本屋探訪記Vol.57:東京表参道にある「Utrecht(ユトレヒト)」では国境を越えたアートの繋がりを感じられる(2014.10.10に移転)

000

実は本屋探訪記をはじめた時からだからもう2年くらい前から知っている。「行かなければ」と大阪のタコ焼きのような月が浮かぶ夜空の下で期待と願望を募らせていたこの本屋は予想を裏切りながらもそれを補って余りある楽しみを見つけてくれたのであった。

本屋探訪記第57弾は表参道にある小さな本屋「UTRECHT(ユトレヒト)」だ(以下は2012年12月22日移転前の記録。2014年10月10日に神宮前に移転)。

まとめ

時間の無い方のためにまとめを。
  • 品揃え:海外アーティストのzineやリトルプレスなど自費出版物を中心に、若干の古本、新刊も扱う。アート系。
  • 雰囲気:ハイアート。移転後は閑静な住宅街なので特に上品さを感じる。
  • 立地:移転前は青山一丁目の大通り沿い。移転後は裏原宿のさらに裏みたいな外れ。見つけにくい。
(移転後)

東京都渋谷区神宮前5-36-6 ケーリーマンション2C
Tel 03-6427-4041
mail info@utrecht.jp
営業時間 12:00-20:00
月曜日休み(祝日の場合は翌日)
URL:http://utrecht.jp/
Twitter:https://twitter.com/ut_idea
Facebook:https://www.facebook.com/NOWIDEA

あえて原宿から向かう

本当なら表参道駅の方が近いのだが乗り換えが面倒なので副都心線明治神宮前駅(原宿)で降りる。絶え間なく流れゆく人ごみに少し困惑しながら坂を降り表参道ヒルズの方角に向かう。もちろん目的地はここではない。ヒルズは通り過ぎてそのまま坂を登る。しばらく歩いていると東京メトロ表参道駅が見えてくる。これもそのまま通り抜けてさらに真っ直ぐ。街並みが少しずつ上品になってきた。学校もある。こんなところの学校に行く子どもは何を考えるのだろう。想像できない。その学校の前。レンガ風の外観をしたマンションの2階にあるのが今回の目的地「ユトレヒト」だ。

独立系本屋さんの筆頭

先に2年前から知っていたと書いたが本屋好きを自称するならば知っていなければモグリと言われても仕方のないほどの有名店である。
アートに特化し通常の流通には載らないようなzine(自費出版の小冊子のこと。ジンと呼ぶ)も多く集めギャラリーまである店内はまるでワンダーランドだ。マンションの一室のため店舗としては大きくないが知らない本にたくさん出会える。アートに興味があるのなら楽しめること間違いなしだ。

店同士がつながった驚きのレイアウト

001

それでは、いつものように店内の説明をしていこう。まず、木製のドアを開けるとはじめは通路となっている。右手に大きくスペースをとってレジカウンターがあり、左手の壁にあるコルクボードには落書きのような作品が描かれている。通路はそんなに長くない。そのまま進むと横長の長方形をした空間となる。通路はそのまま目の前のベランダに繋がるがその通路を挟んで両側に長テーブルが3つ。左側に2つ右側に1つだ。平積みをメインにしながらもブックエンドを利用したリズムある配置で本が置かれている。

長方形の右辺は本棚で古本。左辺は絵本。ベランダの対辺には面陳棚だ。

アメリカンなロックをBGMにしながら左手を真っ直ぐ行くと別店舗のショップとなる。驚きだ。店舗同士が繋がっているだなんて。しかもショップにも一本の本棚があってユトレヒトの本を売っている。どういう経緯でこうなったのか。聞いてみたいところだ。
訪問時は雨上がりだったので利用者は誰もいなかったが真正面のベランダには自由に出ることができる。大きな木のテーブルとメニュー。つまりここはカフェでもあるのだ。さらにカフェのすぐ横には小屋がある。何かと思えば中はギャラリーだ。不思議なつくりである。

入口から左辺の本棚まで

here and there vol.10 the BLUE issueポートレイト 市川実日子 (たのしい写真)here and there vol.3 〈2003 SPRING〉
さて、そろそろ本棚を紹介していこう。入口から壁沿いに左に回ることにする。
入口通路の壁側から見ていこう。ここには小さなテーブルがある。『AVEC』とか『here and there』とか『その森の子供』とかがさらりと置かれている。ホンマタカシが入口すぐにあるのはさすが有名人だなーと顔を上げるとコルクボードにイラストが書かれている。先にも書いたが落書き風のイラストだ。近くにあるポストカードの横にPOPで吉楽洋平とある。きっとこの人のなのだろう。

通路が終わり左に折れると壁沿いに海外のジンが多い。というかジンばかりだ。食い入るように見ていると面陳用の棚を店員さんがおもむろに開けた。実はドアになっていて在庫が入っているらしい。狭い店舗を有効に使う知恵である。

絵本棚と古本棚

ショップには行かずに左辺にある本棚を見る。品揃えは『ぐるぐるちょん」』や『チョコレート工場の秘密』など子ども向けの絵本が中心。ただ中には写真集など絵本ではない大判本もあったので絵本だけというわけではないのだが。ちなみにどれも古本である。
本棚から目を離して右辺に行こうと思ったら目のはしに妙なモノが移る。なんだ、これは。謎の青い毛の化物がいる。カワイイと言えばカワイイが僕としてはそうでもない。見なかったことにして右辺に向かう。あれは何だったのだろう。
右辺の本棚は古本が中心だ。春山行夫や植草甚一、つげ義春に混じって洋書。さらにポストカードも販売中だ。

002

右のテーブル 真ん中のテーブル 左のテーブル

振り返ると入口から見て右側のテーブルだ。ここにはピカソについての本が何冊かと『OSSU』、『tokyo boy alone』、吉楽洋平『BIRDS』(ここにもあった!)、『物物』など新刊本もあるようだ。『物物』はB&BにもSPBSにもある。そんなに刷っていなさそうな本だが人気なのだろうか。

左側1つめはは『WILDER』、『apartment』、『warehouse』、『フィリップ・ワイズベッカー作品集』など。
2つめは『green soccer journal』、『nikukyu issue』、『D.I.Y.DEPT.』など。
左側のテーブルには平積みでジンばかりなのだ。中には写真雑誌のIMAもあったし僕が知らないだけでISBNのついた本もあったかもしれないが少なくとも僕が見た中では『IMA』以外このテーブルにはなかった。

レジカウンター周り

二階堂和美 しゃべったり 書いたり耳かき仕事人サミュエル青春うるはし!うるし部 (URUSHI COMICS)
次はレジカウンター周りを見よう。腰から下の部分は面陳になっており洋書が、視線を上にあげてカウンターの上を見ると日本語書籍だ。『耳かき仕事人 サミュエル』や『青春うるはし! うるし部』、二階堂和美の『しゃべったり書いたり』、『アメリカンガールズハンディブック』などがあり、合間合間に雑貨も置かれている。花が一輪挿しで飾ってあるのを見たときには思わず心を打たれてしまった。

満を持してのベランダ

003

先にも書いたベランダに満を持して出ることにする。カフェとギャラリーは寒くて雨上がりだったこともあり誰もいなかったが、鉢植えも置かれていて晴れた春の日の午後に訪れたら最高な気分になれそうだった。
カフェのすぐそばにある小屋は、一見、鳥小屋のようなのだが、中はギャラリーとなっている。落ち葉が敷き詰められた中に写真の展示。吉楽洋平のBIRDS展だそうだ。道理で。鳥小屋演出に納得した。ちなみに、展示中のプリントは購入できる。1枚5250円也。
(ちなみに2013年10月時点で小屋は取り払われている。)

マンションの一室は本のワンダーランドだった

ユトレヒトは有名店だ。マンションの一室に展開するワンダーランド。
『ブックショップはワンダーランド』という永江朗氏の本がある。そこでは魅力的な本屋さんが永江朗氏の素晴らしい文章で紹介されているがユトレヒトはそのどの店とも違った独特の世界を構築している。まず、大型書店に置かれているような本が少ない。というか通常の流通に載っている本自体が少ない。その上にカフェもギャラリーもあり、マンションの一室とは思えない奥深い世界が広がっている。ウェブサイトを見てみると海外のジンは直接作家から仕入れているものもあるようだ。そういったコミュニティが形成されているからこそユトレヒトは表参道という一等地において今でも有名店であり得るのだろう。独立系書店の一つの理想を見た気がした。

005

コメント

  1. お園 より:

    わ~い!、古本屋さんだー!!。

    行ってみたいです。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です