下北沢B&Bが4周年ということで6時間ぶっ続けイベントを開催した。前半後半と分けてそれぞれテーマは「本と流通」、「これからの本屋」。BSLをやっていると後者について考えることが多いが、ぼくはある程度考えが決まっているので時間もないし前者を聴くことにした。いま必要なのは目的地は分かるとして「じゃあどうやって目指すのか」という部分なのだ。
(目的地がどこかと言えば、「本屋=出版にかかわる全てを扱う場所」になっていくということだし、中小の独立系本屋が定着していく(一方、チェーン書店は超大型だけ残る)ってことなんだけれども、長くなるのでこれはまたどこかでまとめる。)
登壇者は福岡の雄ブックスキューブリックの大井実さん、業界誌『文化通信』の星野渉さん、出版流通の新方式トランスビューの工藤秀行さん、そして司会が内沼晋太郎さんである。ブックスキューブリックの大井さんとお会いするのは初めてだったのでご挨拶できたのは良かった。
さて、「本と流通」ということだが、座組もこのようなメンバーであるし、内容は玄人寄りとなった。
- 以前と比較して現状の出版流通がどう改善されたか(以前より開業のハードルが低くなった)
- それでもまだある取次の問題点(保証金や利益率、配送期間など)
取次の歴史(戦前に始まり戦中に統一された構造を受け継いでいることや雑誌流通に書籍が乗っかっていることなど) - これからどうなると良いか(見計らいを辞め注文制にすることなど)
- ドイツの出版流通の仕組みについて(書店は半年前に出版社の新刊情報を知ることや毎年2回ブックフェアという商談会があることなど)
- 本の販売価格問題(昔はとにかく現状では再販制は出版社が得し過ぎている仕組みや再販問題を語るときに卸価格と販売価格を混同していることがありこれは問題など)
- 今後は大量に仕入れて売る用の取次・書店と小規模で仕入れて売る用の取次・書店に二極化するのではないか(紀伊国屋書店などナショナルチェーンとBSLで取り上げような小書店。これはぼくも同意)
こんな感じで出てくる出てくる問題点。もちろん登壇者の皆さんはその問題を解決しようとそれぞれの立場で戦っているのだけれども、だからこそ問題点の輪郭がハッキリしていて、動いている人は違うなと。あらためて思った。
結論としては、問題は委託制ではなく配本制にあって、発注制にすれば返本も減るだろうし、そうすれば利益率を上げることもできるだろうということ。でも、業界全体が配本制に慣れきってしまっている部分もあるため変えるのは難しい。
もちろん急進的に変えてしまっても問題である。以前、取次から発注制にしようという流れが以前あったそうだけども書店側から断られたという過去がある。いまはさすがにそんなこと言うところは少ないと信じたいけども、出版不況の話で槍玉に挙げられやすい取次側からそういう提案があったのに書店側が断ることがあるのか、とショックを受けた。
「ものを作って売る」商売については流通が一番の肝なので、ここがどのように変わっていくかは注視していきたい。なぜなら目的地に至る本屋が増えていくための必要条件だからだ。自分が将来開くであろう本屋的な何かのためにも流通については勉強しでいきたい。
(というか、最近、忙しさにかまけて『真っ直ぐに本を売る』とか今回の『本屋がなくなったら、困るじゃないか 11時間ぐびぐび会議』も読めていないし、しっかりインプットもしなければ……!!)