東京のお店は時間がないのでなかなか取り上げることができないのだが頑張った。吉祥寺といえばこの店。本屋探訪記第43弾は「バサラブックス」(以下は2011年12月24日に行った記録である)。
まとめ
まず、時間のない方のために短くまとめを。
- 品揃え:狭いので量はないが個人的にど真ん中の品揃え。サブカル、幻想文学、文学、音楽、写真集、zine(ジン)
- 雰囲気:路面店。 什器が木製なので手作り感が出ていて良い感じ。
- 立地:JR中央線吉祥寺駅から徒歩3分。駅前とまでは言えないが近い。
TEL:0422-47-3764
営業時間 13:00-23:30
月曜日定休(月曜日が祝日の際は、翌火曜日がお休みになります。)
※接客中の場合、直ぐに電話に、出られないことがございます。
店内の様子
今回は写真の許可を貰えたので、以下の写真を見ながら読むとイメージしやすいかもしれない。
外の安売りコーナー
ということで店の紹介をする。店内に入る前に外の安売りコーナーを紹介したい。
入り口の両端には棚があって左は200~500円コーナー。右は100円均一と三冊で200円のコーナー。ほかには足元に文庫を入れた木箱が置いてある。 内容はというと文庫、新書、マンガ、雑誌、単行本、大判本と他の古本屋の安売りコーナーと同様に何でもあって『アジアの世界』、『ダイホンヤとりみき』、『ブレインルール』、雑誌『真夜中』、雑誌『別冊太陽』、雑誌『ブルータス』、雑誌『スタジオボイス』、雑誌『隔月刊 風景写真』、『存在の耐え難きサルサ』、マンガ『無限の住人』といった内容だ。
店内レイアウト
店内のレイアウトを紹介する。 奥に長い台形で短辺が左にある店舗だ。広さは6畳ほど。珍しい作りなのだが、入っていきなり目の前にレジカウンターである。もう本当に目の前だ。左側に体の向きを変えると、棚が大きいものが1つ、窓沿いに本が並べられているのが見える。 くるりと振り返る途中で入り口を挟むように幅30cmもないような細長い棚が2つあるのが見え、振り返りきったら店の右側。こちら側から店舗の奥に行けるようになっている。レジカウンターを囲むようにして通路があり、壁、道に面したガラス、レジ沿いにそれぞれ本棚がある。
入って左の本棚3つ
入り口から入って左側にある本棚3を紹介する。 まず入り口のすぐ左に30cmもない幅の細い本棚がありそこには渋い文庫が10冊ほどずつ並べられている。講談社学術文庫、角川の金色のヤツ、サンリオSF文庫などを中心に書名はというと『スモール・イズ・ビューティフル』、『ガリア戦記』、『ランボオの手紙』、『砂漠の反乱』、『テレポーテーション作戦』などだ。なぜか、お東陽先生のトートバッグも売られていた。 一方、左を向いてすぐある台形の短辺にあたる壁には広めの棚がある。主にマンガ、単行本、大判本が上段から順にあり、単行本と大判本では映画ものが多い。具体的には以下のような本だ。
- マンガ:『サイバラ茸』、『大島弓子選集』、『主に泣いてます』、『敷居の住人』、『星座の女』
- 単行本:中沢新一『東方的』、『アースダイバー』、『安藤忠雄 建築を語る』、『連戦連敗』、『ブガシャの時代』、『野生のブッダ』、『世界屠畜紀行』、梅原猛『京都発見』
- 大判本:『眼球譚』、『運命の女優』、『遊学の話』、『大映映画Ⅲ』
3つ目の棚はというと、一つ目の細い棚と二つ目の広い棚に囲まれるように外に面した窓沿いにある。ここでは「鳥取が生んだ妖怪 水木しげるコーナー」が小さいながらも展開中だ(あくまで去年のことなので現在はやっていない可能性が高い)。 『妖怪大戦争』や『悪魔くん』、『死神大戦記』などでこんな端っこでやることないのにと思いながらも古本屋でこういうコーナーを造ろうという気概に思わずウキウキしてしまった。
レジカウンターのCDと本
振り向いて本棚に以降と思ったらレジカウンターの下部にCDとすぐ横に本がある。CDは「赤い疑惑」や「東京ファミリーストーリー」、「凍る炎」、「ラムヒー」など。本は雑誌『本とコンピューター』、トマスピンチョン『V.』などだ。CDの品揃えがマニアックで何個か欲しくなってしまった。いや、金欠気味だったので買わなかったけど…。
レジカウンター沿いに奥まで
そのままレジカウンター沿いに折れ曲がって店の奥に通じる道に行く。するとレジ沿いに木製の本棚が2つあるここは文庫を中心とした文学、SF、幻想文学といったジャンルの棚である。
向かって左の棚では「ポケットに名作文庫コーナー」が棚の一部を使って行われている。 そのコーナーを含めて品揃えは上段二段にセット本として『アンダー・ザ・ドーム』の上下巻、ちくま文庫の『内田百間全24巻セット』21000円。内田百間『阿防列車』、『第二阿防列車』、『ゾクレンシャー』、『マークスの山』。『重力ピエロ』、講談社文芸文庫が三段分とちょっとあり、他に『ラヴクラフト全集』が少々、コリンウィルソン『オカルト』上下巻、『大いなる遺産』上下巻などだ。
右側の棚では特にコーナーはない。品揃えはというと一番上に洋書の大判本。以下、セット本として『富士に立つ影』6巻セット1200円、『20世紀SF』5巻セット2500円、『シンセミア4巻』セット千円など。セット本以外では幻想小説とSFがメインだ。ヴォネガット、バロウズ、ブコウスキー、中島らも、久世光彦、ドストエフスキー、町田康、澁澤龍彦、江戸川乱歩などの本が並んでいる。
また、足元に平台がありそこでは単行本や大判本がある。『ボブディラン全詩302篇』、『郵便少年 横尾忠則』、『神様は本を読まない』、『少年十字軍』などだ。
店舗奥の暗がり
レジ沿いにそのまま進むと段差があり、奥に進むことができる。レジの裏を使ったちょっとしたスペースだ。壁沿いに棚が4つあるのだがレジ裏沿いの棚と平台から紹介していく。ここにあるのはマイナーだけど知る人ぞ知るマンガだ。 『劇画漂流』、『怪傑ハリマオ』、『刑務所の前』、『山上たつひこ選集』、『月刊おゆき』、『乱歩パノラマ 丸尾末広画集』などである。
そのまま右を見てみるとそこにも棚だ。なぜかアダルトグッズが置かれた棚。 古本屋でラブグッズ。おかしな取り合わせである。エロ本がおかれている店は多いがグッズがおいてあるのは初めてである。といってもローションとローターが上段に置いてあるだけだが。
その他は単行本とフリスビーやバッグ、Tシャツなど雑貨だ。書名は『夢の終わりに』や『舞姫タイス』、『エンジェル・アト・マイテーブル』など。
ここが終わるとレジ裏の左奥の隅にある細い棚に至る。ここは幻想文学の単行本と大判本だ。コリンウィルソン『現代殺人百科』、『陳列棚のフリークス』、『オカルト生理学』。ほか澁澤龍彦、中井英夫などの本が並べられている。きっと店主が幻想文学のことを好きなのだろうな、と思わせる品揃えである。
その隣がレジ裏に入った時に一番初めに正面に見える棚だ。こちら広い棚で映画・音楽・演劇の棚となっている。 具体的には『ゾンビサーガ』、『ロシアアヴァンギャルド』、『興行師たちの映画史』、『ヒッチコック万歳!』、『ソヴェート映画史』、『ジョン・コルトレーン』、『カールリヒター論』、『芸術家起業論』、『芸術闘争論』など。
店舗の台形底辺の壁棚(入り口入って右側)
正面棚が終わると店舗台形底辺の壁(入り口入って右側)に至る。ここの壁棚は外に面した窓まで一直線だ。店舗奥側から順番に見ていこう。
まず、ビニールに吊るされたCD。内容はカウンターと同じだが遊び心を感じさせる。棚には順番に本の本、思想、文学、幻想文学で思想で一列半、幻想文学、文学で一列半、ちくま文庫、ちくま学芸文庫、講談社学術文庫、岩波文庫、岩波現代文庫、平凡社ライブラリー、新書で一列、マンガで二列で最後の棚はミニコミコーナーとなっている。 足元には平台がありこちらの並びは積み上げたり並べたりテキトーだ。それぞれジャンルごとに目立った書名を挙げていくと以下の通り。
- 本の本:『地獄の読書録』、『古本暮らし』、『編集狂時代』
- 文学:『SFに何ができるか』、『小島信夫批評集成』、トマスピンチョン、稲垣足穂、松岡正剛『遊学』、J・G・バラード、ル・クレジオ、バタイユ『眼球譚』、ガルシア・マルケス『族長の秋』、『百年の孤独』、『トゥルゲーネフ伝』
- 思想:法政大学出版が20冊くらい、雑誌『ユリイカ』10冊、『思想地図β』vol.1、フーコー、バシュラール
- マンガ:『センセイの鞄』のマンガ、『アンラッキーヤングメン』、『とらわれペンギン』、山本直樹『レッド』三巻セット、手塚治虫、つげ義春、
- その他:雑誌『真夜中』、雑誌『風の旅人』
- ミニコミ:『雲遊天下』、『野宿野郎』、『映画時代』、『トラッシュアップ』、『プロジェクトフクシマ!』
関西だとガケ書房やスタンダードブックストアにあるようなミニコミがあるのが嬉しい。特に『トラッシュアップ』。日本唯一のトラッシュカルチャーマガジンらしい。立ち読みしてみたがこれはヒドイ! ゾンビやらグロ系である。でもなぜだか最後まで読んでしまった。怖いもの好きな人は読んでみてもいいかも…いやあまりお勧めはしませんがww
入り口入すぐ右側の棚とCDコーナー
店舗右(台形底辺)の壁棚が終わり、突き当たって窓沿いには腰くらいまでの本棚とその上にCD視聴コーナーがある。内容はカウンターと同じだがこれをミニコミコーナーのすぐ隣に持ってくるあたりが僕がこのお店を好きな理由でもある。客との距離が近いような感じがするのだ。何よりトクマルシューゴがあるしね。
本棚には大判本と新入荷コーナーだ。
- 新入荷コーナー(2011年12月23日時点):『評価経済社会』、『ファイナルクラッシュ』、『どうすれば人を創れるか』など。
- 大判本:『鈴木いづみ セカンドコレクション』や『東京ロンダリング』、『竹久夢二コレクション』、『写真 都市風景図鑑』、『木村伊兵衛の秋田』、『この写真がすごい2008』など。
入り口すぐ横の細い棚
もうほぼこれで店舗を一周したことになるのだが、そう思って帰ろうとすると目に飛び込んでくる細―い棚がある。はじめに紹介した幅が30cmにも満たない棚と同じ形で、入り口を挟んで対になっている。中身はというと「品切れ文庫コーナー」らしい。古本好きには必見のコーナーだ。気づいて良かったと胸を撫で下ろしつつ品揃えをチェックする。 福武文庫、講談社学芸文庫、新潮文庫、ちくま学芸文庫、ちくま文庫、平凡社ライブラリーなどの絶版文庫だ。『日本のアウトサイダー』、『ナボコフの一ダース』、『落日のモンマルトル』、『映画の神話学』など。今回欲しいものは無かったが小まめにチェックしたい棚である。
サブカル好きには堪らない!
如何でしたでしょうか。「バサラブックス」。吉祥寺は他にも古本屋や面白い新刊書店があるようなのですが実はまだここと駅前の古本センターしか知らず。他にも行ってみたいと常々思いながらなぜか足は「バサラブックス」に向かってしまうという…。サブカル好きにはたまらない本屋です!吉祥寺にお寄りの際はぜひ行ってみてください!!