この度、僕が管理人を勤める下北沢の棚貸し本屋BOOKSHOP TRAVELLERでレトルトカレー「文学カレー萩原朔太郎」を販売することになりました!
「文学カレー」とは?
高円寺にあるコクテイル書房をご存知でしょうか。
文学カレーの生みの親でもある同店は文学にちなんだお酒やつまみを楽しみながら壁にある本を読むことも買うこともできる、古本屋と居酒屋がいっしょになったようなお店です。名物でもある文士料理を店内で長年、提供してきましたが、2019年から「文学カレー」の提供を始めました。
文学とカレー。二つを合わせることは一見突拍子も無いことのように見えますが実はそんな事はありません。日本の近代文学は文化明治以降に輸入された多数の翻訳小説の影響を深く受けいれながら多数の作品を生み出してきました。カレーも元々はイギリスから伝わったものですが、明治大正と半世紀の間、オリジナルのインドカレーを知らずに創意工夫が重ねられて日本独特のカレー文化が築き上げられてきました。
文学とカレーは日本の近代化とともに実は同じような道のりを経てきたのです。文学カレーはそんな2つの文化をミックスしてコクテイル書房の狩野俊氏が作り上げたものです。同氏は“カレーの中に物語を溶け込ませた、食べる文学と言えるかもしれません。”とも話します。
「文学カレー萩原朔太郎」とは?
第一弾の文学カレーは夏目漱石の名を冠した「文学カレー漱石」。2020年に販売開始したレトルトカレーは好評ですぐに完売し、第二第三の文学カレーを他の地域や店とコラボレーションして生み出していこうと狩野氏が考えていく中で、白羽の矢が立ったのが以前コクテイル書房を取材したこともある本屋ライター・和氣正幸が運営する本屋BOOKSHOP TRAVELLERでした。
BOOKSHOP TRAVELLERがあるのは下北沢です。コラボするからには下北沢に関わりのある文豪をテーマとしたい。しかし、たくさんの文豪が下北沢と何かしらの縁がありました。坂口安吾、宇野千代、横光利一、森茉莉……。BOOKSHOP TRAVELLERで販売する文学カレーに相応しい文豪は誰だろうか?
話し合っていく中で、最後は晩年を下北沢周辺で過ごした、日本近代詩の父とも呼ばれる詩人・萩原朔太郎に決まりました。理由は簡単です。BOOKSHOP TRAVELLERには「ことばの本だな」という詩歌や俳句を集めた人気の棚があり、そこで文学カレーを販売したいと和氣が考えたのでした。
さて、制作を進めるにあたってまず始めに思い浮かんだのが、代表的詩集『月に吠える』に収録された一遍『雲雀料理』でした。
“五月の朝の新緑と薫風は私の生活を貴族にする。したたる空色の窓の下で、私の愛する女と共に純銀のふおうくを動かしたい。私の生活にもいつかは一度、あの空に光る、雲雀料理の愛の皿を盗んで喰べたい。”
読んでいると思わず食べたくなってくるこの雲雀料理の世界を体験できるようなカレーが作れないか。そうして生まれたのが「文学カレー萩原朔太郎」です。
メインの具材を空を飛ぶ翼(=手羽)にすることで朔太郎が「盗んでまで食べたい」とまで書いた「あの空に光る、雲雀料理」の崇高な世界を表現。酒好きの朔太郎のために肝臓に効くスパイスを調合し、朔太郎の体調に寄り添うようにして作りました。故郷前橋の日本酒で香りづけもしています。二日酔いの朝などに、このカレーを食べると「5月の朝」のようなすがすがしさを感じることができるようになるはずです。
また、箱の中にはコクテイル書房と縁が深いフォークシンガー・世田谷ピンポンズが書いたはがきもおまけとしてつけました。
制作はコクテイル書房が自店内の加工工場で行い、デザインはデザインチームampersandsの中村圭佑・平本晴香が担当、販売をBOOKSHOP TRAVELLERが担います。販売場所はコクテイル書房とBOOKSHOP TRAVELLER。今後は萩原朔太郎と関連する場所に限定して販路を開拓予定です。
関係者概要
【販売店】
店名:コクテイル書房
住所:〒166-0002 東京都杉並区高円寺北3丁目8−13
URL:http://koenji-cocktail.info/
Twitter:https://twitter.com/cocktail_books
Facebook:https://www.facebook.com/cocktail2013/
店名:BOOKSHOP TRAVELLER
住所:〒155-0031 東京都世田谷区北沢2丁目30−11 北沢ビル 3F 奥
URL:https://wakkyhr.wixsite.com/bookshoptraveller
Twitter:https://twitter.com/Bst_BSL
Facebook:https://www.facebook.com/BookshopTraveller/
Instagram:https://www.instagram.com/bookshop_traveller/
【デザイン】
担当者名:中村圭佑、平本晴香(ampersands)
URL:https://ampsds.jp/
Note:https://note.com/ampersands/
Facebook:https://www.facebook.com/ampsds/
Instagram:https://www.instagram.com/ampersands_inc/?hl=ja