いろいろあって発行者の西川タイジさんからご恵贈いただいので読む。しかももらった当日の夜に。まさに「今夜」である。
おそらく自分と同年代かプラスマイナス5歳くらいの方であろう西川タイジさんとその周辺の文章なこともあるからだろうか。都会の夜というか遊び過ぎた夜というか恋愛にならなかった夜というか、なんというかこう煮え切らない決まりきらない不安定な感じがまたそれも夜だなという気がして、それが不思議と心地よかった。
音楽でいうとシティーポップな感じかな。読んでいる間showmoreの『circus』がずっと流れていた。
ここからは刺さった文章単体の感想を。
磯上竜也「ここにたくさんの夜がある」
too books店主だけあって身体感覚を伴った本の勧め方が素晴らしい。
和島咲藍「何もかも尻切れとんぼのこの星で 始発電車だけが正しい」
始発電車のあの宙ぶらりんな感覚というか感情というかを文章にできるの本当にすごい。
ネネネ「未完の海」
短歌好き。
工藤葵「ゆめ」
成長していくことへの少しの寂しさと希望と。いま希望を書ける人ってすごいと思うのよね。
生湯葉シホ「夜道できみは光ってしむうから、誰にも見られずにここまできて」
"そのころは恋人といさえすれば、どこをどう歩いていてま目が開けられないほどまぶしかった"
この一文だけでもう全部良い。