ずいぶん時間が経ってしまったが、以前、海文堂書店に行ったときに寄った。本屋探訪第42弾は、神戸にある特撮・コミックが得意な小さな古書店「ポレポレ書舗」だ(以下は2011年12月18日に訪問の記録である)。
まとめ
まず、時間のない方の為にまとめを。
- 品揃え:本の数は多くないが代わりに雑貨が置いてある。コミックと特撮モノの本が多い。
- 雰囲気: 基本が木製の作りで照明はダウンライト。「大人の遊び心が詰まった店」って感じ。レトロでオシャレ。
- 立地:元町駅から歩いて10分。南側の雑貨屋が多い通りにあるビルの4階。ビル入り口に立て看板はあるが非常に分かり難い。
Open 12:00~19:00 水曜日・第2第4木曜日定休
blog:http://ameblo.jp/konmaa/
店までの道
雑貨屋さんを眺めながら道を歩いていると「本」の文字。気になったので行ってみる事にした。看板を見るとビルの4階にあるらしい。雑貨屋やカフェなどがある中、階段を上って4階へ。ビルの一室のドアが開いている。ここが「ポレポレ書舗」だ。
レイアウトほか
入ってみると店内は6畳ほどの広さである。大体ワンルームマンションと同じくらいだ。BGMはラジオで店主はロングのお兄さん。店舗の形は入り口と正面奥の辺が広い長方形だ。
右辺と正面の辺の右半分に本棚があり下を見ると膝くらいの高さに平台が正面の辺の左端まで続いている。その左端には本棚一つがあり足元には段ボール箱。これはもちろん本箱だ。入り口から入ってすぐ左手のレジカウンターなど本棚がない壁には雑貨が置かれている。
店舗の真ん中には大きめと小さめのテーブルが一つずつ。大きい方の右横はちょうど壁棚前に位置しており、肩くらいの高さの本棚が置かれている。小さいほうには雑貨だ。まとめにもあるが雰囲気はレトロ系でかなりいい感じである。本棚やテーブルなど什器はほとんどがアンティーク調(本物かもしれない)であるし明かりもダウンライトでいい感じ。振り子時計の音がラジオに紛れながら聞こえていた。
入り口から入って右手のガラスケース
入り口から入ってすぐ右手には突き当たり(右辺との)までガラスケースがある。上には文庫が置かれているが何やら普通の本ではなさそうだ。良く見てみると「文庫改製本」とある。なんと活版印刷の本の再生本のようなのだ。文庫本を上製本に治したのだろう。風情が感じられる。書名はと言えば『ふしぎの国のアリス』、『スカイクロラ』、『人間の土地』、『限りなく透明に近いブルー』、『銀河鉄道の夜』などだ。古典的名作から現代文学まで10冊ほどと数は少ないが幅の広い品揃えである。
また、ガラスケースには文庫改製本の他にも髪留めやオリジナルしおり、万華鏡、工房ずーの素焼きの動物たち、日本の骨董置物など個性的な雑貨が並んでおり店主のこだわりが感じられた。
店舗右辺の本棚
右辺の本棚は全てマンガか特撮やマンガについての本、雑誌、大判本である。
『マンガイラストテクニック大百科』、『大阪ハムレット』、『闇のパープルアイ』、『まんがサイエンス』、『サルでも描けるまんが教室』、『よつばと』、『ブラックジャック』、『平成ゴジラ大全』、『怪獣学入門!』、『特撮をめぐる人々』、『カルト怪獣コレクション』、『日本プラモデル50年史』などのほか仮面ライダー本、ウルトラマン本、ゴジラ本、怪獣本、ヒーロー本が多数だ。
実は店頭に「ポレポレ書舗」が載っている記事が貼ってあったのだがそこに店主は特撮好きと書いてあった。僕は知らなかったが実はマニア垂涎の店なのかもしれない。
店舗正面奥の辺
正面奥の辺には本棚が2つあり残りは平台と雑貨棚である。
本棚には本が3分の2で他は雑貨が置かれている。
品揃えはコロコロの古本が一列半に「プラモつくろう」のDVDや『藤子F不二雄大全集』などのマンガ・サブカル系と『思想地図β vol.1』、『ゴッホの遺言』、『学芸員のひとりごと』、『近代世界美術全集』10冊ほど、『美術手帖』、展覧会の図録、『どうせなにもみえない』、雑誌『和楽』、『秘技探訪』など社会・アート系に大別される。
また、本棚に入っている雑貨はレオナルドダヴィンチのエアスクリューとガラス工房和泉屋のネックレスである。特に、エアスクリューは組み立てた見本もあり店主のオススメ商品であることを感じさせる。
雑貨棚は腰くらいの高さで3つあり平台も含め中(上)にはネックレスと陶器、焼き物(七右工門窯)が置かれている。目を上げて壁を見るとなんと目の前には店主手書きの絵が飾られていた。リアルなタッチで子猫を描いている。かわいらしさが良く出ている。というか可愛い!最高!猫サイコー!…とまあ個人的な呟きはさておき次の棚に移る。
店舗の左辺
店舗の左辺には本棚が一つある。7段で2mほどの高さだ。
ジャンル分けは特になく『図書館ねこデューイ』、『やさしいダンテ』、『世界の名刺コレクション』、『完全復刻版妖奇伝』、『古本屋開業入門』、『ピストルと銃の図鑑』、『国民の道徳』などサブカルから固い本まで分け隔てなく並べられている。
本棚の隣にはガラス戸の展示棚だ。雑貨が置かれている。品揃えはというとChapeの手作りビーズアクセサリー、加賀指貫、着物やアンティーク生地でできた文庫カバーである。
視線を落としてみると、足元には木箱があった。中は雑誌だ。『BRUTUS』や『Newton』、『GEO』などである。数は全部で4,50冊ほどと多くはない。雑誌の扱いは少ないのだろう。視線を上げて、ガラス戸の展示棚の隣を見るとポストカードが飾られている。ソファーの上とアンティークラックにだ。この左辺は、女性向けな品揃えであると感じた。
レジカウンター
左辺の隣。入り口から入ってすぐ右手にはレジカウンターがある。店主は読書中で、ラジオと振り子時計の音が響くばかりだ。
真ん中テーブル
最後に店舗の真ん中にあるテーブルを見て行こう。入り口のすぐ前に位置する場所には先ほどと同じダヴィンチのエアロスペースがある。さらに、すぐ近くにあるガラス戸の展示棚には航空模型もある。組み立てキットと一緒にだ。また、大人の科学投影式万華鏡もあった。大人のためのお手軽キットといったところだろうか。
その右(店舗右辺の壁棚正面)には五段の本棚があり、中身は文庫本だ。棚の上には『ブレスレットとかくてる』という5人組アイドルユニットのCDがあり、中は『まんがで読破シリーズ』10冊やほっと文庫、『眠狂四郎』シリーズ10冊、『少年H』、『わが闘争』、宮部みゆき6冊、トンデモ本などジャンルわけはほとんどない。オタクから歴史文庫までといった趣である。
文庫棚の右(入り口から見てテーブルの奥)には『この、昔からプラモデル屋にあるものは何なのか』コーナーがあった。レトロ感爆発である。『Ma.k』や『きう』シリーズ、パトレイバーの主人公機とグリフォンなど。僕はおもちゃ関係は全く分からないが好きな人は好きそうな品揃えだと思う。また、この手前にが小さいテーブルがあり、オモチャのコミックスネークと点取り占い、ガラスのチェス盤などがあった。
最後に
これで「ポレポレ書舗」は全て観て回ったことになる。如何だっただろうか。僕はこの店は『大人の遊び心が詰まった店』であると思う。「レトロ」「特撮」「手づくり」「マンガ」「おもちゃ」といったキーワードに合致するようなアイテムが十分なゆとりを持って並べられ一部では店主の自作の絵も飾られる。自分の趣味を店で再現した店とも言え店主と感覚が会う人には堪らない空間のはずだ。
「特撮・マンガ好き」「おもちゃ好き」はもちろん、「引退後は古本屋をしてみよう」とか「好きなように店作りをしてみたい」なんて思っている方にもオススメできる知る人ぞ知る店なのである。