以前は天満橋にあったのがそれからすぐに移転したらしい。
その後、なんだかんだと行けていなかったのだがようやく行けた(なんだかそんなお店ばかりだ)。場所は阿波座駅から徒歩5分もかからない程度。江之子島文化総合芸術センターの地下である。
まとめ
時間のない方のためにまとめです。
- 品揃え:不思議な取り合わせ。アートもあればスピリチュアルもある。中には教科書も。
- 雰囲気:東京代々木八幡のリズムアンドブックスをもう少しオシャレにしたような
- 立地:阿波座駅から徒歩5分程度
TEL/FAX 06-6443-8108
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縁とタイミング
この立地。アート系の取り組みも多い建物の中というのは素晴らしい。聞いてみるとご縁とタイミングが重なってお声がかかったとのこと。人生何が起こるか分からないものである。店主もありがたいお話だったと喜んでいた。
レイアウト
それでは早速レイアウトの紹介に入ろう。
店舗の形はカギ型である。正面奥のレジカウンターを突き当たりに左に折れる格好だ。
この奥にあるレジカウンターまでには平台が2つと両脇の壁にボックス型本棚である。左が24個で右が32個。
レジの左側の空間には飾り棚やアンティークの棚と机、突き当たりに本棚である。
地下だけれど右手にある窓から陽射しが見えるの嬉しい。
品揃え
手前のサブカルポップ平台
店舗に入って一番目につく場所にある平台はサブカル女子向けの品揃えだ。
古い漫画や雑貨本、マンガ論などである。特に『まぼろし城』、『白バイボーイ』などは昭和前半の匂いがして堪らないものがある。そのほか『ロシアのかわいいデザインたち』、『手作りカードのアイデア1000』、『漫画原論』、『つげ義春全集』など。さらには雑貨もあり台湾のデザインショップ「品墨良行」のオリジナルノートや手ぬぐい、BICのノート、アロマキャンドルなどが置かれており、サブカル女子向けと言いながらもポップさも残すチョイスが素晴らしい。
奥の平台 映画とごった煮
奥の平台を見てみると映画関係本や雑貨とジャンル分けできない色々だ。
映画は『シネアルバム』や『友よ映画よ』、『ハリウッド・スーパーナチュラル』など。
雑貨はポストカードやマスキングテープ、LAMYのペン、LIFEのノート、造花ボールペン、ペンホルダーなど。
そして、いろいろは雑誌『面白半分』、『d long life design』、『ワケありのペーパーバック300選完全ガイド』、『植草甚一の散歩誌』、寺山修司などになぜか英語の教科書が置いてある。確かにペーパーバックガイドの隣にあることは不自然ではないのだが、なぜオン・ザ・ブックスに……。
店主に聞いてみると、「せっかく買い取ったのにアマゾンやブックオフに売って自分の店に置かないのは悔しいから」とのこと。
いやいやだからって、ねえ。店主と同じく品揃えも愉快なようだ。次の本棚にも期待できる。
レジの爪楊枝
平台を2つ見終わるとすぐレジだ。雑貨とフライヤーといういつも通りの普通の品揃えかと思いきや変なものが置いてある……ミントフレイバーの爪楊枝!?
店主によると海外に行ったときに衝動買いしたらしい。使ってみる結構香りがキツけどそれがヤミツキになるんだとか。面白過ぎるので購入。誰かにあげよう(笑)
入り口左右のボックス棚
入り口まで戻って左右のボックス棚を見る。ここには洋書が多い。
右辺には手前から漫画、酒、音楽、ファッション、アート・写真でところどころに雑貨だ。
漫画は『ゴルゴ13』、『西遊猿伝』、水木しげる、永島慎二『黄色い涙』、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』、『杉浦茂 マンガ館』など。
酒は『日本の名酒』、『サントリーのすべて』、サントリー・ウイスキー・ブリキコースター、ウイスキーのミニボトルなど。
音楽は『別冊 風とロック』、『ボブ・マーリー』、『ポップ1280』、『平井堅ベスト』など。
ファッションは『ファッション狂騒曲』や『男の服こだわりの流儀』、『パリコレ51人』など。
アート・写真は『思想史としてのゴッホ』や『大竹伸朗』、『SUPER FLAT』、『20世紀美術』、『写真との対話』、マン・レイ、『ナショナル・ジオグラフィック傑作選』、ヘルムート・ニュートンなど。マン・レイはかなり気になった。
左辺には少しだけ暮らしと大阪、デザイン、建築という並び。
暮らしは『エスニック料理』、『white hot』、『ウルズラ&パウル・ヴェゲナー作品集』などとコースター、手ぬぐい。
大阪は『日本万国博覧会記念写真集』、『ことりっぷ』、『異民族へのまなざし』など民俗学の本があるのが面白い。
デザインは『蓋の本』、『モダン・タイポグラフィの流れ』、雑誌『アイデア』など。
建築は『クラブデザイン』、『和風モダン』、『建築デザイン術』、『テレビ美術』、雑誌『近代建築』などだ。
オン・ザ・ブックスのメインコンテンツがここに並べられている感じだ。
古本屋なのに新刊コーナー
入り口からだと見えない奥の折れ曲がった場所を見ていこう。
ここにはなんと新刊コーナーがある。古本屋だと聞いていたのになんたること! ってよく考えてみれば天満橋のころも新刊を扱っていたな。これは早とちりだった。失敬失敬。
気を取り直して棚を見るとここにはDVDと新刊である。『IN/SECTS』、『ERECTmagazine』、『JAPAN GRAPH』、『ERECTLab.』などトンがった雑誌ばかりである。『IN/SECTS』いいですよ。インセクツ。
ごった煮コーナー
折れ曲がり先空間の突き当たりには本棚が2本だがここの品揃えが凄い。凄いというかなんと言うか店主の勿体無い感溢れるごった煮コーナーなのである。先ほどの奥の平台にある英語教科書的な謎の本がたくさんあるのだ。
置かれている判型は文庫や単行本と雑誌なのだが、文庫は江戸川乱歩、山田風太郎、浅田次郎、村上春樹などなど小説もので大人しいのだが、単行本になるとタガが外れてきて『夜の勝利』、『サイ・テクノロジー』、『光の記憶』、『巴里ワンワンものがたり』、『一九三四年冬 乱歩』、『最後の冒険家』、『大地という名の食卓』、雑誌『spectator』、『超能力大全』、雑誌『WAVE』、『ざびえるとヤジロウの旅』、『声に出して読みたい方言』、『なるほど! ザ・ワールド』、『たべもの紀行』などなどオカルトものと旅ものという謎の組み合わせを見せるのだ。ところが雑誌は『Free & Easy』、『EYESCREAM』、『relax』、『STUDIO VOICE』、『BRUTUS pen』などで意外と大人しくなっていて、またそれが微妙に中途半端でありその中途半端さが逆に愛らしく思えてくるのだがら不思議だ。カオスになりすぎない絶妙な、でもカッコイイという訳でもないこの感じ。好きだなあ。
最後の奥さんの棚を
レジを見て左側。窓を挟んだ奥には普段使いの机が置かれていて、これがまたいい感じに雰囲気を作っているのだが、話によるとここの選書は店主の奥さんらしい。しかも売れているとのこと。
確かに古本屋に机とかそれが什器とか堪らんものがあるしそこに文房具なんて乗っけた日にゃあ購買意欲が燃え盛ること間違いないのだが(鉄板だけどw)、これをつくった店主の奥さんしってどんな人なんだろうか。気になる。
ちなみに品揃えは『小説「聖書」』、スコットランド王国史話、LIFEの方眼ノート、ツバメノートなどでやや雑貨が多いのもさすがである。
アートな建物でごった煮を
そんな訳で江之子島文化総合芸術センター地下に移転したオン・ザ・ブックス。天満橋の頃も遊び心タップリで素敵だったが、総合芸術センターという仰々しい場所に入ることによって、さらにその遊び心というかごった煮感が強調されたように思う。
なんだろうかこのハイソサイエティな文化施設で嗜むもつ煮的な。しかもそれでいて下品でないこの感じ。
ぜひ直接行って確かめて欲しい。ついでにミントフレーバーな爪楊枝でしーしーやりながら隣のカフェで寛いで行くと言うことないだろう。