日記ではちらほらと書いているので、お気づきの方がほとんどかもしれませんが、あらためて。
2015年10月11日をもって現在の会社を退職。独立します!
(最終出社日は9/30なので、10/1からほぼフリーです。)
退職後はBOOKSHOP LOVERはもちろん、次の本を見つけるためのサイト「ホンシェルジュ」の編集者、書評投稿サイト「本が好き!」のディレクターの3つを柱としてやっていきます。
なぜ独立するのか
いろいろ細々とした理由はありますが、一番大きいのは、本の世界を豊かにすることに力を入れていきたいからです。
このサイトの前身である「本と私の世界」から早6年。はじめはいわゆる本屋になりたいという気持ちだけではじめた活動でしたが、本屋さんをはじめ様々な方にお話を伺っているうちに、もっと幅広い活動をしたいと思うようになりました。
というのも、本屋はただ本を売るだけではない何か違うもの。何人かのほかの方も言うように本屋はメディアなのではないか。いまの小売業としての本屋ではなく広義のメディアとして本屋を捉えたほうが良いのではないかと考えるようになったからです。
メディアとしての本屋
詳しくはほかの方も書いておりますし、以下の記事でも書いているので割愛しますが、つまりは何かが出会う場であり、何かが生まれる場であり、何かが見つかる場であり、何かが起こる場である。それがぼくが思うメディアとしての本屋です。
本屋を応援したい
もちろんいままでと同じ様に小さい本屋を応援していきます。むしろ今以上に実際に店舗に赴きファンになる人が増え、ずっとその本屋が続けられる様になる活動を増やしていきたいと思っています。
そのために取材活動や寄稿依頼、イベントだけでないニュースの配信を行っていきます。
目的はもちろん本屋に行ってもらうためでもありますが、本屋にとっての参考になったり、本屋になろうとしているひとの後押しになれればという気持ちもあります。
独立後はここをもっと精力的にやっていく。
なぜ「ホンシェルジュ」なのか
次に、なぜ、ホンシェルジュと本が好き!の2つに協力することにしたのかについても書いておこうと思います。
それは本とウェブをもっとシームレスなものにすることでAmazonにはない本との出会い方を提案したいからです。
ウェブ×本で小売業での本との出会い方を考える、といったときのやり方はネット本屋か書評サイトか電子書籍のどれかになっているのが現状です。
それ自体は良いのですが、単純にやり合ったらAmazonに負けますし、ぼくからすると本屋の楽しさである本棚やフェアを効果的に見せてくれるものがウェブ上にはないように思います。
Amazonにはない恣意的で属人的な本と本とのつながりを見せるもの、ということです。
この恣意的で属人的な本と本とのつながりを見せる場を目指しているのがホンシェルジュです。
実は以前、「本棚あそび」という名前で「読書家に本棚をつくってもらい、その理由をインタビューしていく」というサイトをつくっていたことがありました(現在は閉鎖)が、これをもっと読みやすく届きやすいかたちにしたものですね。
これをやることで、本屋の店頭で行われては流れていく各種のフェアをウェブ上にストックしていくことができ、ともすれば自分の興味があるものにしかアクセスしなくなってしまうウェブの悪い部分を補完できる。今後、少なくなっていってしまうであろう本屋的なものの一部をウェブ上に残すことができるのです。
なぜ「本が好き」なのか
また、Amazonにはない本との出会い方に知人からの紹介があります。
「自分はあまり本を読まないけれど、本をよく読んでいるひとから勧められたら読んでしまう」というアレです。ウェブ上で未知の本に出会うことはAmazonよりもこの知人からの紹介が多いように思います。
「本が好き!」は書評投稿サイトですが、出版社や著者からの献本と長文書評が多いという特徴があります。さらに掲示板も盛り上がっていて、まるでウェブ上で常に読書会が行われているようです。
サービスがスタートしてから既に10年近く経っていますが、まだまだ伸び代があるこのコミュニティを伸ばしたい。
例えば、本が好き!によるリアル読書会を開催するなどして、本が好き!の利用者を増やしていき、ウェブ上で散らばっているように見える本の世界の住人の溜まり場を提供したい。
本屋と技術
ここまで書いて疑問に思うことがあるはずです。
ぼくは「本屋」をやりたかったのではないのか?
リアル本屋をやりたかったんじゃないのか?
この質問に対する答えはこうです。
「その通りです。でも、まだやることがある。これからの本屋のためにやることがある。」
詳しく説明していきましょう。
まず、実際問題、リアル本屋をやるとしても、既にぼくよりすごい本好きや元編集者や元書店員がたくさんはじめているわけです。「だから、やらない」というわけではないけれども、いまはそういったお店を応援していきたい気持ちが強いこと。
もうひとつ。本とウェブをはじめとした技術はもっと仲良くできると思うからです。
ウェアラブルだIoTだと騒がしい昨今、本屋と技術となると、だいたい思いつくのがネット書店か電子書籍か(それとDTP)といったようなものしかないように思います。
でも、ぼくはもっと活用できると思う。
例えば、ウェアラブルメガネで本棚のどこを見ているかを調べて購買につなげたり、電子書籍をエスプレッソ・ブックマシンを使いその場で印刷したり。すでに近いことがされていたりもしますし、これからもっと行われていくでしょう。
こういった本と技術を掛け合わせたことを含め、本と本屋の魅力を伝えていくような企画をもっとしていきたい。
こんなことを考えて、独立を考えていたときにタイミング良くお手伝いさせていただくことになったのがホンシェルジュと本が好き!だったのです。
どちらもウェブのサービスです。先に書いたようなウェアラブルやIoTに直接かかわっているわけではありませんが、うまくいけば企画を発案し、実現できるかもしれない。
だから、現段階ではフリーランスとしてこのような形で活動することにしました。
もちろんリアル本屋もやりたいです!
そのためにいろいろと画策していきますので、もし良い物件情報などいただけましたらとてもとても嬉しいです(笑)
本の世界をあそぶ
と、まあいろいろな書いていきましたが、最初に書いた通り、ぼくがやりたいのは
「本の世界をもっと豊かにする」
ということです。
具体的には、今まで書いてきたようにホンシェルジュの本と本とのつながりをウェブ上に再現することだったり、ウェブ上の読書コミュニティの活性化だったり、技術との融合だったりといったことです。で、これが実は全て内沼晋太郎氏の言う広義の「本屋」にあたるとぼくは思っている。
とはいえ、変則的な本屋ではなく、場所を持った、通常イメージするような本屋がなければはじまらないとも思っています。何よりも本屋が好きなぼくとしては、好きな場所にはずっと残っていて欲しい。
こうやって考えていくと、BOOKSHOP LOVER、ホンシェルジュ、本が好き!の3つがつながってくるわけです。
何はともあれ、これからやっていくことに大きな変化はありません。いままでやってきたことをよりパワーアップしてやってくようなイメージです。いままではフルタイムで会社に取られていた時間が全部使えると考えると……ひゃーっ、オラ、楽しみだ!!
そんなわけで、BOOKSHOP LOVERを今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
(お仕事や飲みのお誘いも大絶賛お待ちしております! ⇒今までのお仕事はこちら)