芸術学舎 講義「いつか自分だけの本屋を持つのもいい」第二回レポート ユトレヒト江口宏志×スクー中西孝之 【nomazonから考える新しい本屋をつくるための7つのルール】

偶然見つけた、東京芸術学舎での全5回の講義「いつか自分だけの本屋を持つのもいい」。BRUTUS副編集長であり現在はフリーランス編集者/美術ジャーナリストである鈴木芳雄さん鈴木芳雄さんを司会として毎回続きますワタクシの好みど真ん中の講義でございます。題して「nomazonから考える新しい本屋をつくるための7つのルール」でございます。

  • 東京芸術学舎 http://gakusha.jp/tokyo/
  • 鈴木芳雄 http://fukuhen.lammfromm.jp/
第二回である今回は表参道にございますアート専門書店ユトレヒトの江口宏志様と元SPBSの編集であり、現在はウェブでウェブキャンパスを展開する株式会社スクーの取締役であられる中西孝之様のお二人による講義でございました。
テーマは「お二人が共通して活動しておられるAmazonにはない本をアーカイブしていく活動nomazonの紹介とそこから得られた現在進行形の疑問を投げかけていく」というものでございました。

【nomazonから考える新しい本屋をつくるための7つのルール】

先に「現在進行形の疑問を投げかけていく」と書きましたが、見事なほどに終始投げっぱなしのお話でした。いやそれはもう見事な放り具合でしたとも。そんな講義でしたので結論は出さないゆるい講義でしたね。大変面白かったです!
では、以下に7つのルールで考えたことをまとめていきましょう。

①どこまでが「本」だろう?

これはクレイグ・モドの「超小型」出版:シンプルなツールとシステムを電子出版に」が議論の的でございました。
超小型出版の定義は8つありまして以下の通りでございます。
  1. 3~7記事/号
  2. 小さなファイルサイズ
  3. 電子書籍を意識した料金
  4. 流動的スケジュール
  5. スクロールで読める
  6. 明快なナビ
  7. HTMLベース
  8. ウェブに開かれている
彼はB&Bのイベントで「次の段階へ進んでいくリードをとっていくのは出版の本質とデジタルの利点を両方理解して新しいものを作る人たちなんだろう」とも語っております。
「開かれた本」というのがキーワードだとワタクシは感じました。オープンとクローズドのバランスのとり方と言いますか。本に限らずメディアの課題はどれも同じなのかもしれないですね。

②「本」じゃなきゃだめなのか?

なぜ紙の本でなければならないのかを語りました。やはり、貰った時の嬉しさは紙本だからこそだろうと。別のところでライターの方から伺った「本のプレゼント需要を増やそう」というお話とリンクしたことが個人的に興味深いことでした。

③新しい本のつくりかた

これはキンドルのKDPやパブー、BCCKS、キックスターターなどによるクラウドファンディングによる出版など今までにないカタチの出版が増えて来ていて今後どうなるんだろうねという話でございました。
出版の未来という視点で見ますとやまもといちろう氏のこのエントリが全てを語っているようにワタクシには思えます。
④「本」の売り方

お二人によるとリアル本屋さんは「お客さんに翻弄されている」ようであります。「POSシステムなどマーケティングのし過ぎで新しい出会いの少ない空間になってしまっていると。かと言って、尖りすぎた品揃えでは持ちこたえられない…」と言うのでございます。
先にも書きましたが、スクーの中西さんは元SPBSの編集さんだったようです。その当時のエピソードが大変面白く。どういうことかと申しますと、開店リーマンショック以前のSPBSはガッチガチのセレクト本屋さんだったようなのです。ところが、それではイマイチ売上が伸びないのです。試行錯誤していたところ、リーマンショック以降、ローカルやら何やらそういった「地域に根差した活動」が注目され始め、さらに3.11の震災が訪れたのであります。震災では小説が良く売れたそうです。そこからは、地元のお客さんの方を向くようになり以前より売上がアップしたということなです。なかなかに興味深いお話ではありませんか。
セレクト型書店は運営側は面白いのかもしれませんが、独り善がりにならずにいかにお客さんや地域の特性を取り入れていくかということにキーがあるように思いました。

中西孝之の売り方理論

中西さんの売り方理論として以下5点がありました。これらを目安に考えたそうです。どれも面白かったのですが、つまりは、お客さんとコミュニケーションを如何にとっていくか。そのための指標であるのです。例えば、1番の「期待値調整」でしたら、お客さんに期待させ過ぎないこと。かと言って「どうせ…」などと思われないようにすること。これはどこにでも適用できそうな理論でありますね。
あとは目立つ所でいきますと3番のバンド理論でありますが、これはズバリ「本屋さんは音楽のバンドと同じじゃないか」ということでございます。面白かったのですが中西さまは端折っておられたのが残念でありました。
さらにツイッターのフォロワー数でありますが、こちらは有名書店であればフォロワー数が多いという訳ではないということでありますね。NHKのゆるアカを思い起こさせるお話でございます。
  1. 期待値調整
  2. 伝えたくなる情報
  3. バンド理論
  4. ツイッターのフォロワー数
  5. ウェブの話

⑤読者のはなし

「本屋好きと本好きの違いは何か?」という非常に興味深いテーマでした。
「本屋好きは空間そのものを楽しむので本は買わないが、本好きは本を買いに来る」といったことを仰っていましたね。これは、心当たりがあることでございまして、なかなかに耳の痛い話でございます。何せ財布事情が寂しいことこの上ないのでございます。まあワタクシは気に入った本屋さんでありましたら必ず何かしら(安いものですが)買うようにはしているのですけどもね。

⑥本屋の立地について

これはまあ程々なお話でありました。どんな小売業にも言えることでございますが、如何にその立地でやっていくかということは状況によって何もかもが違ってくるのであるでしょうから一概に言えることなのではないと、そういうことなのではないでしょうか。あまり時間を割かれませんでした。第一回目の幅さんの講義における考現学的アプローチの方が参考になりそうでした。

芸術学舎 講義「いつか自分だけの本屋を持つのもいい」第一回レポート 幅允孝 http://bookshop-lover.com/blog/itukahajibundakenohonyawomotunoii1/

⑦未来の本屋

リブライズのお話とnomazonの次のアクション=UBN(ユニバーサルブックナンバー)の話でありました。
UBNについてはここでは話していませんので、後の飲み会で仰っておりました。オフレコでありますのでこれはあしからず。

リブライズ http://librize.com/
nomazon http://nomazon.net/

これからの「本屋」とは…

以上でございます。まとめると、「イベント」「ローカル=地元のお客さんの方を向く」「UBNに乞うご期待」がキーワードだったようにワタクシ、そう思うのでございますが、第一回目が「新しい本を広める活動」に関する講義であるとしましたら、第二回目の今回は「新しい本屋を考える活動」であるように感じました。

第三回目は茅場町にございます森岡書店の店主様が講師でございます。ここにきてガチ古書店なのでございます。本エントリの執筆時点で既に受講済みなのではありますが、またこれは後ほど。

それでは。

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