10月からセタブンさんとお仕事をさせていただくことになったので図録はいただいていたのだが肝心の展示を観に行っていなかったのがようやく行けた。図録をもらった打合せから1ヶ月後のことである。
さて、安西水丸さんと言えば本屋を追っていたらこれでもかと目にする存在であり、僕個人としては村上春樹の本の装丁ではじめて意識したように思う。シンプルなのに記憶に残る不思議な絵だなあとそんなことをふわっと思ったような思わなかったような。
そんな感じで無意識にするっと滑り込んでくる絵なんだよなそういえば、と展示を観終わって感じたのだった。絵について詳しいことは全く分からないけれど構図と色彩の感覚があり得ないくらいすごいんじゃないのかなきっと。
それはそうと展示についてである。嵐山光三郎と和田誠、村上春樹との交遊や仕事を軸にした構成になっていて、70年代から仕事をし始めたという安西水丸さんの軌跡が分かるようで、以前観た植草甚一やクラフト・エヴィング商會、日本SF展のときも思ったけど現代の作家で本屋に行くとよく見かける名前の人がどんな仕事をしてきたかというのを楽しみながら学べるから世田谷文学館の展示は好きなのである。
例えば米国に行っていたのね、とかイラストレーターの仕事が確立していなかったときの人なのね、とか平凡社だったのね、とか。ちょっと調べれば分かることだとは思うけど、作品と一緒に知れるというのは嬉しい。展示の仕方も子供の作った迷路みたいで、それも安西水丸さんの作風と合わせているようで面白かったし。
それはそうと、現代カルチャーの変遷が気になる身としては年表をちゃんと見ないとだよなあ。図録に掲載されてるかしら。
最後に、ああいうカッコいいとされてきた人たちのフワッとした言葉って今から見ると危険な気がしていてそれがどう危険なのかというところをもっとちゃんと考えないとなというこれからの勉強の手掛かりを得たのも行って良かったことの一つだったのだと書いて終わる。