本屋探訪記第33弾は京都にある古書店「古書善行堂」(以下は2011年8月の記録です)。
ガケ書房の本棚にもある古書善行堂。白河通りと今出川通りの交差点を銀閣寺を背にしてまっすぐ行くと左手に見える。読みやすいようにまず「まとめ」から書いていこう。もし、長いようでしたらここだけ見れば事足りるはず。ではでは、どうぞ~。
まとめ
まず、時間の無い方のために手短にまとめたものを書いておきます。
- 品揃え:全体的に良書多し。文学系に強いかも。
- 雰囲気:木を基調にした綺麗な店内。店主と話せると楽しいかも。
- 立地:銀閣寺の近く。観光客というよりは地元客がメインだろう。
電話番号:075-771-006
URL:http://www.hat.hi-ho.ne.jp/zenkoh/zenkoh_about.html
Blog:http://d.hatena.ne.jp/zenkoh/
外のワゴン
写真にも見えるように店舗前にはワゴンがあり100~300円の本が入っている。新書と文庫、ハードカバーが一緒くたに並べられていて『悪徳の栄え』や『ヨムヨム』、カミュの『反抗の論理』など値段に対してお得なものが多いように見受けられた。
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店内の様子
店内に入ってみるとかぐわしい木の香り。先ほどのワゴンも含め壁を除いた本棚などほぼ全てが木製なのだ。ホームページによると2009年7月オープンらしい。新しい木の香りを嗅ぐと良い気分だ。
BGMはラジオ。壁にはポスターが貼られていたりで結構オシャレだが、本棚に対して在庫が多過ぎるのだろう。整理が間にあっておらず本が山と積まれていて雑然としているのが玉にきず。しかし、それも古本屋らしいといえば古本屋らしい。
店の広さは大体6畳くらい。レイアウトは真ん中に腰くらいの高さの本棚、左手奥にレジ、右手奥は階段で行き止まり。壁はすべて本棚で、真ん中の本棚の上には店主の著書や新刊。前にはどかっと本の山がある。
店内右の通路
本棚を見て行こう。
右手の通路には文庫と新書が少し。本棚は壁3つ、中央1つの4つ。手前壁側から講談社学芸文庫、ちくま文庫、安部公房20冊くらい、講談社文芸文庫、中公文庫、平凡社ライブラリー、同時代ライブラリー、福武文庫。
一番奥の壁棚の上段にだけ新書があり、ほかは『虚無への供物』や江戸川乱歩作品が多数、中上健次、日本ミステリーが多いようだ。振り返ると一列だけ岩波文庫が並べられていた。
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左手の壁棚
次に左手の壁棚。手前から個条書きにしよう。
- 一番手前:ジャズ、日本文学、ユリイカ、下段に別冊太陽がいっぱい
- 手前から2番目:海外文学と映画が上段(ブコウスキー、ボルヘス、ケルアック、ピンチョン、ガルシアマルケス、淀川長次『シネマパラダイス』、小津安二郎『映画の詩学』)。下段は思想(シュタイナー、ロランバルト、ユングの『ヨブへの答え』などだ。ちなみにこの『ヨブへの答え』は過去ユング好きだったぼくとしてはオススメである)。最下段は雑誌
- 手前から3番目:近代日本文学、詩 デザイン、趣味、落語(戦後マンガ史、開高健、田中一光、海野弘、『本の狩人』、北杜夫、黒岩涙香、小栗虫太郎、モーツァルトなど音楽の本、『上方芸能列伝』など)。最下段は芸術新潮
- 手前から4番目:文学本(『ハムレット日記』『人間 太宰治』、筑摩叢書、『プロレタリア文学研究』『宮武外骨著作集』、宮沢賢治の童話『グスコーブドリの記録』(1941年刊行))。最下段は箱本
- 手前5番目(一番奥でレジのすぐ横):古い古書ばかり
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いんたーみっしょん
これでレジの手前に至る。レジには白髪の店主がたたずんで作業していた。
このメモを書くのに大体30分くらい店内にいたのだが、日曜日の夕方“だから”なのか、“なのに”なのか、狭い店内にお客さんが2~3人常にいて、店主はその内の一人と本の話で盛り上がっていたりと良い雰囲気を出していた。
振り返ると本の山
壁棚から振り返ると本の山である。
奥に先ほどの腰くらいの本棚の上にポストカードや夏目漱石『明暗』の箱本や萩原朔太郎の『死刑宣告』など高めの古書。本の山の上や山の間に見える本棚には店主の著書『古本のことしか頭になかった』や『関西赤貧古本堂』『新文学入門』など。このほか、『灘渡る古層の響き』『珈琲とエクレアと詩人』など新刊(店主の著書ではない)がいくつか。
本棚の中は歌舞伎の本や昭和の本。具体的には『歌右衛門伝説』や『昭和大雑誌』、梅原猛の『京都発見』などジャンル分けはされていないでいろいろな本がぎっしり詰まっていた。
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最後に
これで古書善行堂の紹介は終わりである。せっかく来たということで2冊ほど買って帰った。行ったのが8月末のことなのでもう何を買ったか覚えていないが、良い買い物をした感触だけは覚えている。銀閣寺や哲学の道に行く際にはぜひ寄ってほしい。観光で刺激された文化的脳みそを満足させてくれるはずだ。