雑誌の本屋特集で知ったお店。さらに、「本は人生のおやつです!」の店主が移転パーティーを教えてもらったりした。そんなお店。
オン・ザ・ブックスから徒歩10分ほど(だから、天満橋駅からは徒歩20分ほどである)ビジネス街の中を歩くと阪神高速1号環状線真下の川沿いにこの店はある。
本屋探訪記第51弾は「FOLK old book store」だ(2012年4月28日時点での記録。)
まとめ
まずは、時間のない方のために短くまとめを。
- 品揃え:マンガとサブカルが中心。と言っても、村上春樹なども置いてある。雑誌が多い。僕としては手塚治虫が多かったのが良い。
- 雰囲気:オシャレ好きの友達の家って感じかも。気安くて、でも、何だか良い感じの。
- 立地:地下鉄谷町線天満橋駅から徒歩20分。ビジネス街のど真ん中。立地が良いとはいえない。ただ、川沿いなのは雰囲気があって良い感じ。
TEL&FAX06-7172-5980
mail info@folkbookstore.com
営業時間
1F(飲食) 11:30-20:00 BF(物販)13:00-20:00 ※日曜日はどちらも19:00CLOSEです。 ご了承下さい
URL:http://www.folkbookstore.com/
Twitter:https://twitter.com/folkbookstore
雰囲気
立地からも分かる通り、この店は明らかに近隣客向けである。近くの人が昼飯ついでにぶらっと立ち寄る様なそんなお店。
入口はガラス張りで明るい雰囲気である。
店の奥も大きい窓が二つあり、そこからは川が見える。素晴らしい。
まさに良い感じのカフェなのだが、本棚は意に反して雑然とした印象だ。整理されていない本棚。特価本の入っている箱。長机の上に積み上げられた雑誌。
ところが、だ。
この雑然とした本たちが、逆に良い味を出している。オシャレカフェに入るときのあの良く分からない緊張感がこの店には必要ないのだ。
ちょっと寄って、本でも見ていくか。そんな感じで寄れる気安いお店なのである。
レイアウト
レイアウトを紹介しよう。
まず、入ってすぐ右手がカウンターである。
カウンターの中では店主夫婦と思わしき男女が作業していた。カウンター沿いに何席かあり、長居するだろうと思ったのでオレンジジュースを注文し、ついでに、写真とブログ掲載の許可も。快く引き受けてくれた。しかも、地下のギャラリーまで撮って良いというのだから太っ腹である。
このカウンターを含めて、店舗は大きな長方形となっており、店舗入り口右手(長方形右辺の手前側半分)のカウンタースペースのほかは、壁沿いの本棚。窓沿いの長机(カフェ席となっている)。奥のスペース左手に置かれた平積み台としての大きな机。そこに隣り合うように置かれた奥のスペース右手の小さな棚と机に寄る絵本コーナー。カウンター目の前や窓沿いの長机の下など、至る所に置かれた特価本コーナー。
その他、長方形左辺には階段があり、下りるとそこはギャラリーとなっている。
カフェ
本棚を見て回る前に、まずは足を休めるためにカウンターの席でゆっくりとオレンジジュースを啜る。
入口が全面ガラスなのでとても明るい。周囲はビルか住宅しかないので静かだ。とても和む。
カフェコーナーは、カウンターが5席、あと窓沿いにもいくつか席がある。
メニューはというと、コーヒー300円、フレンチトースト300円、チーズケーキセットがドリンク+250円といった感じである。お手軽なお値段。東京は違うところである。東京でこういう良い感じの場所にカフェがあったら、まず間違いなくコーヒー450円以上は取られるだろう。あぁ素晴らしき関西クオリティ。
さて、一息つけたので本棚を見ていく。
カウンター前の壁棚と箱
カウンター目の前(長方形の左辺)には、壁沿いに本棚がある。
特にジャンル分けはされていないように見える。というか、店全体にわたってそんな感じなのだが、それでも、あえて言うならこの棚には店全体にあるマンガ+サブカル+小説。そして、そこに旅本を加えたような感じである。
最近は、「キレイな古本屋」や「こだわりの古本屋」のようなところにばかり行っていたので、少し驚いたが、よく考えたら古本屋というのは普通こんなものである。ジャンル分けなんてものはほとんどなくて、本の山がいたるところにある。だが、それが良い。そんなものである。
品揃えはというと、マンガ以外だと、森山大道『新宿』や『京都スーベニイル手帖』、『アジアンジャパニーズ』、『アフターダーク』、『ポーの話』、『アイヌの昔話』、『住んでみたギリシア』、『最後の物たちの国で』、『町田康全歌詞集』、『日本フリージャズ史』など。
マンガは、『コクリコ坂から』、『ジョジョの奇妙な冒険』、『キーチ』、『アジアパー伝』、『ヒストリエ』などど真ん中ではないが外さない品揃えである。
ちなみに、この本棚の横の入口側にはフライヤー入れの郵便箱と植木鉢が置いてあったりする。フライヤー入れが満タンだったところを見ると、この店は人気なのかもしれない。
また、この本棚から店の奥に進むと足元に箱が置かれている。そこにはなんと「free」の文字が。店主に聴いてみたところ、売り物にならない本やフリーペーパーなどをまとめて置いてあるそうだ。面白かったので一つ持って帰ることにした。『pen』の雑誌のデザイン特集。確かに濡れてるし、売り物にはできなさそうだ。
折れ曲がって長方形の左辺続き
ここでちょっと壁が曲がっている。左に折れ曲がるとそこには地下への入口が。ギャラリースペースだ。あとで紹介するので今は一階を見ていくことにする。階段をスルーすると、壁沿いに不揃いな高さの本棚が3つ。
マンガ以外は、『東京アンダーワールド』、『バカはサイレンで泣く』、『エッセイ SR311』、養老孟司『ガクモンの壁』、『松下幸之助の哲学』、『タイタンの妖女』、『まる子だった』、『ビョークが行く』、『天空の城ラピュタ絵コンテ集』、『2010年宇宙の旅』ハードカバー、絵本が少し、山の本。マンガだと、手塚治虫がたくさんだし、ドラえもんがたくさん。そこに『ハチミツとクローバー』、『課長島耕作』など。本当にカオスである。ここで長方形の奥の辺に突き当たった。
窓沿いの長机
ここはカフェスペースである。
しかし、端っこやイスを挟んだ真ん中、さらには足元に小冊子や雑貨、本、雑誌が置いてあったりする。
テーブルの上は、オン・ザ・ブックスにもあった『hito』や『スープ問題』などの小冊子が少しと雑貨が、イスを挟んで長机の真ん中には雑誌『スウィッチ』、『サイト』、『ソトコト』、『カメラ日和』、『真夜中』、マンガ雑誌『ガロ』。さらに、『写真美術館へようこそ』や『氷彩変華』など写真の本がある。
足元に100円均一の雑誌だ。
ここで面白かったのが長方形右奥である。本の山の上にこれは…ファミコンのコントローラー!?
どんな意図があって置かれたのか分からないが、この抜け感。和むわあ。
長方形の右辺 カウンターの奥の本棚
長方形の右辺に辿り着いた。
角には一冊400円のカラーブックスのコーナーが。古本屋には良くあるが、一つのラック分あるというのはスゴイ。確か京都の恵文社一乗寺店でも、もうかなり前に行ったときにカラーブックスコーナーがあったような。根強い人気を誇るカラーブックスなのである。
さて、長方形の右辺の壁棚は天井まで届く高い棚だ。
中はというと、これまたカオスな感じで、今までよりも若干マンガが多い気がする。しかも、
- マンガ以外:『海辺のカフカ』、『希望の国のエクソダス』、『古道具中野商店』、『体は全部知っている』、『非戦』、『殺すな』など。
- マンガ:『アキラ』大判本、『花男』、『1ポンドの福音』、『ひらけ駒』、『クーの世界』、夏目漱石『こころ』のマンガ、『ミツバチのキス』、『わにとかげきす』、『ブラッドハーレーの馬車』など。
といった品揃えだ。
サブカルなのか普通なのか訳わからない。今まで見てきた感じだと、マンガはサブカル寄りで、それ以外は案外普通といったところだろうか。
カウンター横の本棚
猪木詩集『馬鹿になれ』 (角川文庫) アントニオ 猪木角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-09-25 売り上げランキング : 37664Amazonで詳しく見るby G-Tools |
この棚を見終わると、カウンター横に至るのだが、そこにも一つ本棚がある。
店主のimacがカタカタ言っているのを聞きながら見ると、相原コージ『もにもに』、『モモ子の21世紀日記』、『広島極道刑事』、三谷幸喜のありふれた生活シリーズ、『和田ラヂヲのここにいます』、『オーケンのほほん学校』、『伝染るんです』、『猪木詩集』!?、『四国はどこまで入れ換え可能か』などだ。
一番サブカル色が強い本棚だった。
奥の中央スペース右手の絵本コーナー
振り返ると平積み台も本棚も背の低い絵本コーナーがある。背が低いのは子どもが見やすい様にだろう。
『めっきら もっきら どおんどん』や『パパ、お月様とって!』、『小さなきかんしゃ』などがあり、僕には分からないが、近隣客の子ども連れにも対応しているのだろう。多分。
奥の中央スペース左手の大きな机
絵本コーナーの隣。奥の中央スペース左手の大きな机には雑然と山のように雑誌が積まれている。
300円均一の雑誌の様だ。
『エスクワイヤ』や『クーネル』、『ブルータスカーサ』、『ペン』、『ブルータス』、『リラックス』などだが、よく見ると単行本も積まれていた。
『エジプトの神話』や『私という小説家の作り方』、『レゴブックミュージアム』、『love's body』などで、これも山になっているので、もしかしたら掘り出し物が見つかるかもしれない。
さらに、何故かは知らないが、本の山に隠れてライブTシャツが売られている。なぜだろう。古本屋だから、弾でも集まってくるのだろうか。こればっかりは考えても分からなかった。
カウンター目の前の箱
「さて、終わった終わった」とカウンター席に戻ろうとすると、前にCDコーナーがあった。シールの色によって値段が分かるらしい。ユニコーンやスピッツ、フリッパーズギター、エレカシ、つじあやのなど古めの邦楽が色々入っている。
値段体系は300、500、1000、1500円だ。
また奥にも箱があり、そこでは雑誌『花椿』が200円均一で詰め込まれていた。
特価本が多い店である。カフェでゆっくりしつつ掘り出し物を探すというのもいいかもしれない。
カウンター両端
これで終わりではない。カウンターの両端にも面白いものがある。まず、左端にはフリーペーパーがあり『月刊島民』と『super;』(スタンダードブックストア特集の006号です!)が、右端には食と暮らしに関する本と雑誌がある。
『ビフテキと茶碗蒸し』、『体によい食事 ダメな食事』、『ベジタリアンクッキング』、『文房具で包む』、雑誌『暮らしの手帖』がたくさん。書いていたら腹減ってきた 笑
ギャラリー
最後に、軽くギャラリーについて紹介しておこう。
階段を下りると意外と広い空間が。壁一面と空間の真ん中に置かれた机とイスが展示だ。
今回、展示していたのは蒼室寛幸という人のイラスト。
下手うまというのだろうか。僕は好きではなかったが、どうなのだろうか。
ちなみにこの人。マンガ家で、さらに『すやすや書房』という出張本屋もやっているらしい。
フリーペーパーやzineを中心に活動しているみたいで、この活動自体は結構興味あったりする。
最後に
今回の書店探訪『FOLK old book store』は以上である。
『ここ良さそう』と思って気軽に行ける場所ではないが、もし近くにお寄りの際はぜひ行くと良い。近くにはカフェもない。足を休めるには丁度良いし、何より気持ちが和む。面白い本とも出会えるかもしれない。
アートが好きな人はギャラリーにも行ける。
近所に欲しいお店だった。