本ブログの読者なら谷根千という言葉はご存知だろう。谷中・根津・千駄木の頭文字を取って名付けられたこのエリアでは、本の街として一箱古本市をはじめとした数々のイベントが不忍ブックストリート名義で行われている。もちろん本屋探訪記でも何店も訪れている地域だ。
ここに新しいお店を開きたいと言ったのは「小さな本屋のつくり方」の第一回目参加者である小張さん。
小張さんは連載「職業としての"本屋さん"」を書いてくださり、1/11にめでたく古本屋・ひるねこBOOKSをオープンさせた。
児童書出版社の営業だった小張さんがどんなお店にしたのか。興味津々で訪ねたのはもちろんオープン直後のことだ。
まとめ
時間のない方のためにまとめです。
- 品揃え:猫本・北欧・児童書・絵本が中心に、文芸やアート、飲食の本もあり。
- 雰囲気:晴れた日曜日の昼日中。
- 立地:根津駅から徒歩6分ほど
営業時間 11:00~20:00
定休日 月曜日
URL:http://hirunekodou.seesaa.net/
FB:https://www.facebook.com/hirunekobooks/
Twitter:https://twitter.com/takakoba2010
Shop:http://hiruneko.thebase.in/
猫の本・北欧の本、そして、子どもの本
ひるねこBOOKSの品揃えは猫の本と北欧の本が中心だ。もちろん古本屋なのでそれ以外の本もたくさんあるが、同店はこれを強くしていきたいと考えているとのこと。もちろん、児童書出版社出身の強みを活かさない手はない。絵本や児童書の品揃えも充実している。
というのも、小張さん。ひるねこBOOKSは近所の家族連れがひょいと立ち寄ったときに、親も子どもも楽しめるような店づくりを目指しているのだ。開店から2ヶ月経つが、口コミが徐々に広がり、家族連れのお客様が増えてきているよう。
レイアウトと品揃え
では、ディテールを見ていこう。
ひるねこBOOKSはガレージ風の空き地の奥に店がある。この部分も店舗スペースだが普段は均一本が少しあるだけだ。晴れた日はちょうど良い陽射しが降り注いでなんとも言わず幸せな雰囲気。
中に入ろう。
レイアウトは奥に長い長方形。店舗真ん中に平台代わりのテーブル、右奥にカウンター、左奥にレジがあり、他の壁は全て本棚だ。
まず、『くまのパディントン』が目に付いた。平台は猫本が中心で、小出版社ビーナイスさんの書籍など新刊本が何点か。
左辺の本棚から見ていこう。手前には児童書や絵本だ。『モモ』、『はてしない物語』などミヒャエル・エンデの本などがある。そこからアート関係の図録や写真の本と続き、暮らしの本が棚1本分。花森安治や雑誌『暮しの手帖』などが並べられている。左辺の最後は食と酒だ。『ビールのすべて』、『文豪の食卓』など。好みが近いのが嬉しい。
入り口に戻って右回りに見ていくと、また絵本と猫本だ。どうやら入り口近くに猫本と子ども向けの本を集めているらしい。それだけ手に取って欲しい本なのだろう。
そこから先は大人向けの品揃えだ。文芸関係を集めた棚で、梶井基次郎や『ペナンブラ氏の24時間書店』、ちくま文庫などがある。壁を向いたカウンター席には雑貨が置かれ、店の一番奥に北欧の本がある。『ムンクの時代』、『デンマーク紀行』、ムーミンの本などである。
親子で来て欲しい陽だまりの本屋
ひるねこBOOKSは買い物帰りにふらっと立ち寄るのにちょうど良い本屋だ。子どもをあやしながら買い物を終わらせ夕餉の用意をする前にふと立ち止まって束の間の休み時間を提供するような本屋。
子どもは店舗前の空間で遊ばせておくのも良いだろう。車が来ないので安心だ。もしかしたら入り口近くの絵本に夢中になってくれるかもしれない。
その間に気になるあの作家の本や昔見かけたけど読めなかったあの本、猫本に癒されたら良い。
日々の生活を過ごし豊かにしてくれるような本屋。ひるねこBOOKSはそんな場所だった。