広島県東部の書店チェーン「啓文堂」で書店員として働き、病に倒れ、半身不随ながらも復職し、現在は本部ではたらく著者による日々のエッセイ。
書店員としての気持ち、地域に密着してるからこその出来事、病への対応。著者の性格か文章に起こしているためなのか定かではないが、大変な状況にも淡々とでも真摯に対応している書きぶりにただ感心した。
本書とは直接関係ないが、東京生まれ東京育ちのため地域に密着した書店チェーンにどんなものがあるのかどういった雰囲気なのか、といったことが分からずBSLとしてどうしたものか、と思っていたところの本書だったのでとても役に立った。
BSLを運営していると「小さな本屋」「独立系本屋」といったとき、どこまでの範囲をそこに含めるのかということに悩む。紀伊国屋やジュンク堂など全国展開しているナショナルチェーンは外すとしても地域に密着した中小の書店チェーンをどうするのかという問題だ。
例えば、ぼくの中で大阪のスタンダードブックストアは3店舗を構えているが独立系本屋と考えている。では本書著者のはたらく啓文堂はどうなのか。単純に考えればみBSLの本屋探訪記には含めないと考えれば良い。
しかし、本書を読んでいると中小チェーンが支えている地域文化の大切さに思いが至る。今後、出版市場が縮小することは避けられないだろうが市場が縮小しても残って欲しい本の世界のためには必要なのではないか。
一方でウェブでのプレゼンスを考えたときに立場がブレてはいけない。あくまでもBSLは「小さな本屋」「独立系本屋」を応援するものでなければいけない。
どこにバランスを置くか。
ちょうど悩んでいる最中だったので参考になった。