往来堂書店やひるねこBOOKSなど、様々な本屋のある谷中。根津・千駄木とともに谷根千と呼ばれるこのエリアに、今回紹介する雑貨と本 gururiはあります。
オープンは2021年の2月。比較的新しい本屋です。この店を知ったのはTwitterからでした。いつもどおりにアンテナを張っていたら偶然引っかかったので折を見て伺ってみました。
店内は広くなく、棚の本もあまり多くはありません。「本と雑貨」と店名にあり、本以外にも石鹸やノートなどの雑貨を売っています。個人的にはここで売っているノート、すごく気になっています。次回行ったら買ってみようかなと……
入り口を境目にして右側には料理(ここ1・2年くらい話題になっている発酵関係もあり)と猫をテーマにして本と錫の物入れ、左側には本屋や本に関する本(夏葉社など)、若松英輔やクオンの韓国文学、『エトセトラ』などの本と石鹸やアロマオイルの組み合わせ。すべて新刊。地理的には神田村と直を使用していると思います。
棚を見て、個人的には「左右の棚は家(居住空間)の外/中を表現した棚なのか」と感じました。右が家の中、左が家の外。ただ両方に猫関係のものがあるのは……猫は中にも外にもいるということでご容赦ください。大きい本屋に行くと大量の本の中から探すことになり、本屋を数軒回っているとやや目が疲れてくることがありますが、ここではじっくりと1冊1冊本を見ることができます。
店主に話を伺うと、元々近くの往来堂書店で書店員をやっていたとのこと。谷根千エリアで仕事をしていた分、店を出す際の市場調査は日常でやっていたのかもしれません。
棚の話を伺ってみると、「架空の人物をペルソナとし、その人が読むであろう本を選んでみた」とのこと。他の本屋でもやっているところはあるかもしれませんが、初めてのケースでした。本屋をやってみようと思うと、どうしても自分が親しんできたジャンルを中心に選ぶ場合があると思います。また、対象とする客層への選書はよくやると思います。しかし、特定の人物に対しての選書を本屋の棚で展開するというのは個人的に非常に印象的でした。
開店以降、ほぼ月1で店を訪ねていますが、都度店で面陳している本が変わっていました。どうやら1冊、窓のところに面陳していると売れていき、定期的に交換しているとの。夕方の暗い頃になると暖色のライトが灯り、本が浮き上がって来ます。町の中に本が溶け込んでいるような印象です。
オープン以後、町の人が徐々に本屋に訪れている、狭いながらもその町の中で存在感を感じさせる本屋でした。谷根千エリアを散歩するにはかなりいい場所にあるので、本屋巡りをする際や、折に触れてこの本屋にまた訪れたいものです。
今回(と言ってもオープン以降3回ほど行っているので、直近です)買った本は文庫版の『荒野の古本屋』(小学館)と『カンマの女王 「ニューヨーカー」校正係のここだけの話』(柏書房)の2冊。『荒野の古本屋』は晶文社の単行本も持っているのですが、文庫版のあとがきが読みたかったので購入。銀座の森岡書店、まだ行ったことないので一度は訪れてみたいものです。
もう1冊の『カンマの女王 「ニューヨーカー」校正係のここだけの話』は、以前Twitterで見て気になってたので購入。本には欠かせない校正について、個人的に興味を持っていたので資料蒐集の合間に、ゆっくり読んでみようかと思います。
雑貨と本 gururiの情報は以下。
https://twitter.com/gururi_yanaka
今回買った2冊の情報は以下