一巻に続いて二巻も読んだ。こちらは表紙からも分かるように畑の話が中心なんだけれど、あれ? おかしいな? 本屋のリトルプレスじゃなかったのかな? 畑を作ったとか書いてあるぞ?
というわけで、店番のひとりが畑を作ることになり以降、畑部としてスパイス中心にいろいろ育てることになったその経緯と報告が特集1。特集2は「綴方と展示」ということで展示作家による文章と、1巻に続いて店の記録である。
特集があることで前回より雑誌っぽく感じられた。
で、この畑を始めた菅野広樹さんという方がめっぽう面白くて、何が面白いのかというとその技能である。一級建築士であるため、畑のレイアウトから街への関わりまでも考えてかなり本格的だというのが分かりつつも、畑の部分ではそこまで詰めずに、"勝手に振る舞っているのに快適"(p.14)としているのが、素晴らしい。人の集まりの在り方として理想的だと僕が思うのである。加えて、本の紹介もちょいちょい入っていてそれもまた興味深く。
『戦火のレシピ』(岩波書店)、『200万都市が有機野菜で自給できるわけ』(築地書館)、『ダーチャですこす緑の週末』(WAVE出版)、『ナチスのキッチン』(共和国)、『シティ・ファーマー』(白水社)、『災害ユートピア』(亜紀書房)、『ボランティアとファシズム』(人文書院)である。
(タイトルは略称。著者名も略)
あとは安達茉莉子さんの文章はやっぱり良いなあとか、佐々木未来さんの文章の最後にある三輪舎・中岡祐介さんの言葉"町に本屋はいくらあってもいいと思うんだ"(p.59」は至言だなあとか、
同じく中岡祐介さんのこちらは文章で、"ビジネスの考え方は持ち込むけれど、それはあくまで手法にすぎない。"(p.71)も我が意を得たりだなあとか、
そして最後の、点綴を読むきっかけになった佐藤yuupopicさんの詩の中での本屋についての部分
"あの店に行けば
p.87 「裏にわには〜点綴2号に寄せて」より
私たちには本がある
本があるんだ
それは
先の見えない日々の
いつ明けるとしらぬよるの薄暗いただなかで
地べたに這いつくばるように
手探りで身体を折り曲げ
進むしかなかった
この胸に明かりを灯し
その先を
照らしてくれる
ヘッドライトだった
けっして強くない
けれどたしかな
ひかりに似たもの"
最高である。