3/5金のオンライントークイベントに向けて近藤康平さん選書の一冊『郊外へ』(堀江敏幸、白水社)を読んだ。
3/5金18時半~【オンライン】「絵の旅 本の旅」 ~近藤康平1st作品集『ここは知らないけれど、知っている場所』原画展inBST 開催記念トークイベント~ https://peatix.com/event/1823167
各地の本屋を回っているとよく出くわす本というものがあって、それは本屋の発する雰囲気というかバイヴスというかそういったものによって変わるのだが、似た雰囲気・似た方向性の店にはやはり近い本が多く並ぶようであって、堀江敏幸さんの本は僕が好きな感じの店でよく見かけるタイプの本である。
いや、好き、というと語弊があって、どちらかというと憧れというかこうあれたらなあというか、そんな感じのお店である。店、というよりは人かもしれない。好きだし仲良くしたいけれども自分はこうはできないという人。繊細さと鷹揚さを併せ持ったような人。
本書はパリの郊外に関する本を軸にしたエッセイ的な散文的な短編集なのだが、先に書いたような感じで普段自分では読まない・読めない文体の本であるな、というのが最初の感想だった。
(それは以前に読みさしで諦めた『河岸忘日抄』でもそうだった)
だが、他ならぬ近藤康平さんが洗車したということでなんとか読み進めていくと、自分のスピードが本と合っていなかったことに気がついた。
堀江敏幸さんの文章はオフビートだったのだ。試しに寝る前にベッドの中で読んでいると本当に気持ち良い。2篇ほど読んで、さて、と明かりを消して眠りに就く。
外の空気で乱されたリズムを正調してくれるような読書。それが本書が僕にもたらしてくれたものだった。
3/5金のイベントではもちろんこの本についても近藤康平さんに聴いてみたいと思っている。
僕が絵から感じるある種の大きさみたいなものの鍵がこの文章の持つリズムにあるような気がしている。
3/5金18時半~【オンライン】「絵の旅 本の旅」 ~近藤康平1st作品集『ここは知らないけれど、知っている場所』原画展inBST 開催記念トークイベント~ https://peatix.com/event/1823167