本屋好きに「台湾といえば何?」と聞けば、「誠品書店」ともうひとつの名前が帰ってくるだろう。それが「好樣 VVG」だ。
ここ何週間かシリーズ連載「そうだ、台湾の本屋に行こう」でも取り上げてきた。
台湾のファッションをリードする台北市東区を起点に、若者が好むような文化的な場所に出店してきた「好樣 VVG」(以下、VVG)。
実は、このとき行ったお店のほかにも5つものお店を出店しており(好樣小小 VVG Petiteは2015年1月4日時点で閉店)、台湾カルチャーを代表する存在のようだ(台湾と日本のカルチャーを媒介する『離譜 LIP』田中佑典さん談)。
今回の台北ブックショップツアーでは運良く女性オーナーの汪麗琴(Grace)さんに少しだけだがお話を伺えたので、どんな想いでVVGを運営しているのか、特になぜ本屋なのかを聞いてみた。
知識は力
まず、VVGがどうやってはじまったのかを聞いた。
Graceさんによると、VVGはライフスタイルを提案するビジネスとして、17年前からはじめた。1店目はレストラン(好樣餐廳 VVG Bistro)、次に店舗なしの高級ケータリングと増やしていった(2009年にはVVG something)とのこと。いままで13,000ものイベントを行ってきたそうだ。
レストランやカフェなど飲食の業態が多いなかでなぜ本を扱うようになったのか? そう聞くと、
「知識は力。本を読むことで生活が豊かになるから。」
と言う。
なるほど。未だ発展途上にある台湾では知識が切実に必要とされているのかもしれない。しかし、VVG chapterの記事や田園城市のvincentさんへのインタビューでもあったが、台湾の若者には本を読む時間もお金もない。
そこに危機感を感じたのだろう。だからこそ、GraceさんはVVG somethingやVVG thinkingを立ち上げ、VVG chapterをパブリックな活動として始めたのだ(インタビュー時点ではVVG chapterは開店前)。
最後にVVGはどういう意味なのかを教えてもらった。
「VVGはVery Very Goodの略。本当に良い(Very Very Good)物を提案しようということでこの名前にした。」
Very Very Goodなもの。シンプル過ぎて伝わりにくいが、VVGの3店に足を運んだぼくは誇張ではないと感じる。ひとに自身を持って勧めることのできる店だと思うからだ。
以上でインタビューは終わりである。
Graceさん。魅力的な人だった。まだ行ったことのない残り5店にもぜひ行ってみたい。そう思わせてくれるインタビューだった。