鹿児島中央駅から市電でしばらく、山形屋のあるいづろ通で降りて海の方へ歩く。トマルビルというビルの1Fに、今回訪れたブックスパーチはあります。近くにYOCADO鹿児島ができ、食事や買い物などがしやすいエリアです。
ビルの入り口前は均一棚。軽く見てから扉を開け、店内へ。奥はレストランになっており、今回訪問時は鶏飯が食べれたみたいです。食事はパス。店内は手前が古本、奥が新刊の棚となっています。奥の新刊棚には『東京古書組合百年史』と『ブックオフ大学ぶらぶら学部』がありました。後者は夏葉社版。一昨年出たての頃に買うのに非常に難儀したことがいい思い出です。
新刊棚は書肆侃侃房やミシマ社などの直取引で仕入れ可能な本からちくま文庫まで。一昨年訪れた時はイベントをやっていたらしく『タコの心身問題』がありました。前回はたしか『アルテリ』も見つけました。
そういえば……とふと棚を見ると前回(2020年2月に一度こちらには伺っています)とくらべて棚が大きくなった印象がありました。店舗手前の古本棚はサイズ変わらず。哲学系の本や郷土関連などの硬めの本から古書一般まで。
買う予定の本を手に取り、会計、をしながら少々お話。一昨年もほんの少し取次の話を聞いたのですが、今回も懲りずに。前回までは子どもの文化普及協会とトランスビュー、直取引だったのが最近はどうやら八木書店も使い始めたとのこと。
個人的にですが、地方で買い切りで仕入れる場合、だいたいは子どもの文化普及協会を使うのですが、八木書店も併用、というのはちょっと珍しい(サンプル数が少ない)かも、と思いました。書肆侃侃房などは直取引で。
自分が前回訪れてから、流行り病が広がって行ったのでそこに関連した話も少し。伺うと「ネットは伸びた。実店舗は波が激しい」とのこと。宣言が出る出ないで人の流れがかなり変わったことは想像できます。やはり店舗でやっている本屋は似たような状況になっていたのかもしれません。
古書買い取りについては「最近新聞のコラムのおかげで買い取りの問い合わせが増えた」と。ほんの少し調べてみると、2022年1月から6月にかけて半年間、南日本新聞社の「南点」を書いていたとのこと。ちょうど自分が伺う前の週に、最後のコラムが新聞に掲載されていたようです。このコラムは店のホームページ(https://booksperch.amebaownd.com/pages/3834018/page_202005061835)で見ることができます。
また、鹿児島の本屋の話になった時、センバ書店の話題が少しだけ出て来ました。戦後すぐに開いていた古本屋だそうで、鹿児島市内の古本屋でもちょくちょくセンバ書房で売られたものが出てくることがあるらしいです。今でも続いている鹿児島の古本屋だと、糸書房の名前が出てくることがあります。あそこは月のうちどこかで営業しているようなので、かなり訪問難易度は高いです。今度そこを狙っていきたいものです。
そういえば、トマルビルは5年限定の営業とのこと。2023年が5年目となるので、それ以降、ここがどのようになるか気になるところです。
今回買った本は『「私」とは何か』(講談社選書メチエ)。この本を買った理由は、譲渡者がわかっている本だったためです。この本はどうやら鹿児島県民教育文化研究所の図書館にあった本のようです。少し話を伺ったところ、複数軒の古本屋で鹿児島県民教育文化研究所から除籍された本の買い取りを行ったとのことです。寄贈者は児玉靖正という方。気になったので少し来歴を調べてみました。
国会図書館で軽く検索して見つけた論文を見たところ、鹿児島県教職員組合の書記長をやっていた方ということがわかりました。他に電子の海を彷徨ってみた結果、一般財団法人鹿児島県教育会館維持財団の最初の理事長(定款に記載あり)をやっていること、おそらく私家版だと思いますが、追悼集も刊行された方のようです。