「メリーゴーランド」。なんてメルヘンチックな名前だろう。「子どもの本屋」と銘打たれたこの店。検索してみると三重県に本店があるらしい。その京都店が今回訪問した店である(以下は2014.2.11の記録である)。
まとめ
時間のない方のためにまとめです。
- 品揃え:絵本を中心に、文学やノンフィクションも多い。
- 雰囲気:古ビルの趣きが良い。静かに本を選ぶのが似合う。
- 立地:河原町駅から徒歩5分程度
営業時間 : 11:00〜19:00
定休日 : 毎週木曜日
TEL/FAX : 075-352-5408
E-mail : mgr-kyoto@globe.ocn.ne.jp
URL:http://www.merry-go-round.co.jp/kyoto.html
Twitter:https://twitter.com/mgr_kyoto
Facebook:https://www.facebook.com/merrygoroundkyoto
寿ビルヂング
場所は河原町駅から南に徒歩5分ほど。
「寿ビルヂング」と右から左に読むような時代ものの趣あるビルの5階だ。
古いとは言っても心配いらない。エレベーターがちゃんとある。木製のドアを開けて中に入るとBGMのない静かな店内である。
レイアウト
ギャラリー
入って正面が本屋コーナーで右手がギャラリーとなっている。ちょうど本屋と同じくらいの大きさでこのときは小林エリカ「忘れられないの/光の子ども」原画展をやっていた。本やCD、Tシャツなど関連商品も販売しているのが素晴らしい。
本屋
入口まで戻ってほぼ真四角の本屋空間を紹介しよう。
入ってすぐは雑誌など面陳コーナーで、空間中央に面陳台。壁はほぼ棚となっており正面奥にレジ。窓が正面と左辺にあって窓の下にテーブルである。棚が天井近くまであるタイプなので梯子付きである。本屋探訪記では何度か言っているが本棚と梯子の組み合わせは最高なのだ。
品揃え
個人の本棚
左回りに棚を見ていこう。
まず初めにあるのが西淑というイラストレイターの古本棚だ。『ガンバとカワウソの冒険』、『ぱるちざん』、『異形の白昼』など。やはり「個人の本棚」という括りは面白い。
手前の辺の本棚
ここからは店の棚だ。一番手前の辺にある本棚には絵本と児童文学、写真集や文学が一部である。
絵本だと荒井良二、長谷川義史、スズキコージ、五味太郎、海外翻訳絵本などで定番どころがしっかり揃っている。
児童文学では『不思議を売る男』、『火の悪魔』、パディントンシリーズ、岩波少年文庫、晶文社のベスト版、福音館書店の本などだ。
写真集や文学には『澁澤龍彦/堀内誠一往復書簡』、『月曜日の詩集』、『アルプ』、『標本の本』、『文体練習』などでシブい取り揃えである。
左辺の本棚
左辺には本と雑貨が面陳を駆使しつつ半分くらいの割合で並んでいる。窓があるので低い本棚を使い、上部を平台として利用するなど工夫されたつくりだ。
長田弘『詩ふたつ』、『アリスが谷川俊太郎に出会ったら。』、『CINEMA APIED』といったマニアックなところから大人向けの文庫・単行本・大判本、子ども向け絵本もしっかりある。
大人向けでは『ぼくの頭の中』、『南方熊楠菌類図譜』、『バーボン・ストリート・ブルース』、『富士日記』、『武道的思考』、『アストリッド・リンドグレーン』。
子ども向けでは0・1・2絵本シリーズや『バーニンガムのちいさいえほん』、ブルーナ、岩波の子どもの本などなどがある。
京都文具探訪など京都本が平台にあるのも素晴らしい。
ちなみに雑貨は本棚に囲まれる形で、バッグやカレンダー、ぬいぐるみなどである。
奥の辺の本棚
奥の辺に左端に本棚、中央に雑貨でその隣がレジである。
本棚は絵本を中心に食の本や自然の本、絵本の本でる。
絵本は『こどものとも 絵本』や『たくさんのふしぎ傑作集』、『科学のとも 絵本』など。
食の本は『吉本隆明「食」を語る』、『だれも教えてなかった料理のコツ』、『かえる食堂』など。
自然の本は『自然図鑑』や『生活図鑑』、『地球の上に生きる』、『世界昆虫記』など。
絵本の本は『別冊太陽』の絵本特集などだ。
右辺の本棚
ここは小説と児童文学、絵本である。
小説は石田千、小川糸、川上弘美、江國香織な、梨木香歩、三浦しをんなど。
子育てはよりみちパンセ、『こころの子育て』など。
児童文学は岡田淳、『ふしぎなかぎばあさん』、『ビビを見た!』など。
絵本は『たったひとつのねがいごと』、『ナーサリークライムズ』、ねこのオーランドーシリーズなどである。
店舗中央の本棚
ここは手前側が面陳で裏に回り込むとボックス棚となっており、上部もブックエンドを利用した本棚である。
裏側は絵本が棚の中、上部にはアートや社会系で雑貨もある。
本は『アラマタ大事典』、『ピダハン』、大竹伸朗『ビ』、『ひとりごと絵本』、『北斎漫画』、『「フクシマ」論』、『地図のたのしみ』などで、雑貨はポストカードやピンバッチ、トランプ型詩集などである。
アート系とカルチャー系の本が絶妙に混ざり合っているこの棚が個人的には一番好きだった。
手前面陳側には絵本とアート、知育の大判本である。『星座を見つけよう』、『なるほど忍者大図鑑』、『しろくまのパンツ』、『ひみつのプクプクハイム村』、『ミチクサ』など。
当然かもしれないが子どもにはここが一番ウケていた。なんてったって「子どもの本屋」なのだ。一番子どもウケが良い本を一番目立つ場所に並べるのは当然だろう。
大人も楽しめる子どもの本屋
子どもの本屋「メリーゴーランド」には子ども向けの本がたくさんある。それは当たり前だ。だからこそ、ぼくは大人向けの本のセレクトの絶妙さを賞賛したい。
「子どもの本屋」とは言ってもここはビルの5階だ。子どもが一人で来ることはほぼないだろう。親御さんと一緒に来るはずだ。
そんなとき、子どもが絵本に夢中になっているときだ。大人はどうしたらいいだろう。ここ「メリーゴーランド」ではそんな大人たちが眺めても楽しい本棚なのである。
「大人も楽しめる子どもの本屋」。
「メリーゴーランド」は子ども連れから絵本好きの大人、さらには古ビル好きにもオススメできる素敵本屋なのである。