リードカフェ、LUMO BOOKS & WORKSに続いて、福岡ブックショップツアー(2016/9/16-2016/9/18)3店目はあの有名店。『ローカルブックストアである: 福岡 ブックスキューブリック』を出版された大井実さんの店「BOOKS KUBRICK(ブックスキューブリック)けやき通り店』だ。
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まず記事を始める前にひとつ謝らなければいけないことがある。実はこのとき、大井さんにインタビューさせていただくことができたのだが、日々の忙しさにかまけて今まで記事を書けずにいたのだ。本屋好きとしてまったくもって恥ずかしい。大井さんにはここであらためて謝罪させていただきたい。お忙しい中、お時間をいただいのに申し訳ございませんでした!
というわけで本稿では意地でもブックスキューブリックけやき通り店の魅力を伝えられればと思う。
まとめ
時間のない方のためにまとめです。
- 品揃え:コミックス、アダルト本、学習参考書以外すべて。九州関連本屋リトルプレスも扱う。決して広くはないのに欲しい本が見つかる。
- 雰囲気:駅前にある本屋さんのイメージ。
- 立地:赤坂駅2番出口を出て左に進み、お堀の角を左折し並木道を南に進んでください。しばらく行くと大通り(けやき通り)に出ますので、ファミリーマートの角を右折していただきますと約50mで到着します。駅より徒歩8分ほどです(公式サイトより)。
営業時間:AM11:00~PM8:00
店休日:毎週月曜日(祝日の場合営業)
TEL:092-711-1180
FAX:092-711-1186
MAIL:info@bookskubrick.jp
URL:http://bookskubrick.jp/
Twitter:https://twitter.com/bookskubrick?lang=ja
Facebook:https://www.facebook.com/BOOKSKUBRICK/
ブックスキューブリックはカッコイイ本屋さん
同店があるのは国道202号線国体道路の一部。けやき並木が美しい通りだ。調べてみると福岡の人気スポットらしい。確かにレンタサイクルで走りながらも小さいながらも入りたくなるような素敵な店がたくさんあった。そんなけやき通りの中の本屋が同店だ。
まず入口の佇まいが素晴らしい。夕方に店の灯りが見えたら飛び込むこと間違いなしのなんとも言えない暖かな外観である。
入ってみると横に長い長方形の店内。15坪とちょっと寄って本棚を眺めるのにちょうど良いサイズ感である。BGMにジャズが流れる中で本棚を見ていくと、BRUTUSやcoyote、spectatorなどカルチャー系の雑誌をバックナンバー含め揃えつつも女性誌もしっかりあり、NHKテキストなど堅実な本もちゃんとある。
雑誌以外にも文芸、人文、ビジネス書、暮らしの本、実用書などオールジャンルありながら、リトルプレスも外さない。もちろん伽鹿舎の本は平積みだ。
さらに入って右手の本棚にはデザイン・アート・写真集、さらにリトルプレスがこの規模の新刊書店としてはかなり揃っている。当たり前のようにセンスの良い本が並んでいる様はもう「カッコイイ!」の一言である。
意志を持った人々が集まってくるような磁場を持った場を作りたかった
有名なブックイベント「BOOKUOKA」の発起人の一人であり、ブックスキューブリックの大井実さん。同店を開店する前はイベントの仕事をしており、その経験から「意志を持った人々が集まってくるような磁場を持った場を作りたかった」そうだ。そのために文化発信と相性が良い本屋を始めた。
- BOOKUOKA(10/20から、フェアやトークイベントなどたくさん開催するみたい)
実はけやき通り店が始めの店で2001年に開業。その7年後の2008年に箱崎店をつくった。箱崎店ではトークイベントを頻繁に行い、パン屋も、なんと釜まで作る本格仕様で営んでいるらしい(箱崎店では10/27(金)にイベントします!)。
今後は読書会を開くなどもっと本の魅力を掘り下げていきたいとのこと。古いものが新しいものに駆逐されていく現状を危惧しているので現在だからこそのニュースタンダードを作っていきたいそうだ。さらに箱崎店のパン屋も強化。加えて映画館やライブ会場がある複合文化施設を作るという野望も披露してくれた。
本屋をやりたい人に何かあれば……と聴いてみたところ「覚悟をもってやってほしい。安易に勧めはしません。本気で、借金してでもやりたいという覚悟があるならやってほしい」とおっしゃっていた。大井さんとしても現状は出版業界の仕組み上、新刊書店が開きにくいのでそのための新しい仕組みを作ろうとしているそうだ。新刊書店を開きたいと言ってくる人に勧められるような地ならしをしていきたいと。
このインタビューはもう去年のことなので、大阪屋栗田のホワイエなど業界的にも新たな取組は始まっており、大井さんもご著書『ローカルブックストアである: 福岡 ブックスキューブリック』を1月に出版された。他にもあれから様々なことを仕掛けているだろう。
10/27(金)のイベントは箱崎店で開催。お店に行けることもお話できることも楽しみである。
ブックスキューブリックけやき通り店・本棚記録
最後に長くなったので品揃えについては以下に列挙する。
店内入って左手、入り口のガラス窓に面した棚には雑誌(『BRUTUS』や『ケトル』、『spectator』、『coyote』などカルチャー系の雑誌バックナンバーあり、NHKテキストコーナーもあり。上述のとおりである)。
角から左辺は暮らしの本・雑誌、旅ジャンルの本が並ぶ。『世界ネコ歩き』、『食品の保存テク』、『むかしの味』、『ラクする作り置き』、『私的台湾食記帖』、『旅は俗悪がいい』など。
正面奥はビジネスと人文書で棚4本、新書・文庫で棚2.5本を使用。『14歳からの哲学』、『ザ・シークレット』、『科学の発見』、『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』などである。
中央を区切るように並ぶ棚は2本。奥の方の棚には男性誌、本屋の本と女性誌である。『真っ直ぐに本を売る』や『BURUTUS』や『casa BRUTUS』、『pen』のバックナンバー、リトルプレスの『仕事文脈』、『うどんのはなし』など。加えてダンサー東野祥子の本棚もあった。
中央手前側の棚には人文書と文芸書だ。『国家の謀略』、『断片的なものの社会学』、『英国一家、日本を食べる』、『天才』、『へろへろ』、『ゆっくり、いそげ』、『ギケイキ』、『流』、『羊と鋼の森』などなどである。
入ってすぐ右手の本棚にはクリエイティブ系の本やリトルプレス、絵本・児童書がずらり。『谷川俊太郎詩集』、『夜の木』、『ゾロリ』、『HOWLAND』、『写真ノ説明』、『dm』、『光さんの贈りもの』、『謎を呼ぶ大建築』、『翻訳できない世界の言葉』、『ブラタモリ』、『安藤忠雄の言葉』、『タイムトンネル』シリーズ、『Hemispere』、『IMA』、糸井重里の本など。さらにバーゲンブックも扱っていた。
面白かったのがレジ周りで、雑貨やポストカードはよく見かけるがパンが置いてあるのだ。どこのパンか聴くと箱崎店で焼いたものだという。10/27に箱崎店に伺えることがますます楽しみになってきた。