確かはじめて知ったのは雑誌『meets reajional』だったろうか。大阪のブックカフェと言ったらここである。「Itohen Books Gallery Coffee」(以下、いとへん)。
まとめ
時間のない方のためにまとめです。
- 品揃え:アート本。雑貨も少々。メニューも美味しいものばかり。
- 雰囲気:上品で素敵なハイソサエティな雰囲気。
- 立地:中崎町駅から徒歩10分程度
Tel:06-6292-2812
Fax:06-6292-2789
E-mail:ito_hen@skky.info
open 12:00-19:00(展覧会最終日は18時まで) 月・火曜 定休日
URL:http://skky.info/itohen/news/index.html
Twitter:https://twitter.com/skky_itohen
Facebook:https://www.facebook.com/itohenskky
アクセスが悪いのに有名店
正直言っていとへんのアクセスは悪い。どこの駅からも10分程度かかるし繁華街の中というわけでもない。それでも有名店なのだ。確かに外から見ると佇まいは素敵だが、その理由はなぜなのかそれだけではわからない。さっそく中に入って取材を開始しよう。
レイアウト
全体の形は広めの長方形といったところか。左下の角が入口で右奥に広がっていくイメージだ。
中に入るとまず目に付くのが奥にある展示場所だ。ギャラリー専門の空間と同じように真っ白い壁に囲まれている。作品が映えるような空間である。
手前がカフェと本屋スペースとなっており入ってすぐ左手にレジ。右手はソファで道路沿いにあたる窓に面しているのでとても気持ちいい。ここを囲むように本と雑貨があり、右奥の席とは低い棚で仕切られている。ソファ空間の隣、ちょうど店舗の中央にあたる位置に大きめの長テーブルだ。この席も囲われるように壁沿いに面陳棚とボックス棚、仕切りのボックス棚がある。
そのまま右奥に行くと展示場所というわけだ。このときは清水マコ・テラサキユミ二人展「静かな時間」が行われていた。
品揃え
品揃えを見ていこう。
新刊、古本、非売品
ほかのブックカフェと違い、いとへんでは本を購入できるのだが、面白いのが新刊と古本と非売品が混在していることだ。
お客さんには不便な気もするが、通常、ブックカフェで本が売れることは少ないとされる。ギャラリーのお客さんのためのものなのだろう。そう考えるとアート系の本はたいてい売り物だったので不自然ではない。非売品はブックカフェとして楽しみにきた方用に品揃えを良くするためなのだろう。納得した。
多いジャンルは…
絵本や図録、雑誌、テキストものなどいろいろあるがざっくり分けてアートものである。非売品も含めてアート的な要素があるものばかりなのだ。
窓沿いソファ周り
さて書名・品名の紹介に入ろう。窓沿いソファの周りをぐるりと囲む棚や台には本のほかに雑貨、CDもありアートのように多様だ。
書名を挙げると『大阪のぞき』、『ザ・大阪のデザイン』、雑誌『アイデア』、雑誌『coyote』、『実験工房と瀧口修造』、『自然に潜む日本』、雑誌『風の旅人』、『刀匠 河内國平という生き方』、『図録 葛西薫1968』、斎藤祐介『NEW COLOR』、『カゾクゾウの旅』、『Studio Journal knock』、雑誌『JAPAN GRAPH』、『CINEMA,CINEMA,CINEMA 映画館に行こう!』、『木の戦い』、『APIED』、雑誌『IN/SECTS』
、『籠女』、『ぼくだよ ぼくだよ』、『やさしい野菜 やさしい器』、『イチハラヒロコの愛と笑いの日々』、二階堂和美『しゃべったり書いたり』、makomo『ツイン』、野井成正作品集『あぞびごころ』などなどなどである。
雑貨は手ぬぐい、カレンダー、記念日カレンダー、ポストカードで、CDは『jamjamjam』、扇谷一穂『たくさんのまばたき』、津田貴司『風の輪郭』などである。
冊数に対して面白そうな本ばかりなので書名ばかりたくさん書いてしまったが、我慢強く読んで頂けた読者にならこの魅力的な品揃えを分かって頂けるだろう。
店舗中央 大長テーブル席周り
窓沿いソファ席と仕切りで分けられた右奥の席。ここは先に書いたように店舗中央にあたる長テーブル席である。その周りの棚にはというと、仕切のボックス棚には、『アトリエ訪問ノート』、『胞子文学傑作選』、『モカに始まり』、四月と十月文庫、『貝殻となり』、『多摩川な人々』、『森をさがす』など。
そのまま壁沿いの本棚に進むと『コラージュ図案帖』、『不純物100%』、山下清、『日本の庭』、雑誌『手の間』、『どうぶつ集まれ』、『ぼくのふとんはうみでできている』、『画家の肖像』、雑誌『JAPAN GRAPH』、『チュビスム宣言』、そのほか洋書や図録である。
窓沿いソファ席と品揃えは近く、違いと言えばどちらかという本が多いくらいだろうか。壁の面陳棚は見ていて爽快だし本がインテリアとしても素晴らしいものだと再認識させてくれた。
東の「森岡書店」、西の「いとへん」
この取材メモは窓沿いの席で書いているのだが、これが非常に寛げる。差し込んでくる日差しで本を片手にコーヒーを飲んだりしたら堪らないだろう。
本を読むのに飽きてきたら奥のギャラリーに行けばいい。静謐な雰囲気の中に飾られた作品がまた本とは違う体験をさせてくれる。
ここまで来て、どこかに似ていると思っていたその「どこか」が分かった。「森岡書店」である。空間的な素晴らしさ。寛ぎ。アートとの親和性。厳選された本。
「アート×本でオススメといえばどの本屋?」と聞かれたらきっと「森岡書店」かここ「いとへん」を挙げるだろう。純粋にアートを楽しみながらも寛いでいける場所は稀有だとおもうのだ。東の森岡書店、西の「いとへん」である。素敵な午後のひとときをアートと本と共に過ごしたいならぜひ行ってもらいたい。