本屋探訪記第39弾は「ありの文庫」(2012年2月4日(土)訪問)。
京都のカフェに勉強とかブログ生地の作成とか作業をしに行こうとツイートしたら、@munnesuさんが教えてくださった古本屋さん。オッシャレーなお店と聞いたら行くしかなでしょう! ってことで訪ねることにした。
途中、迷って@munnesuさんに聞いたのですが返信が来る前に着いてしまう。しかもダイレクトメッセージだったので気づくまでに時間が…。返信が遅くなって申し訳ない。
まとめ
まず、時間のない方のために短くまとめを。
- 品揃え:狭いので量はないが、悪くない品揃え。特にデザイン・アート、映画に関しては見たことの無い本もあり、見ていて面白かった。CDもあり。
- 雰囲気:マンションの一室って感じ。狭いが、その分アットホームな雰囲気がある。なんと机・椅子があってコーヒーを淹れてくれる!
- 立地:阪急烏丸駅から徒歩10分弱。ビルの4階で、看板が何もないので見つけ難いかも。一階に紅茶専門店があるのでそれが目印に。
URL:http://arinobm.blog102.fc2.com/
店まで 迷い道
2/4(土)。週初めから悪かった体調がようやく回復したが、まだ本調子ではない。あまり動き回らないようにと思って、京都のカフェに行こうと思ったら、フォロワーさんからこのお店を教えてもらった。
河原町駅近くとのことだが、iPhoneマップでも調べても出てこない。検索してもブログに当たるだけ。一見、地図もないようだ。他ブログに「大丸の近くにある」という記述を見つけたので駅から歩く。てくてく。途中、どこにあるかまったく分からなくなったのでジュンク堂で道を聞くと、PCで調べてくれた。どうやらブログの「ありの文庫とは?」カテゴリーに地図があったようだ。失敗失敗と恥ずかしい気持ちを抑えつつお店に向かう。 大丸の横を曲がって服部ビルの4Fにあるらしいのだが…ない。どこにも看板らしきものがない!
「ここら辺のはずなんだけどなー」と彷徨っていると服部ビルを発見することが出来た。だが、看板はどこにもない。不安になりながらも急な階段を上っていくと古本の文字が。ようやく着いた。
店内 レイアウトとBGM
店内に入ると20歳後半から30台だろう若い男女の店員さんが何やら楽しそうに談笑している。お邪魔したような少し悪いなーと思いながら中を見回すと広さは4畳半ほど。入り口すぐに台所と冷蔵庫があるような普通のマンションの一室だ。
床はフローリング。長方形の店内には壁沿いにDIY感溢れる木製の本棚が4つと鉄製の本だが2つある。
入り口正面にはまず小さい椅子があってそこに面陳で本があり、その奥に目隠しと水場。目隠し沿いに棚が一つ。目隠しの右隣にカウンター。カウンター横にCDラック。階段に面している辺には棚が3つ。入り口から一番遠い辺に棚が2つと非常口。BGMは古いロックだ。扉が開けっ放しなので、4階で暖房が入っているとはいえ外気のせいで肌寒い(写真を撮らせてもらったので以下、この写真をイメージして読むと分かりやすいかも)。
(入口から中を写しました。右手がレジカウンター。左奥に切れてますが非常口があります。)
(もう少し中に入ってから撮りました。手前のテーブルで落ち着いて珈琲を飲みながら本を選べます。)
(奥側から入口に向かって撮りました。左手がレジカウンター。奥に見えるのが流し場です。あそこでコーヒーを淹れてくれます。)
階段に面している辺の本棚
レイアウトの説明も程ほどにして、本棚の紹介に入る。まず、階段に面している辺の壁棚からだ。ここには手前の棚一つが文庫・新書で、奥の残り二つの棚が単行本となっている。
文庫・新書の品揃えは少数精鋭といった趣だ。
グラシン紙に包まれた本が整然と並んでおり、内容はといえば寺山修司、中上健次や川本三郎、内田百間の『阿防列車』の第一から第三までなどで、講談社文芸文庫、ちくま文庫、河出文庫、岩波文庫が主な品揃えだ。数が少ないながらもクラシックで安定した棚である。
奥の二つの棚は明示されていないものの緩やかにジャンル分けされていて、詩や思想、日本文学、随筆、飲食、スポーツ、本の本、美術、海外文学の本が並んでいる。面白かったのがスポーツの並びにカポエラのCDが並んでいたことだ。小さくても本とCDというモノのジャンルにこだわらない棚作りは好感が持てる。
品揃えはというと、気になった本は以下の通りだ。こちらもクラシックな本が目立つ。それに加え、暮らしの手帖社の本もあるあたり、この店に売りに来るお客さんがどんな人なのか気になるところだ。やはり年配の読書家だろうか。
- 詩:『詩と思想 詩人集2000』、『ランボオの世界』
- 飲食:『酒の本棚 酒の寓話』、『すてきなあなたに』など暮らしの手帖社の本
- 随筆・文学:大庭みなこ、長田弘、筒井康隆、深沢七郎、楽叢書
- 本の本:『書店風雲録』、紀田順一郎、出久根達郎
- 美術:雑誌『美術手帳』
- 海外文学:『都市物語』、『フランス短篇24』、ブラッドベリ、『木を植えた男』、『ベケット戯曲集』、ディック『地図にない町』、『山椒魚戦争』、カフカ『城』
壁棚が終わると部屋の角の非常口にあるが、足元に小さい本棚が作ってある。内容は全集ものだ。
入り口から一番遠い辺の棚
非常口の隣には棚が二つある。手前の棚はデザイン・アートで五段のスチールラックだ。
最上段に小さい本棚を置いて中に文庫を入れたり、その隣には大判本があったりとアクセントを持った棚となっている。
内容はというと『ブックデザインコレクション』、『デザインのデザイン』、『20世紀の商業デザイン』、『アートにみる幸福への鍵』、『日本の美術』、『ロシアアヴァンギャルド』、『視覚の革命』、『無痛文明論』などだ。
良く見てみると最下段には、思想や社会の棚があった。デザイン・アートの棚なのに不思議だと思うがなぜか不自然ではなかった。階段に面した壁棚に置かなかったのは何故だろう。
奥の棚は音楽と映画、写真、絵本で四段の棚となっている。ここもスチールラックで、並び方に工夫が見られる。内容はというと、『コズミックファミリー』、『長岡鉄男のわけのわかるオーディオ』、『キャパ』、『木版画の習い方』、『おばあちゃんひとりせんそうごっこ』、雑誌『スタジオボイス』、『別冊太陽』、『原色日本の美術』などだ。
絵本の数が少ないことを考えると、客層に女性が少ないのではないかと考えてしまった。
カウンター横のCDラック
スチールラックが終わると、もう角だ。折れ曲がると長いレジカウンターの端がCDとなっている。CDラックの前には平台だ。平台に音楽関連本が置かれ、ラックは全てCDだ。
本は、『バロウズ・ブック』、『ボブ・マーリー』、あたらしい教科書『音楽』、雑誌『UR』のポストモダンミュージック特集。CDは、ノアクレシェフスキー、ニューオーダー、サイレントポエツなど洋楽ばかりだ。正直、全然分からなかった。情けない限りである。
水場の目隠し前の棚
CDラックの隣がレジでその隣が水場の目隠しだ。つまり、もう入り口の目の前でもある。この目隠しの前には胸までの高さで木製の本棚がある。映画とマンガと猫本とサブカルの棚だ。品揃えはジャンルごとに分けると以下のような感じ。
- 映画:『カウンセリング熊』、『わが映画批評の50年』、雑誌『フィルムメーカーズ』、『ゴダールレッスン』、『マルクスのおかしな世界』、『夢みるサイコ』
- 猫本:『我輩は猫が好き』、『ジャムねこさん』、『猫との対話』、『ゲーテの猫』
- 漫画・サブカル:『コーヒーもう一杯』、『階段宮殿』、『冒険少女』、つげ義春『無能の人』、『泡と兎と首飾り』猫十字社、『青春マンガ列伝』、雑誌『プリンツ21』、『ブラックアングル10年ベスト&オール』
会話 本とコーヒー
さて、これで「ありの文庫」はすべて見て回ったわけだが、冒頭の写真を見てもらうと分かるとおり。店の真ん中に机と椅子が置いてある。ただのインテリアかなーと思っていたら…これがびっくり。お客に本をゆっくり見てもらうためにコーヒーを出してくれるのだ。
店に入るなりポチポチiPhoneでメモしている怪しい僕に出してくれた。こういうサービスは本当に沁みる!
全てのメモが終わった後に、若い店主さんで話しかけやすかったのもあって思い切って写真の許可を申し出た。すると、「何かの取材ですか?」とか「ブログってどんなのですか?」とか「何でお店のこと知ったんですか?」とか聞かれたので色々説明(名刺なり何なり説明しやすくするためのツールが必要だと思いました。3月までには考えよう)。
その後、説明ついでに今度はこちらから「いつからお店をやっているんですか?」とか「何で古本屋なんですか?」とか「ぼちぼちでっか?」とかいろいろ質問。もちろん初対面なのでまだ答えてくれないことも多かったが、それでも近くの古本屋さんも教えてくれたし、天神さんで一箱古本市についても教えてもらったりと収穫が多く、怖くても話しかけてみるとことの大事さを知った(ここで教えてもらった本屋は「KARAIMO BOOKS」と「はんのき」の2店。いつかは分かりませんがそのうち行く予定です)。
初対面なのにお相手してくださってありがとうございました。ちなみに、先に挙げた『ブックデザインコレクション』ですが、当然のように買いました。だって洋書も日本書も含めてカラーで1200円くらい。買わないわけにはいかないでしょう!