6月23日に行った本屋巡りで訪れた古本屋である。本当はSO BOOKSに行きたかったのだがあいにくの休日。他に都立大学駅から行きやすい本屋と相談していたときに名前が挙がったのがここ。「リズムアンドブックス」だった。
素敵な名前に期待しながら代々木八幡駅から歩いた。「リズム」と付くからには音楽本が多いのだろうか。
着いてみると雑居ビルの一階。しかも入口は薄暗いビルの奥にある。こういう怪しげな雰囲気が好きなぼくはワクワクしながら中に入った(というわけで以下は2013年6月23日の記録だ)。
まとめ
時間のない方のためにまとめです。
- 品揃え:絵本や文学、きのこ本、テレビ本、エロ系など何でもござれだが下品なわけではない。
- 雰囲気:土地柄かいくらか上品な雰囲気のおもちゃ箱。
- 立地:代々木八幡駅から徒歩5分程度
TEL:03-6407-0788
FAX:03-6407-0788
営業時間:平日12〜22時、土日祝12〜20時
メール:info@rhythm-books.com
URL:http://rhythm-books.com/
Twitter:https://twitter.com/rhythm_books
Facebook:https://www.facebook.com/pages/RHYTHM_AND_BOOKS-%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9/120731584707891
店舗入口前の均一棚
ビルの入口のさらに奥の店舗入口前に均一棚がある。
100円と200〜500円コーナーで、文庫や単行本、雑誌、フリーペーパー(売ってる!)ノンジャンルでなんでもありの棚だ。結構な冊数なので何か掘り出し物があるかもしれないと期待してしまう。
ビレバン的店内
店内に入るとおもちゃ箱のような内装に驚く。もちろんほとんどが本なのだがところどころに雑貨があったりレイアウトの工夫があったり品揃えも一筋縄ではいかないものばかりで見ていて飽きない。
流れているのはアメリカのポップス。奥に細長い形で真ん中に店舗を分けるように本棚が一列置かれている。レジは左奥。もちろん壁はすべて本棚だ。
品揃え
店舗左辺は女性向け、文学、社会系
左回りに本棚を見ていこう。
入ってすぐ左には雑誌『イラストノート』の500円箱と絵本の500円箱である。それにしてもいつ見てもこの均一箱というのはワクワクするな。
本棚は9本あって手前から、一つ目は毛糸あみもの、かぎ針棒針、その他手芸、夢二本、雑誌『主婦之友』の古いもの、夢二の本、雑誌『魚菜』など。
2つめから4つめは食など、よりハッキリ女性向けで『フルーツレシピ』、『ラクラク家事の本』、竹久夢二の本など。
5つめから7つめは文庫が5段と単行本3段で文学棚である。小栗虫太郎、岩波文庫、サンリオSF文庫、『虚無への供物』、西村京太郎、開高健、ガルシア・マルケス『族長の秋』、安部公房、三島由紀夫など。日本文学が多かったように思った。
ここでレジを挟んで奥に8つめ9つめがあり、突き当たりだ。
戦争・革命・過激派のこの棚には、『市民運動の時代です』、『毒と薬』、『関東やくざ者』、『カイロの庶民生活』、埴谷雄高などがあり急にディープな品揃えになったとドキッとする。
店舗奥の辺はアート系
収まらない鼓動を感じつつ体の向きを変えると、突き当たり7つの本棚は映画、建築、写真などアートの大判本と単行本である。
1960年代の建築雑誌や『建築のパフォーマンス』、『牛タコさっちゃん』、『ロングセラーデザイン』、『和田誠 装丁の本』、横尾忠則、アラーキー、黒澤明、『そして映画はつづく』などなどで好きな分野を見てホッとした。
店舗右辺の大衆本と音楽
右辺は奥から見ていく。
ここで急に棚がポップになったことに驚く5本を使ってテレビものがあるのだ。『3年B組金八先生』、『今夜は最高!』、みうらじゅん、ビートたけしなどである。
さらに6本目の棚はというと、なんとプロレス棚である。『プロレス大研究』、力道山など。まさに大衆本押しである。それにしても決して広くはない店内で6本もの本棚を使って展開するとは。先にも述べたが一筋縄ではいかない店である。
またここでガラッと変わって7〜9本目は音楽の棚となる。各種CDやジャニス・ジョップリン、『ビルボードナンバー1ヒット』、『』、松本隆、『ジャズ百科事典』、『ロック革命時代』など。いつもの古本屋の品揃えに戻ってまたホッとした。
右辺の最後3本はマンガ棚である。永嶋慎二、『鉄腕アトム』など手塚治虫、石ノ森章太郎、萩尾望都、古屋兎丸など。
右辺の棚は全体的ライトなサブカル棚と言えるだろう。
入口すぐ横の本棚は図鑑と絵本
マンガ棚を見終ったので体の向きを変えて入口側を見ると入り口の辺に本棚が3つある。学習図鑑シリーズと講談社の絵本ゴールド版、『ガロ』などが置かれた棚だ。
はじめに紹介した女性向けのコーナーと合わせてお母さん向けのコーナーなのだろう。
SUNNYBOY BOOKSもそうだったが入口近くにお母さん向けコーナーにするというのは効果的なのだろうか。できれば店主に聞いてみたいものだ。
店舗中央の本棚
左半分はキノコとサブカル
最後に残した店舗中央の本棚を見る。入口から向かって左側で一番目立つ場所にあるのがキノココーナーだ。ここが本棚の手前3分の1程度を占める。
きのこの絵本やときめくきのこ、きのこ図鑑などで、次は雑貨だ。古い切手やピンバッジなどである。
ここまでが本棚の半分で残り奥の半分はオカルトやオモシロ系となっている。
超能力やエキサイティングシティー東京コーナー、中国拳法、忍者の本などである。
残り半分と書いたが実は一番奥にはデザイン本もあったりする。店舗奥の辺のアートコーナーに近いからだろう。ブルータス85年の本など大判本が多かった。
右半分は子供向けと大人向け(笑)
本棚を挟んでぐるりと回り店舗中央の本棚の右側を覗く。
手前にあるのは洋書の絵本でこれが列の半分を占める。次の一本は児童書だ。入門百科シリーズ、日本少国民文庫など。これは入口近くのお母さん向けコーナーを意識してのことだろう。
しかし、ここから様子がおかしくなってくる。
近代文学で中井英夫や澁澤龍彦、小栗虫太郎なと怪しい面々が並び立ち奥の二本はなんとエロなのだ。『現代の性』や『ポルノ76』、『えろすいんどら』など児童書コーナーの近くにこの品揃え! 品行方正な奥様方からクレームが来てしまいそうだ。もちろんエロエロなぼくは堪能させて頂いたしこの本屋がより好きになったわけだが(笑)
おもちゃ箱のような古本屋
最後がエロで恐縮だがこれでリズムアンドブックスの棚はすべて見終わった。
ガーリーな棚にはじまり文学を経てドギツい革命本に至る。親和性が微妙に高いアートの棚のあとになぜかの大衆本。音楽本棚で安心して子供向けで入口に戻る。残しておいた中央の本棚にはキノコ本がニョキニョキとその存在を主張し雑貨と混じりながらUFOと交信。アート本もあったことを思い出して入口側まで戻る。再びのお母さん向けの本に癒されて、夢野先生に怪しい世界に連れ込まれる。最後に見たのは淡く果てしない性の夢。
ここまで書いてあらためて思ったが節操のない品揃えである。だがそれがいい。おもちゃ箱をひっくり返したような程よいチャンプルー感に身も心も絆されて気付いたときには目当ての本をレジに持っていくこと間違いなしである。
いやこれはなかなかに得難い経験であった。