大阪的タコシェ
中野のタコシェをご存知だろうか。元はサブカル漫画雑誌の代表格『ガロ』のアンテナショップから始まったこの店は新刊はもちろんリトルプレスに雑貨も置いてあるのだがその品揃えがスゴイ。模索舎とはまた違った意味でリトルプレスの聖地であり、まさにマニアのためにあるようなそんな店なのだ(詳しくは以下の本屋探訪記を参照のこと)。
ある日、知人から大阪にも似たようなお店があると聞いたのでさっそく行ってみた。だってそんな面白そうなお店を放っておくわけにはいかないのだ(以下は2014.3.9の記録である)。
まとめ
時間のない方のためにまとめです。
- 品揃え:マニアックなリトルプレスを中心に、若干の古本と雑貨。
- 雰囲気:猫がいる古本屋。最高である。タコシェをさらにディープにしたような感じ。
- 立地:中津駅から徒歩8分程度
(中津商店街の真ん中あたり)
営業時間:毎日午後2時~8時ごろまで(火水はオヤスミ)
電話:080-4010-6203(トモエ)
メール:shikaku@uguilab.com
URL:http://uguilab.com/shikakutop.html
Twitter:https://twitter.com/n_SHIKAKU
Facebook:https://www.facebook.com/pages/%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%9Fcd-%E3%82%B7%E3%82%AB%E3%82%AF-zine-CD-Shikaku/140398039391254?fref=ts
薄暗い中津商店街の中
(稲川淳二風にお読みくださいw)
目的地のシカクは大阪・中津駅から近いとのことで下車すると……静かです。梅田駅から何駅かしか離れていないはずなのにこの人っ気の無さはなんなんでしょうねえ。
不安になりながらもiPhone。便利になった。その地図を見ながら進んでいくと薄暗い商店街。
いや知ってる。土曜日の中心街でもない商店街なんてこんなものだよ。でもこの暗さはなぜだろう。昼ですよ。真っ昼間。こんな昼日中になぜこうも薄暗くなれるんだ。それでね、ワタシ、思ったんです。これは何かあるって。でもね。行かないわけにはいかないじゃないですか。
嫌だなー、怖いなー。
そう思いながらどうにか踏み入れましたんですね。えー足を。そろそろっとね。
…そうしたら、あったんですよ。
猫がいる本屋
商店街の薄暗さがあまりに大阪的だったので思わず稲川淳二先生になってしまったが、入ってみれば何の事は無い。普通の商店街である。
この商店街に入ってすぐ右手にあるのがシカクだ。入るとなぜか金網のドアがある。可愛らしい猫の写真と共に「猫が外に逃げないように閉めてください」との文字。
猫?
そうこのシカクには猫がいるのだ。エアコンの吹き出し口の前。お気に入りの場所に堂々と鎮座ましましていらっしゃる。
猫と本。
これ以上ないくらいの最高の取り合わせだ。しかも愛想が良い。まさに看板猫である。ぼくもほかのお客さんと同様に惚れ込んでしまったことは言うまでもない。
レイアウトと店の雰囲気
長々と書いてしまったのでここからは簡単に紹介していこう。
奥に長い長方形の店内は中央の棚(金網)で分けられ、それぞれ左右の壁に棚が1列。入り口の辺にも若干の本だ。奥は店員の作業スペースとレジ。
中野タコシェと同じようにゴチャゴチャした店内で宝探しがしたくなってくる。
品揃え
かに文庫
次はサブカル系癒しミュージックをBGMに棚を見ていこう。
入り口のすぐ左手にかに文庫コーナーである。ほぼ全商品にカニからの推薦コメントが付いているこのコーナー。明らかにいか文庫にインスパイアされているように思うがどうなんだろう。聞きそびれてしまった。
『ねこじる』や『自殺全書』、山本直樹、『ルソーエミール入門』、『ニューハーフ倶楽部』、ナン・ゴールディンなど何でもの品揃えだ。
左辺には猫
左辺を見るとお待ちかねの猫様である。暖房の吹き出し口前がお気に入りらしいが本の上ですね。良いんですかね。良いんでしょうね。
書名は『君に友だちはいらない』や『在日特権の虚構』、『ボブ・ディラン全年代インタビュー集』、『これが噂のヒランヤだ』、『紅茶キノコ健康法』、『蒐集原人』、『視覚のトリック』、『写真集発売CD』などに洋書も少々。キーホルダーや腕時計など雑貨も置かれている。ジャンル分けなんて考えは存在しない感じが堪らない。
中央の列
真ん中の列は主に雑貨が多い。
入り口から見て左側は「出張雑貨屋ミケちゃん」と「エコロノット ヘブライ雑貨と文房具の店」。
キーホルダー、カニクリップ、キョロキョロキーホルダーなどなどで、まあよく分からないと思うがぼくもよく分からない。
右側は雑貨にインディーズ漫画雑誌である。
雑貨はハリボーカップやコラージュバッジ、ラベルチケットなとなどで、インディーズ漫画雑誌は『アラザル』、『ジオラマ・ユースカ』、『総合漫画誌きっちゅ』などだ。見たこともないものばかりである。
右辺のリトルプレス
右辺はリトルプレスコーナーである。壁一面に展開している。もっともタコシェ的と言える場所だろう。
『奇刊クリルタイ』や『あざらし君』、『オカルトスポット探訪マガジン 怪処』、『八画文化会館』、『しのそのへ』、『恋と童貞』、『さもまん』、『水彩℃』、『綿と情事』、『カレーマシンガン』、『自殺映画批評』、『PINK HOLIC』、『エロ漫画の黄金時代』などなどなどである。個人の止むに止まれぬ情熱が迸った名(迷?)リトルプレスが盛りだくさん。その熱気に圧倒されてしまった。
そのほか、この棚の左横には雑誌『TRUSH UP!』やTシャツも置いてある。いやーマニアックである。
知る人ぞ知る大阪的リトルプレスの聖地
はじめに中野にあるタコシェの話をした。リトルプレスと雑貨の混ざり具合が似ているからだし、どう考えてもマニアックでサブカルな品揃えが近いからだ。
とはいえ、実はシカクは大阪的でもある。マニアックさがそこまで極端でなくもっと「面白さ」が重視されているような。まるで大阪の商店街的な猥雑さ。タコシェも相当ユルいがシカクにはまた別種のユルさがあるように思う。
もしかしたら何を言っているか分からないかもしれないが、そう思うならぜひ行ってみるべきだ。不思議な空気感に驚いてしまうから。