本屋探訪第31弾は京都河原町の古書店「キクオ書店」(2011.8の記録)。
まとめ
まず、時間の無い方のために手短にまとめたものを書いておく。
- 品揃え:日本文化と歴史の本がメイン。浮世絵や西洋近代絵画もポストカードで売っている。
- 雰囲気:いわゆる古書店。かぐわしい香り。
- 立地:繁華街の中。人通りも多いし、駅から少し歩くが申し分ないと思う。
FAX:075-255-443
TEL:075-231-7634
E-mail:kikuo@sc4.so-net.ne.jp
URL:http://www003.upp.so-net.ne.jp/kikuo/
いわゆる古書店
京都河原町の大通り、「ANGER(アンジェ)」に向かう途中にその古書店はある。
レイアウトの説明をすると、いわゆる「古書店」といった造りの店舗で入り口は正面左右の引き戸でどちらからでも入れるようになっている。4畳半ほどの店内は無音で、棚は店舗中央に一つと壁全面だ。奥に進むと丁度中央の棚が途切れた場所にレジカウンターがあり、店主のおじさんが何やら作業をしている。店内レイアウトの説明は以上だ。
安売りコーナーの中に草双紙が!
外のワゴンから順に本を見ていくことにする。店の入り口両脇にはワゴンが並べられ、300~500円の本が置かれている。内容はと言えば、向かって左側のワゴンには、雑誌『日本の美術』約50冊や『ジャパンアズナンバーワン』、『空飛ぶ寄生虫』、小学館の『京都歳時記』などが、もう一つの向かって右側のワゴンには1850年ごろの江戸の草双紙やビアズリーの挿絵がこれまた500円前後の値段で売られていた。
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外にはワゴンの他にも入り口すぐ手前の脇に本棚が設置されていて、中は岩波文庫と講談社学術文庫がメインで他の文庫もちらほらあるという構成だ。
ワイン、食、日本文化
さて、正面左手の引き戸を開け、古書独特のかぐわしい香りを嗅ぎながら店内に入ると、外の騒々しさとは打って変わって中は静かなものである。客の出入りはそんなに多くない。じっくり本を見れそうな雰囲気である。
入って右手の中央の棚には、ワインや食、日本文化に関する本がたくさんある。書や陶磁器、江戸、江戸風俗などの本だ。同じ場所の腰から下部分には、観世流の謡曲本が200~500円くらい、他の謡曲本があいうえお順で50cm平方ほどの棚にはしまわれており、奥には、大判本があった。 展覧会のパンフレットや画集、別冊太陽、雑誌『古美術』などがそれだ。
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思想、宗教、民族学、地方史
振り返って、入り口は行って左手壁の棚を見てみよう。ここは仏教、思想、道祖神、密教などの宗教の本が手前に、奥に村落、沖縄史、京の歴史など民俗学、地方史の本が多かった。作業中の店主を横目に、店舗正面右側の出口に向かって棚を見ていく。
日本・海外の歴史
そこは、日本・海外の歴史についての棚だ。政治史や宋、唐、朝鮮史、日本古代、考古学、日本の中世、新撰組、大塩平八郎、明治維新、勝海舟、日本から見た外国、シーボルト、キリスト教などがキーワードとして挙げられる。
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観光客向け?の浮世絵
出口まで来たので振り返って店舗中央の棚を見ると、ここには洋書が少し棚の上部にあり、その下に浮世絵や昔の西洋の絵のポストカード(セール中)が置かれている。そして、そのまま通常だと平積みに使えそうな本棚の下段と平台には、本ではなく古い木製の棚があり中には浮世絵がしまわれていた。もちろん売り物で価格は最低でも5000円以上で中には18,000円するものもあった。やはり観光客狙いの側面もあるのだろう。
大書堂といい竹苞書楼といい、京都であるということを最大限活用しようとしているところに好感が持てる(買い取りのときに浮世絵が他の地域よりも多いってだけかもしれないけど)。
国内外の古典文学、文化史
視線を上に上げていくとようやく本が見える。内容は国内外の古典文学やエッセイ、研究書などで、中国文学、枕草子、中世文学、芭蕉、平家物語、日本アマチュア天文史、日本古代家畜史、日本古代穀物史、緒方洪庵などがキーワードだ。
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京都文化が知れる店
さて、これで全部見終わったが、久しぶりの古書店らしい古書店に入ったので、あの古書独特の香りを嗅げたことが今回の最大の収穫だったかもしれない。他にピアズレーの挿絵は結構好きで物色したけれど、好みのが無かったため断念。「お前に口づけしたよ、ヨカナーン」が欲しかったんだけどなー。残念。
よりディープな京都文化に触れたい方は、河原町付近の古書店はオススメだと思うのです。