じくらいできっと使い込んでいくごとに味が出るんだろうな。鉄製だから結構重いけどこれでハムエッグなんて作ったら美味しいに決まっている!そう思わせられるようなフライパンだった。
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さらりと置かれた洋書の料理書たち
最後に3階には木製食器コーナーの他にも階段の目の前奥に洋書の料理書がさらっと置かれていたことも忘れてはならない。ほとんどの人は気づかないか気づくとしても通り過ぎるだろうとは思うが、こういった売れるか分からないが雰囲気を引き立たせる商品があるのは素晴らしい。もしかしたら僕が売れないと思っているだけで意外と売れているかもしれないしね。
店の雰囲気を作り上げるアイテム
これで、「ANGERS(アンジェ)」京都河原町店は全て見て回った。本の数は多くないが置いてある文房具や書斎周りのアイテムを際立たせるための、そして相乗効果で本の素晴らしさも引き立たせている、本の使い方、店の使い方。
「アンジェ」は好きな店なので、京都にお越しの際は是非お立ち寄り下さい!なーんて、営業みたいなこと(笑)をしたところで、今回のルポを終わる。