ビジネスの一線で働いている人はすべからく忙しそうで短期で怖そうなイメージあるのだけれども、少なくともGoogleではそんなことはない。なぜならチャディー・メン・タンがいたから。彼が本書の名前と同じ講座Search inside yourself(SIY)を開いたからだ。
本書は類書がすでに多く出ているマインドフルネスの教科書であり入門書である。本屋に行って、またはSNS上で目に入ってきたマインドフルネスというものを正直眉唾ものであるぼくは思っていた。いわゆる瞑想を科学的にGoogleが洗練させたというが、たいていの疑似科学は「科学的に証明された」という売り文句を使うからだ(科学は手続きであり思考法であり、また思想の側面もあるため判断が難しいけれども、とりあえず「証明された」と簡単に言う人は疑ってかかった方が良い)。
ご縁もあり読んでみたがこれがまたなかなかしっかりしている。著者が「世界平和を実現するため」という目標を明確にした上でそのための手段として瞑想が遍く人に広まれば良い。広めるためにはスポーツのようにする必要がある。スポーツのように「とにかく健康のために良いもの」というイメージを獲得しなければいけなお。そのためには瞑想から神秘性を剥ぎとってメンタルトレーニングの手法として洗練させる必要がある。だから科学的な究明が重要だし、分かりやすい教科書・入門書が無ければいけない。その教科書・入門書が本書なのだ。シンプルではないか。
(全体に漂う「こうすれば上手くいく!」みたいな胡散臭さは若干感じるが、それは翻訳ビジネスものでは良くあることなので差し引いて考えるとして。)
肝心のマインドフルネスをどうやるのか、というハウツーの部分であるがそこはぜひ読んで、その上で実践して欲しい。ネットやメディアで聞きかじるよりも、しっかり本書を読み意図を汲んだ上で実践する方が効果的だと思うからだ。
さて、ぼくはというと……体への注意から始めたいと思う。