近未来の書店は出版社の機能も備えた取次以前の出版社になるんじゃない?(2) ~本論~

古書の並び前回の記事で、現状、叶えられていない電子書籍化による読者のメリットが3つあって、それが以下であることを書いた。

  • どの端末からでもどんな書店で買った本も読める
  • 買った本が半永久的に保存される
  • 紙の本として存在するものは電子書籍にもなっている
で、それを叶えられそうなのがkindleかGoogleのeBookStore、もしくは国会図書館の長尾館長による「長尾スキーム」と述べ、そんで、これから10年15年くらいかけて、以下のような状況になると書いた。

世界的、もしくは国家的(長男スキーム)の規模の安定した組織が2,3個あって、それらの組織が出版のインフラとしてプラットフォームやビューワーを配布していくことで、「叶えられていないメリット」が実現されていく(ここまで前回の続き)

電子書籍インフラが実現する理由とは


その理由は(ここから本論)「そうじゃないと上述の3つのメリットを実現するためにはそれくらいしか方法がないかなあと思うから」なんだ。

だって、規模が大きければ潰れる危険性は小さくなるし、2,3社あれば購入者の利益になるような競争も起きるでしょ?逆に今のような状況が続くようだと、電子書籍はそこまで広まらないと思う。せいぜい読書家の一部が自炊するくらい。だってビジネス書はとにかく好きな本が気づいたら読めなくなっていたなんて嫌だし(少なくとも僕は嫌だ)。

電子書籍インフラが実現した後は…


このインフラが実現されれば、その上に小さな出版社(≒編集者集団、IT系の会社)や作家が乱立して、電子書籍ゆえのコストメリットを生かして得意な本・好きな本を作り売っていくことになるだろう(電子書籍なら7000部くらいが損益分岐点となる)。

インターネット上での販売をメイン(電子書籍・紙、どちらも売る)とするんだけど、ここで重要なのが、始めにアプローチする顧客をマスにしないこと。マス市場ではなくサークルなりフォロワーなりコミュニティーなりにすること。

例えば、SFを売るならSF好きのコミュニティーでも良いだろうし、あえて科学者のコミュニティーでも良い。読書家コミュニティーとか読書会でも良い。

そういった作家の著作と親和性が高そうなコミュニティーを探し、そこに宣伝する。できれば、作家自身がそのコミュニティーの一員であるほうが良く、そのコミュニティーのメンバーも作家であったほうが良い。

そういったところに、出版社のメンバーか作家自身が営業をかけ宣伝し、固定客をつかむ。後は、固定客に口コミをお願いしたり、フォロワーに直接宣伝したり、固定客が増えれば、Facebookでファンページを造るのも良い。

そうやって売っていけば(営業・宣伝の腕にもよるだろうけど)コンテンツが面白ければ、7000部くらいなら売れるんじゃないだろうか。

出版社と書店が一緒になれば良いんだ!


で、これってどういうことかというと、出版社の営業と書店の販売員さんの境目がグズグズになっちゃってるから、一緒になっちゃえば良いんじゃね?ってことなんだ。

そうなると純粋な書店というのはなくなって、書店が出版社やっても、出版者が書店やっても良くなると思う(現状でも別に構わないんだろうけどあまりない)。多分、書店がメイン(書店→書店兼出版社)の場合は、編集を外部から入れることになり、出版社がメイン(出版社→出版社兼書店)だと固定費がかかる書店は体力ができてからじゃないとできない。

さらに、そうなると普通の新刊を並べているだけの書店は無くなっていくとことになると思う。だって、読みたいだけなら電子書籍を読めば良いし、紙の本で読みたければ注文すれば良い。そこで、出てくるのが、それぞれの特色を前面に打ち出した書店だ。出店場所の特色に基づき、かつ、各店舗の特色を明確に打ち出した書店だ。

ただ読むだけなら書店に行く必要がないのなら、書店が売るものは「空間」や「人」になってくると思う。

例えば、ビレッジバンガードに何故行くかといえば、「何か面白そうなものがありそう」と思うからだし、街の書店がやっていけたのは一人一人のお客さんの好みを知っていて取り置きをしておいたり、話をしたりする常連さんがいたからだ。だから、残る書店というのは、「これがやりたい」とか「こういう書店だ」とかいう個性がある書店であり、それは「ビレッジバンガード」であったりちょっと前にツイッター上で見た台湾の「誠品書店」だったり丸善の「松丸書店」だったりすると思う。

近未来の出版社兼書店が目指すのはセレクトショップだ


話を前に戻して、「では、近未来の出版社兼書店が出すべき書店とは何か」と考えると、それは「セレクトショップ(書店)」だになると思う。

それぞれの特色を打ち出せるような本を置き、空間を演出し、もてなす人を置く、またビレッジバンガードのように本以外の雑貨や服、アクセサリーも個性に基づいてセレクトする。そうすることで、顧客に自分たちの伝えたいものをより明確に伝えることができ、「次はどんな本を出すんだろう」という気にさせることができる。

そうすれば、以下のような成功例が出てくるだろう。

成功例1(出版社メイン)


「出版社の軸を決める→出版する→コミュニティーに宣伝・営業→損益分岐点を越す→市場を広げる→利益アップ→試行錯誤しつつ利益を増やす→セレクト書店出店→ブランディング成功→出版する」
発想法: 「出版する本がメインでブランディングを進める」

成功例2(書店メイン)


「書店の軸を決める→書店を軸に沿って構築→ブランディング成功→出版する→コミュニティーに宣伝・営業、書店でも宣伝→損益分岐点を越す→市場を広げる→利益アップ→出版する」
発想法:「本を所有する書店がメインでブランディングを進める」

1読者としての希望


こーんな風になったら色んな本が色んな流通の仕方をして僕としては面白いんだけどなあ。とりあえず書店や出版社、作家がメインのようなこういう理想の状況にどうにかして持っていくようにコツコツやっていこう。今は経理だしメーカーだし全く関係ないけどねw

ちなみに、題名は、大手取次ができる以前、本の流通基盤がなかった当時の出版社が、直接本を売っていた(書店機能も備えていた)ことから来ています。インターネットの普及で流通コストが限りなくゼロに近くなっていく。流通が楽になったことで流通を楽にするためのものだった取次がなくなっていくかも、と思うと感慨深いなー。と言っても、全部妄想なんだけどねww

参考書籍






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