本屋探訪記vol.107:本と珈琲の街・清澄白河は「しまぶっく」からはじまった

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しまぶっくのことをどれだけの方がご存知だろうか?

本屋好きの間では知られた店だが、一般的な認知度はどうかというと高くないだろう。なぜならこの店。ウェブ展開が全く無いのだ。

「しまぶっく」で検索すると出てくるのは取材記事がいくつか。ウェブサイトは? ツイッターは? まったくないのである。

ぼくが知ることができたのはBRUTUSの本屋特集のお陰だが、なければきっと分からなかっただろう。
場所は清澄白河。深川資料館通りの外れにある。別記事の本屋地図をご覧いただければ分かるように他の本屋からも離れているので要注意だ。

まとめ

時間の無い方のためにまとめを。
  • 品揃え:コダわっているわけでもなく、かと言ってお客に媚びているわけでもない品揃え。生粋の本読みからふらりと訪れたひとまで満足できそう。
  • 雰囲気:アットホーム。
  • 立地:深川資料館通りを駅側から5分ほど歩いた場所。清澄白河駅から歩いて行くと一番初めに出会う本屋。
東京都江東区三好2丁目13

地元密着型古本屋

ウェブを無視しているということはどういうことか。それはつまり店頭のお客さんを第一に考えるということだ。ウェブが登場するまでは当たり前だったことだし、今でも当たり前で、だからこそ難しいことである。
でも、だからだろうか。一歩店に入るとこうなんというか懐かしい気持ちになってしまう。往来堂や往来座で感じたものと同一なものだ。
それは入り口横の絵本のせいかもしれないし清澄白河という街の発するものかもしれない。
それでもこの雰囲気があるということはしまぶっくは街の古本屋にしっかりなっているということだと思う。

書棚編集の名人がつくっている本棚

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情報が少ないので先に挙げた取材記事を読んでいると、なんとしまぶっくの店主。元は青山ブックセンターやジュンク堂で数十年お勤めになった方のようで、書棚編集の達人として知る人ぞ知る有名人だそうで。

こだわり過ぎもせず、かと言ってお客に媚びているわけでもないように見える本棚で、こんな本棚をつくるのにどれだけの読書量が必要なのかとため息をついてしまったが、そうか、そういうことか、と、ひとり納得。
やーすごいんですよ。これが。

横長の店内 幅広い品揃え

横長の店内には左奥にレジがあり、壁沿いとレジ内作業スペース沿いに本棚。レジ目の前に空いた若干のスペースにも本棚。とこのように広くはないスペースを効率的に使用している。

品揃えは、大きく分けて、左側に家族向けの本。右側に大人向けの本である。それぞれが入門書的なものからマニアックなものまで幅広く取り揃えてあるのはさすがの一言だ。

家族向けコーナー

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細かく見ていこう。
レジ手前の空間は食と暮らし、絵本など子供向けコーナーである。お父さんお母さんお子さんの全員がこのスペースで楽しめる仕掛けだ。
『おとなの味』や『ニッポン居酒屋放浪記』、シャネルの本、雑貨についての本、松浦弥太郎、カフェめぐり本など。気楽に楽しめる本が多い。
子どもが本に夢中になっていあいだ、束の間のひとり時間を過ごすための本といったところだろうか。
子供向けの本としては『動物会議』『初版グリム童話集』、『星の王子さま』、『トイストーリー』などの仕掛け本(海外)などである。子どもがしっかり楽しめそうなラインナップだ。

大人向けの本

店内右手には大人向けの本である。

本の本や思想科学・宗教など人文社会系の本、文学・映画・音楽・江戸の本など大人の嗜み的本、デザイン・アートなどビジュアル寄りの本、城や俳句など含めた日本の歴史的な本。さらには本格的な古書も少々といった取り揃え。

以下、何冊も書くと長くなるので一ジャンル一冊程度で例示する。

本格的な古書

『春画江戸ごよみ』といったものから夏目漱石の大正に発行されたものなど。

人文社会系の本

場所は店内右突き当たりで以下の通り。
思想:『パサージュ論』
科学:『ファインマンさん、困ります』
宗教:『荘子』

大人の嗜み的本

場所は店内右奥。
文学:『ロレンスへの旅』、ちくま日本文学全集。
映画・音楽:『ジョージルーカスのSFX工房』、『コルトレーンの世界』
東京:『古川ロッパ 昭和日記』
ビジュアル寄りの本

場所はレジ目の前。アートやデザイン、広告、写真の本である。
雑誌では『美術手帖』、『アイデア』などで、書籍は『重力のデザイン」『広告大入門』、土門拳などだ。

日本の歴史的なもの

場所はレジ目の前。ビジュアル本の裏である。
日本の芸能:『日本の名城』、『俳句歳時記』
日本史:『江戸各所図会』司馬遼太郎。

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清澄白河の中心的本屋

この日、覗いた他の本屋に聞いたのだがしまぶっくは、清澄白河にこんなに本屋が増える前。一番初めにできた古本屋らしい。
ブルーボトルコーヒーに釣られて行ってみると分かるが、清澄白河。上品な住宅街である。出店するとなったときに選択肢に入れるかというとなかなか難しい。まさに地元に密着してこそ成り立つ立地。
だが、しまぶっくはそこで開店した。きっと大変だったろう。そして、今でもここにある。今ではしまぶっくはに続いて何店もの店ができた。
本と珈琲の街・清澄白河はしまぶっくによって生まれたのだ。
もし清澄白河に本屋めぐりをしに行くなら一番初めに行って欲しい店である。

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