移動式本屋「BOOK TRUCK」をご存知だろうか。代官山ヒルサイドマーケットや東京蚤の市、赤坂蚤の市などに出現する青いトラック。それがBOOK TRUCKだ。
そのBOOK TRUCKがついに固定店舗を開店すると聞いた。当然、行かねばなるまいと訪ねたのが2014年4月25日のことである(2015.4.22に西横浜に移転)。
まとめ
時間のない方のためにまとめです。
- 品揃え:幅広い品揃え。読み物からビジュアル本まで。
- 雰囲気:本好きの家に迷い込んだような。
- 立地:大倉山駅から徒歩3分程度
Twitter:https://twitter.com/book_apart
Facebook:https://www.facebook.com/mybookapart
過ごしやすそうな街
場所は東急東横線「大倉山」駅。聞いたことのない駅だ。降りてみると車通りが激しいが駅前商店街のように道の両側に店が並んでいる。ミスドやマックに混じって小さいお店があるのが素晴らしい。
駅のすぐ近くに大倉山記念館という施設があった。文化レベルが高そうな街である。
集合住宅にある本屋
大倉山駅から歩いてすぐにBOOK APARTのある大倉山集合住宅がある。妹島和世さんという建築家の作らしい。美術館のような見た目に「なるほど」と一人納得。
スリバチ的構造
で、入ってみるとこの住宅。変である。まず一階が異常に狭い。店主によると上に行くほど広くなるスリバチ状の建物らしい。さすが世界的建築家。考えることが違いますな!
読書家の家に迷い込んだら
最上階の3階まで上がってみたのだが確かに住宅である。ベッドもあればキッチンもある。最後にはベランダまで付いちゃったりして間違いなくデザイナーズ住宅そのものである。
つまり、だ。このBOOK APARTはまさに「本のアパートメント」であり読書家の家で買い物ができるようなものなのである。
生活空間ごとにゆるやかにジャンル分けされた本棚。大きく取られた窓。本好きにとっては夢のような空間なのだ。
というか住みたいよ、ぼくは‼︎
レイアウト
さて、具体的にどんな空間かを説明していこう。
まず一階はレジのみ。スリバチの底なので当たり前である。誰が何と言おうが当たり前である。
次に二階はベッドルームだ。階段上がってすぐにベッドがあって隣に大きな窓。取り囲むように本棚と平台テーブルがある。
最後の三階はなかなかに広い。だいたい二階の1.5倍くらいだろうか。ここはリビングで階段上がってすぐにソファとテーブル。その目の前に本棚があり、奥に行くといったん通路が狭くなる。ここがキッチンだ。当然ここにも本棚が。キッチンを抜けるとまた広くなり椅子がいくつかとテーブル一台。突き当たりはベランダである。
よく見るとベランダに本棚が一本。どうやらそのうち本を置くつもりらしい。ベランダに椅子を置いて読書とか最高ですな。
品揃え
三階は酒の肴
三階の突き当たりまで来たので戻りながら本棚を紹介していきたい。
一番奥は「旅や暮らし」のコーナーだ。
藤原新也、吉本ばなな、沢木耕太郎、雑誌『BIRD』、『BRUTUS』、世界文化シリーズ、謎の海外釣り雑誌、『WILDER』、『フィリップ・ワイズベイカー作品集』、『リンカラン』、『暮らしの手帖』が大量にあったりする。ベランダのすぐそばにこの品揃えというのが憎たらしい。窓を開けてそのままどこかに飛んで行きたくなるではないか。
キッチンにはもちろん飲食関係だ。
雑誌『Arne』、BRUTUSの飲食関係特集、高山なおみ、『パテ屋の店先から』、『すてきなあなたに』、『日本の大切なモノコトヒト』、「YUCARI』、洋書などである。
ソファ周りにはデザインやアート、映画関連の本。
まず一番目立つテーブルの上には『MONO CULTURE』、ノーマン・ロックウェルの超大判本。テーブルに置かないと見れないような超大判本である。これを持てるような部屋に住んでみたいが……夢を見るのはやめておこう。
ソファから一望できる棚には『逆行』、『デザインの現場』、「グラフィックデザインの入口』、『さよならアンディ』、『コブナ少年』、雑誌『purple』、『STUDIO VOICE』、『BRUTUS』が大量に、『PLAYBOY』、『ヒーシーイット』、『ニクキュー』、『ワールド・スタンダード・ロック』、『ワールド・シネマ!』、『CINEMA APIED』などだ。
このように三階は雑誌を中心に読みやすそうな本が多い。リビングでソファに寝そべりながら読書。お腹が減ったらキッチンで軽くおつまみを作ったりして。飲み会後の終着駅。眠い人は眠れば良いし話し足りない人は話せば良い。そんなゆるいチルアウト空間の肴的本棚が三階なのだ。
酒の肴としての本。良い響きである。
二階はリラックスタイム
三階が仲間と楽しむ場所だとしたら二階は一人でゆっくりするスペースである。
まず三階から二階に下る階段にはガーリー系である。『流行通信』や『UNION』、魚喃キリコ、岡崎京子などだ。なんとなく内向的な雰囲気。
その次がいろいろひっくるめて「社会」や「思想」と括れるかというと少し違うライトな「読み物」ジャンルである。強引だがそうとしか言えないので仕方ない。
『AERA Mook』、『papyrus』、『ユリイカ』、『「在外」日本人』、『自分の仕事をつくる』、『プロ論』、『現実入門』、『リトル・トリー』、世界教養全集、『寺田寅彦全集』、博物学ドキュメントシリーズなど。
テーブルの上には絵本が平置きである。子どもに紹介したい本だ。『シュナの旅』、『スヌーピー』、『怪獣たちのいるところ』などである。
次が文学。ベッドのちょうど足元に当たる部分に本棚が何本かあるのだ。
村上春樹、稲垣足穂、『monkey business』、山崎ナオコーラ、東直子、高橋しん、宮沢賢治、沢木耕太郎、天童荒太、中島らも、集英社ギャラリー「世界の文学」、カポーティ、ポール・オースター、カート・ヴォネガット、バロウズ、『APIED』など、
さらにファッション系も若干あり、『流行通信』や『チープ・シック』、『POPEYE』、『BOGUE』などが置いてある。
最後。ベッドの頭部分には絵本がそっと並べられている。就寝前に絵本を読むだなんて優雅なひとときではないか。
『三びきのこぶた』、『こどものための百科』、世界の詩とメルヘン、ブルーナの絵本、スヌーピーの洋書、ピーターラビットの絵本、ファブリ世界名作シリーズなどで、とくに世界の詩とメルヘンは店主のオススメだ。世界各地の詩が収められた本書はカセットテープが同封されており耳でも楽しむことができる。ポエトリーリーディングをひとり静かに楽しむだなんで最高である。もちろんカセットテープを聴く装置があればなのだが。
読書家の本棚を楽しもう
これでBOOK APARTの本棚はほぼすべて見て回った(実は店の外にセール棚があるのだがここは割愛させて頂く)。
よく晴れた日に大倉山記念館を楽しんだあと、疲れた足をBOOK APARTのソファで本を眺めながら休ませる。そんな休日はどうだろう。まずは大倉山に一度足を運んでみて欲しい。そして、そのときにはBOOK APARTにも忘れずに行って欲しい。きっと楽しめるから。