赤い電車に乗っかって終点の三崎口へ。休日は混雑する道をバスで移動し三崎港で降り、三崎銀座商店街へ。商店街の中に、三崎堂書店はあります。向かいには読書室の本と屯。ここで本を買ってから向かいでじっくり本を読んで過ごすのもいいものかもしれません。
入店し、棚を眺める。左手は主に雑誌など、中央は文庫、右手は漫画。いしいしんじの本もありました。街にある小さい本屋にわりと見られる棚かなと感じました。しかし、棚には海事関係の書籍がありました。漁港のある街だからでしょうか。今でも置いているということは、読んでいる方がいるのかもしれません。海事関係というと、かつては神戸に海文堂書店がありました。『海の本屋のはなし 海文堂書店の記憶と記録』(苦楽堂)や『本屋の眼』(みずのわ出版)でしか読んだことが無いですが、訪れるべきだったと後悔しています。
本を買うタイミングで話を伺うと、どうやら三崎堂書店は約85年、この地で営業しているとのこと。また、現在の三崎には2軒の新刊書店があるのですが、以前はもう少し多くあったとのこと。
棚の海事関係書籍についても軽く伺ってみると、昔はもっと取り揃えていたとのこと。遠洋漁業に行く方は長期間漁を行うので、書籍のまとめ買いもあったのでしょう。そういう方達が漁港の本屋を支えていたのかもしれません。この三崎堂のある商店街も、かつては船員など船に関係のある方向けの店が多かったようです。時代が移り、関係者の数も少なくなっていくと店を閉めるところも……。
今も港には漁船は来るものの、ここで本を買う人はかなり少なくなってきたとのこと。「昔の漁船の方は本当に本を読んだ」と言われましたが、海事関係の書籍ならば今で言うキャリアアップのための勉強、その他書籍は長期間の娯楽だったのかもしれません。
自分が本を探している際に、三浦海岸の辺りから来た方が本を受け取りに来ていました。以前は三浦海岸にはまゆう書房という新刊書店がありましたが、2018年辺りに閉店。近い新刊書店となると三崎しかない、という方もいるようです。新刊書店なので、仕入れは取次経由。最近の本屋のようにPOSを導入しているわけではないようで、仕入れにかなり苦労したことも。
午前中は本の配達などを行い、お昼前に店を開ける。18時くらいには閉めるようです。午前中はかなり忙しいように感じました。それでも本屋をやっていけるのは、「本屋が好きだから」という店主の言葉に尽きるのかもしれません。
自分が本屋を回り始めたきっかけをくれた方の「街の本屋をちゃんと見ているのか?」という言葉がなければ見ることはなかった本屋でした。今度、教えていただいた地魚を出す店、食べに行ってみようと思います。
今回買った本は、『日本のコンテナ港湾政策 ー市場変化と制度改革、主体間関係ー』(成山堂書店)。物流に関する政策も少々興味があったので、購入してみました。コンテナとかRFIDとか、物流に関する技術的なものも並行して読んでみたいですね。版元のHPには常備店の一覧があり、覗いてみたところ、今回訪れた三崎堂書店と、もう1軒の新刊書店である佐久間書店の名前が掲載されていました。買った際にブックカバーをかけていただきましたが、三崎堂のオリジナルではなく、はまゆう書房のブックカバーとのこと。
今回買った本の情報は↓
https://www.seizando.co.jp/book/4481/