BOOKSHOP TRAVELLERで間借りをしてくださっている屋号「BOOKS TBD」(そろそろ卒業)の山本さんによる、2020年実店舗オープンとそれからの連載 「ビルトングがくずれても」 第5回です。
1回目は自己紹介と本屋開業の理由について、2回目はブックスモブロとの出会い和氣との出会いに続いて3回目はBOOKSHOP TRAVELLERへの出店について、4回目物件契約と続いて、5回目はついに内装工事など店の中身について触れていきます。
- ビルトングがくずれても その1 ~元エンジニア、古本屋を目指す~
- ビルトングがくずれても その2~BOOKS TBD、和氣さんと出会う~
- ビルトングがくずれても その3 ~間借り店主をしながら考えた~
- ビルトングがくずれても その4 ~物件契約はタイミングです~
第5回:内装工事とお店造り
ワグテイル・ブックストアの山本です。先日、ブックショップトラベラーでの本屋入門イベントで本屋開業までのお話をさせていただきました。トークイベントは初体験でしたが、ペース考えずにしゃべる私を和氣さんが上手にコントロールしてくれました。感謝。
さて、この連載も次で最終回の予定です。今回は内装や店内設営のお話を。
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テナント契約が決まった後、大きくわけて以下の作業を行いました。
- 内装工事発注・施工
- 什器搬入と設営
- 本の搬入
- 事務機器の手配とセットアップ
- 看板、紙もの作成
- HP/SNSの立ち上げ
ほぼ番号順に作業しています。詳細を順番に。
1.内装工事発注・施工
入口が大ガラス+扉になっておりそのまま使えたので、壁紙と照明、床の一部修繕で十分だろうと判断。作業量が少ないので小回りが利いて、できれば本屋のことを知っている業者にお願いしたいと、色々調べて悩みました。最終的に、クラリスブックさんにご紹介いただいた巧空社という内装業者にお願いしました。高円寺にオフィスがあるので、横浜まで来てくれるかが唯一不安要素でしたが、比較的手広くお仕事されている方で快諾いただけました。見積もこちらの意図をキチンと汲んだ形で出していただき、仕上がりもばっちりで本当に感謝しています。
壁紙はサンゲツの品川ショールームでセレクト。白の塗り壁調をメインに、向かって右側の一面だけ色と素材を変えました。こちらは黒板風壁紙(実際チョークで絵が描ける)を使用しています。
2.什器搬入と設営
当初は本棚全部自分でDIYするぞ!と息巻いていましたが、冷静に考えるとそれではいつ終わるかわからないので、ひとまずオープン当初は安い本棚を購入することにしました。調べると、IKEAの本棚Billyの白は、DIYと同等か少し安い!くらいのお値段だということが判明。IKEAは本当に便利です。
その他は、開店に備えて確保していた机・本棚を持ち込みました。入口と中央のテーブルは鎌倉のブックスモブロさんから、レジ後ろ・中央と奥の本棚はヒグラシ文庫の故中原さんのところからそれぞれ譲り受けました。磨き直したうえで再塗装し、キャスターを取り付け等、リペアして使用しています。
組立、リペア作業は前の職場やゴスペルサークルの友人が助けてくれました。こちらも本当に感謝です。なお、DIYでの本棚作成もあきらめてはおらず、次のGW中にチャレンジ予定。
3.本の搬入
まずは自分の蔵書+新古書チェーン店などで追加仕入分で棚を埋めました。何回かに分けつつ、ブ○○オフ10軒くらいを回って、200冊近く仕入れたでしょうか。バーゲンブックスの八木書店さんからも、のべ100冊弱購入しています。(古書組合での仕入れもちょっと当てにしていたのですが、手続きに手間取り正式加入できたのは1月のオープン後になってしまい、オープン直後には寄与できず。)
そんなこんなで、オープン前に約1000冊を運び込みました。2000冊目標だったのですが、半分ほどですね。その後少しずつ棚を充実させて、2月時点で1400冊ほどになっています。夏までには本来目標の2000冊に到達させたいところです。
4.事務機器の手配とセットアップ
まずネット。光回線と一緒にひかり電話を申し込むことに決めたのはよかったのですが、プロバイダ選びでもたついてしまいました。ショップカードとかに番号を書きたければ早めに決める必要があったのですが・・・開通工事も、当然申し込んだら翌日に来てくれるわけもなく。この辺リードタイムが考慮不足。
メールアドレス&ホームページは、エックスサーバーでサーバーレンタルのうえ、独自ドメインを取得。プリンタ、レジ、電話等は普通に家電量販店で購入。レジって高価なもの、という先入観がありましたが、POS対応でなければ新品でも1万5千円ほどで購入できるんですね。
5.看板、紙もの作成
店舗名とロゴを決めるところでおおいに悩み、時間もかかってしまいました。イラストも人に頼めば早いのでしょうが、ここは自分でやりたいところだったので、仕様がないところではあります。
看板は時期が年末年始にかかったこともあったせいか、業者が結構どこも混み合っていて、1月中の対応も難しいとの回答ばかり。Youtubeで見ているとだんだん自分でできる気がしてきたので、サインボードのアクリルプレートとフィルムを別個に通販で手配し、自分で貼り付け作業を行いました。立て看板は合板2枚購入してヒンジとチェーンを取り付け、A3でプリントした紙を貼って完成。
入口ドアのお店マークはシールプリント用の用紙を買ってきて印刷して貼りつけ。名刺とショップカードも図案作って自宅のプリンタで作成しました。イラストとフォントが固まった後は比較的早く対応できました。
6.HP、SNS立ち上げ
ホームページは、前々からWordpressに興味があったので今回挑戦したのですが、設定で苦戦して、HPの整備は開店後までずれこむ羽目に。FacebookとTwitterで開店当初は対応することにして、1月はこちらに注力しました。
FBも個人ページとのビジネスアカウントの切り分けの仕方が最初わかりにくく、割と初期設定に時間をとられました。わかってしまえば簡単ですが、最初はなんでも手間取ります・・・それまでSNSは積極的に投稿していなかったので、いまだに日に何度も投稿するのに慣れません。こういうことこそ前から練習しておくべきだった。
ほかにも反省点をいくつか。
・内装工事が終わらないと、什器設営ができない。
当たり前ですが、ここを急げば「年内オープン」=「家賃持ち出し期間の短縮」ができたので、作業範囲と業者選定で悩んで時間がかかったのは勿体なかったと感じます。決めた後は結構早かったのですが、それでも打合せ→作業日決定→工事と段取りを踏んでいると、2,3週間があっという間に過ぎました。内装工事自体は一週間かからず終えていただいたのですが・・・
・本のリストアップと値付けは予め少しづつでもやりましょう
面倒くさい作業だからと後回しにしたあげく、予想の倍以上の時間がかかって、開店直前1週間はほぼこれに忙殺。結局オープン初日は一部値付けが終わらないまま開店しました。
作業見積りが甘くて相当どたばたしましたが、久々にマニュアルの軽トラ運転して、荷台に縛った机やら本棚やら本やらを搬送したり、友人と本棚組立てたり、ホームセンターであれこれ買い出ししたりしながら、だんだん店が形になっていくのはとても楽しい作業でした。もう一回やりたいかと聞かれたら・・・手伝いくらいなら・・・
さあ次回は最終回。開店後の感想と今後の目標について書こうと思います。
~続く~