京急を県立大学駅で下車して約5分くらい徒歩。もしくは横須賀中央から15分くらい歩いてみたところに、港文堂書店はあります。Amis→沙羅書店→港文堂書店のように横須賀中央の駅から歩くことも可能な立地であり、本屋巡りもしやすいのが横須賀です。坂を歩くので、少しばかり脚には来るかもしれません。
この日は一度午前中に行ったものの、シャッターが閉まっていました。少しばかり調べてみると、午後に開くことが多い、という書き込みを発見。一旦三崎での昼食後、戻ってリベンジという方針にしました。
結局夕方になって戻ることに……シャッターは開いており、中の本の山が見えました。店内に入る。左右の棚と積み上がる本の山。自分は体が横方向にでかいため、体を横向きにして店内を散策。
通路は正直人一人通れるくらいしかないです。棚は郷土資料、宗教関係、文学は店内中央を境にして手前側、奥側は理工書、書物関係など。おそらく2割くらいは棚を見ることができていない感じです。いかんせん本がたくさん積まれているので……こういう積まれた本がある古本屋、物理的に本に囲まれている感じで非常に好きです。店の看板には「Scientia est Potentia(知識は力なり)」と書かれています。
さて、港文堂書店について手元の資料でざっくりと説明です。『神奈川古書組合三十五年史』(以降、本稿では『神奈川古書組合三十五年史』を組合史、神奈川古書組合を古書組合と記載します)によると、創業は昭和8年。今の所横須賀にある古本屋で最も長く営業している店舗となります。
組合史では他にも横須賀地区の古本屋が記載されていますが、残っているのは港文堂書店と沙羅書店のみ。後に港文堂書店は古書組合を抜けています。組合史を紐解いても、棚の理工書や郷土資料が豊富である点は、組合史が書かれた1992年頃からは少なくとも変わっていないようです。
本を物色した後に帳場にいる店主と軽い世間話、というよりも他の方の話に自分が巻き込まれた形で参加。この店によく訪れる方のようで、やはり長く営業している店には常連がついているのがわかります。
曰く「いいお客さんがいるから続けられる」、「お客さんによって古本屋は育つ」。長い間営業している古本屋だと、代替わりがあるのですが、そのタイミングで先代から通っているお客さんが色々本の話をしてくれるのかもしれません。
その中から様々な知識を吸収していくのでしょう。学校関係の方が来るとよく様々な分野について本を読んだり質問したとのこと。古本屋は、読む方も売る方も学びの場なのかもしれません。
長い間店をやっていると色々な出来事があったようです。自分も色々と話を聞き、非常に面白い経験をさせてもらいました。もう今では起きないであろう話など……話好きな店主との話はついつい盛り上がってしまい、思ったよりも滞在してしまいました。本当は沙羅書店も行く予定でしたが、深夜まで私用が立て込んでいたため、ここで退却。最後に「とにかく何でも本を読め。読んで頭に地図ができれば何でも吸収できる」とアドバイスを頂きました。
最近貪り食うように読書をしていないということを思い出しつつ、出版関係の本、とにかく読んで色々吸収していきたいものです。今回買った本は、『書物の世界の三十三年間の冒険』(図書出版社)。ジャンルとしては本屋ではなく図書館について。本屋だけでは片手落ちだと思ったので購入。
近世出版史(貸本屋関係)を読みながら手元に資料として組合史などを読みつつ、間に図書館関係を読む……これはかなり大変な読書になりそうです。