渋谷にあった食の本専門店「COOKCOOP」。いつの間にか移転していたようだ。今回の店舗は渋谷のとは違いかなりの広さとなっている。この広さを使って何をするのか。さあ中に入ってみよう。
まとめ
時間のない方のためにまとめです。
- 品揃え:食の本専門店。レシピから読み物、カフェの開店ハウツーやコーヒーの入れ方、zineやリトルプレスもある。
- 雰囲気:カフェである。ほぼカフェそのものである。
- 立地:永田町駅から徒歩15分程度
電話番号:03-3264-3230
メール:info@cookcoop.com
営業時間:11:00-20:00/土・日・祝11:00-19:00
※営業時間と休業日は、教室やイベントにより異なりますので店頭までお問い合わせください。
URL:http://cookcoop.com/
Twitter:https://twitter.com/cookcoop
Facebook:https://www.facebook.com/COOKCOOPBOOK
なぜこんなビジネスライクな場所に…
思っていたより大きい。これが最初に見た時の感想だ。しかも周囲には飲食関係のお店など殆どない。あるのはホテルやビルばかり。果たしてこんなところで経営が成り立つのだろうか。
入ってみるとイベントの真っ最中。これがまた意外と参加者が多い。やっていたのは以下のイベントである。
本屋にキッチンスタジオ!?
レイアウトを説明しよう。
店舗の形は横長で入り口から入ると目の前にカウンター。イベントがない時はカフェにもなっているようでコーヒーなどのメニューもある。このレジカウンター周りが本屋のスペースで右奥にはかなりの広さのキッチンスタジオだ(イベントがない時はカフェスペースとして使用されている)。そうキッチンスタジオである。
最近、あたらしく開店する本屋はどこもカフェやギャラリー、中にはシェアオフィスなど他業態と掛けあわせている店が多いがまさかキッチンスタジオである。本屋にキッチンスタジオとは!
しかし、よく考えてみれば自然なことかもしれない。なぜならCOOKCOOP BOOKは食の本専門店である。ということは食に興味のある方がお客さんなわけだ。そういう客層に向けて広くなったイベントで何をするか。もちろん他の本屋さんのように出版記念トークショーやサイン会もいいだろう。だがそれは他の、例えば紀伊國屋書店のようなナショナルチェーンでも行われていることで、同じようなことをCOOKCOOP BOOKのような小さい本屋でやって勝ち目があるだろうか。そこで考える。食と言えば当然料理だ。じゃあ、レシピ本の著者に出版記念イベントと称して料理学校のようなことをしてもらえばいいのではないか。そのためにはキッチンがいる。せっかく作るなら外にも見える形でやった方がいい。なにせイベントなのだから。
あくまで推測だがこう考えていけば本屋なのにキッチンスタジオがあることも納得できるが、実際のところはどうなのだろう。取材時に聞いておけばよかったな。
さーて、COOKCOOP BOOKの本棚は?
驚いてしまったのでキッチンスタジオのことばかり書いてしまった。変則的だが本棚の説明をしていく。
入ってすぐ右手の棚
入ってすぐ右手に段違いのオープン棚2本である。半分が雑貨で半分は本。雑貨と本の間に区切りが特にないのはさすがである。
ここは「コーヒーと酒のコーナー」だ。手前から洋書、『美味しいコーヒーって何だ?』、『あんこの本』、『コーヒーピープル』、『ベルギービール大事典』、『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか』、Mardouro社のアルミケース、WECKのガラス瓶などが置かれている。WECKのガラス瓶は最近気になっているが財布事情を鑑みて諦めた。残念。
さらに隣のアンティーク棚と本棚
この棚の隣にアンティーク棚の上を平台にしたものと壁付の棚3段がある。平台も壁付棚も洋書だ。食のビジュアルブックが欲しいぼくからすると素晴らしい本ばかりである。コントラストが強いのが好きなんだよなあ。
その隣に5段の棚がある。
ここは「子供向けとカフェ志望」のコーナーだ。『かわいいお店のつくりかた』、『ロゴロジック』、『ムーミンママのお料理の本』、『孤独のグルメ』、『駅弁ひとり旅』、『いのちの食べ方』、ほか絵本などで、これで外側に沿った壁の棚は終わりとなる。ここから先は奥のカフェ席までちょくちょく雑誌を飾っていたりエプロンを売っていたりするくらいである。
カフェコーナー
そのまま入り口右側。外側に面した辺を置くまで進むとカフェコーナーとなっている。このときは先に書いたようにイベントだったため8席しかなかったが、イベントがない時はもっと多くなるようだ。そのときのテーブルの上にはオススメ本を置いていたりするようだがこのときは見れなかったのが残念である。
さて、このカフェコーナーの近くには5段の棚だ。ガラス瓶やstaubのチラシなどであまり商品は置かれていないがワクワクするのはきっと自分も料理をするようになって、こういった道具類が素敵に思えるようになったからだろう。くどいようだが今気になるのはガラス瓶である。ハチミツレモンとか入れておきたい!
ちなみに奥の突き当り部分は黒板でイベントスケジュールが書き込まれている。お茶を飲みながら見れるので便利である。
キッチンスタジオ側そばの面陳コーナー
キッチンスタジオの手前にはスペースの中程に置かれた面陳コーナーが2つある。1つは雑誌で『クーネル』、『天然生活』、『うかたま』など。
もう1つは雑貨と大判本だ。「お菓子の本」コーナーである。『スヌーピーのお菓子絵本』、『棒付きお菓子の楽しい世界』、『やさしいお菓子』、洋書、スタンプやマグカップなど。マグカップはディクショナリーシリーズと言ってそれぞれのアルファベットに合わせたイラストが書かれたものである。このときあったのはNで「Novel=小説」モチーフのイラストだった。これは買わざるをえないでしょう。ということで購入した。下にリンクを貼っておく。ね、素敵でしょう?
レジカウンター沿いからキッチンスタジオまでの壁と棚
面陳コーナーの片側を囲うようにレジカウンター沿いから壁、そこから棚が続いている。ここは「ローカルフードとレシピ本」である。
『四季の飾り太巻き』、『ロケットマガジン』、『今日のごはん、何作ろう』、『クッキングフォーギーク』、『初めてのローフードレシピ』、『雑誌専門料理』、『料理の科学』など。
入り口左手の壁棚
さて、いったん入り口まで戻って左手の壁沿いを見ていこう。ここには6段の本棚が4本だ。下三段は面陳で上三段は面陳と棚挿しというディスプレイである。「レシピ本と食・酒のエッセイ、料理関係者の文章など何でも」とここは一番量が多いコーナーである。洋書も少なめだが置かれている。
『手打ちパスタ』、『カレーの教科書』、『ホルトハウス房子のおもてなし料理』、『小説家のメニュー』、『ぼくは猟師になった』、『イギリスはおいしい』、『十代に何を食べたか』、『未来の食卓』、『材料入れてコトコト煮込むだけレシピ』、『英語でつくる和食』、『絶品マリネ』、『虫を食べる文化誌』などである。
ちなみに、入口のすぐ目の前に「食と本のトークショー『発酵』」のコーナーがある。こういうイベントと連動した企画はどこもやっているがどこか趣が違う気がするのは「食の本専門店」と括りがあるからだろうか。他店のフェアよりも自然な気がするのだ。ここには『もやしもん』一巻や『発酵食品礼賛』、『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』などである。お腹の弱い自分からすると発酵食品というものは非常に興味がある分野でありこのトークショーはかなり気になっていたりするのだが、既に終わってしまっていた。残念である。
専門ジャンルの本屋ということ
これでCOOKCOOP BOOKはすべて見終わった。いかがだったろうか?
渋谷の時からそうだったがあくまでも「食の本」に絞りきった選書。そして、食の本と相性抜群のキッチンスタジオ。コックさんや美味しいもの好き料理好きにはたまらないだろう。自分も本屋を開くならこういう方向性は面白いかもしれない。もちろん「古書往来座」や「古書ほうろう」などのように街の古本屋も楽しそうだが、あえて方向性を絞ることで逆に魅力が増すということは十分に有り得るのだと、あらためてCOOKCOOP BOOKは教えてくれた。