本屋探訪記 vol.56:東京下北沢にある「July Books/七月書房」では女性店主のセンスが光る(2016年11月27日閉店)

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「下北沢には面白い本屋がたくさんある。」

そのことは知っていたがどこに何があるのかどういう店があるのかを具体的に知る術がなかった。そこに現れたのがこのまとめである。これは僕が参加していたB&Bの「働くキュレーターLAB」でLAB生が提出した課題であるが(僕はこの時ブクログと東京の本屋をまとめた)このまとめが役立つ。
B&Bはもちろん。ダーウィンルームや気流舎など知らなかったけれど楽しそうな本屋がたくさんあった。今回、行ったのはその中の一つ。本屋探訪記第56弾は古本屋「July Books」である(2012年11月25日の記録)。

まとめ

時間の無い方のためにまとめを。
  • 品揃え:女性向けのファンシーな本やビジュアルブック、雑貨もある中で文学もしっかりあるのが素晴らしい。
  • 雰囲気:気軽に入れる雰囲気。カフェや雑貨屋のような。
  • 立地:下北沢一番街商店街の北の端っこ。
世田谷区北沢2-39-14 ルックアップマンション1F
OPEN 平日14:00-20:00ごろ 土日祝13:00-20;00ごろ
(天候によっては平日早め閉店もあります)CLOSE 月・火曜日
tel:6407-0889
mail:7gatsubooks@gmail.com
URL:http://julybooks.jugem.jp/
ネットショップ(試作中)http://julybooks.thebase.in/
Twitter:https://twitter.com/julybooks7
Facebook:https://www.facebook.com/julybooks

下北沢一番街

下北沢駅の北口を出てさらに北側にまっすぐ進むと突当りに出る。ここが下北沢一番街だ。右手に踏み切り、左手が上り坂になっている。近くに「心」というスープカレー屋があれば正解だ。この上り坂を15分ほど歩こう。レトロ雑貨屋やおしゃれなカフェ、昔ながらの定食屋、シーシャバー、真夜中の駄菓子屋など種々雑多な下北沢臭溢れる街並みを歩いていると左手に見えるものがある。「July Books/七月書房」だ。

BGMは古いジャズ

コンクリート打ちっぱなしの近代的な趣を漂わせるビルの1回を使用した店舗の外にはセール棚がありなんと地上で読む機内誌『ペイパースカイ』が置かれている。この時点でやにわに期待感が募ってくる。他にあるのは『ヤクザと日本』、『博士の異常な愛情』など他の古本屋のセール棚と同じようにジャンル分けはない。

店に入るとミッキーマウスのフィギュアと絵本が出迎えてくれる。しかも昔の魔法使いのころだ。「お邪魔します」と小声でミッキーに声をかけ、さらに中に入ると木製の什器を中心とした素敵空間が広がっていた。本屋というよりは雑貨屋のような内装に流れているのは古いジャズ。「マイ・フェイバリットシングス」(「そうだ、京都へ行こう」のあれだ)なんてかけているところが愛らしい。奥のレジにいる女性が店主だろうか。「彼女の好きなものが置いてあるのだろう」とそんな妄想を膨らませてしまう。

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レイアウト

棚を見る前に店内のレイアウトをざっと紹介しておこう。店舗は奥に広い長方形となっており左辺には正方形ボックスを積み上げた棚、正面奥はレジと小さい棚に雑貨、右辺には横長の棚、入り口がある辺と右辺の角を挟んで本棚が2本ある。そして、店舗中央にはテーブルが二つとイス1脚、本棚だ。
もちろん全てのスペースに本があるのだが、レジに近い方に雑貨が、入り口に近い方には本が多かったように思う。

それでは、本を見ていこう。

店舗左辺のビジュアル書籍棚

まずは、店舗左辺から見ていく。ここにはレイアウトの項で書いたように正方形のボックス型の棚がある。その数24個。通常の本棚のよりも高さがあるのでそれを生かして大判書籍やその面陳が多用されている。よく見ると英語でジャンル表記が貼られているがズラズラと書いていくと長くなるのでジャンルごとに約2,3冊を箇条書きで書いていこう。上段から1段ずつ奥に向かっていくことにする。
マグナム・マグナム コンパクトバージョン(完全日本語版)デザインと行く (白水Uブックス―エッセイの小径)水木しげるの妖怪探険―マレーシア大冒険 (講談社文庫)青山真治と阿部和重と中原昌也のシネコン!虫眼とアニ眼 (新潮文庫)
  • architecture/design:メモをし忘れたw
  • art/photo:柳宗理:アラーキー本、『マグナム』、オノヨーコの本、『クレーの絵本』
  • essay:『デザインと行く』、レイモン・サヴィニャック
  • world for men/curiosity:『シンキング』、雑誌『トランジット』、『水木しげるの妖怪探検』、『アースダイバー』、『女たちよ』、『クマグスの森』
  • movie/music:『ベットサイドマナー』、『シネコン!』
  • magazine/comic:雑誌『スタジオボイス』、『ちぐはぐな身体』、『虫眼とアニ眼』、諸星大二郎、『マンガ ホーキング入門』、『自分の仕事をつくる』、『ストレンジデイズ』
  • 最下段はジャンルなし:セットマンガ、絵本など大判本(『アキラ』大判セット、昴、ふしぎな流れ星)

レジ周辺のフライヤーと雑貨

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そのまま左辺を奥に進んでいくと突き当たりがレジとなる。素敵な女性がおそらく店主だろう。写真とブログ掲載の許可のために話しかけると興味を持ってくれた。嬉しいのもあり話しているとなんと西荻窪のbeco caféで開催されたいか文庫トークショーに参加していたらしい。何を隠そういか文庫のことは僕も気になっていたので参加していたのだ。これは思わぬ偶然。図らずしもテンションが上がってしまう。素晴らしい縁である。疲れ気味の体を引きずっていた甲斐があろうというものだ。そのうち本棚あそびのインタビューに協力してもらおう。

それはそうとレジ横にも棚があり、フライヤーや雑貨、洋書の絵本が置かれていた。ここはレジ周りに商品を置く他の店舗と同じようにあまり量も種類もない。しかし、紙の箱だったりマスキングテープだったり、ついで買いができる商品ばかりなのだ。素敵店主の商魂を垣間見た気がした。

右辺の絵本とマンガ棚

商魂のことをさらりと忘れて次の棚を見よう。レジすぐ横の右辺には腰くらいの高さのチェストがある。あるのは洋書の絵本だ。さすがである。さすが女子の古本屋である。あまりの素敵っぷりに仰け反り後ろのテーブルに腰が当たってアタタタタ…とはなっていない念のため。

柱を挟んで入り口の方に行くと胸くらいの高さのチェストに少女マンガ棚である。さすがである。さすが女子ry
マンガに限らず少女趣味なものが置かれているのだがどちらも守備範囲外なので具体的な書名はメモらなかった。知りたい方は是非ともご自分の目で確かめてほしい。

右辺の角にある文学本棚

そうやって入り口に戻っていくと角に背の高い本棚が2本ある。ここは文学棚である。そう。古本屋なのにここまで見てきて文学の棚がなかったのだ。ジュライブックスの客層が文学少年少女ではなくオシャレ女子なことが如実に表れているのだ。しかし、かと言って品ぞろえが微妙かというとそうでもないの素晴らしい。憎たらしいほどである。では、どんな本があるかというと、これもまた長くなるので、ジャンルごとに箇条書きで書いていこう。この棚も左辺のようにジャンル分けのシールが貼ってあるのだ。左辺側の上段→下段、入り口側の上段→下段と見ていく。
旅のラゴス (新潮文庫)箱男 (新潮文庫)植草甚一の収集誌 (シリーズ 植草甚一倶楽部)クラウド・コレクター―雲をつかむような話

左辺側

  • Japanese:水木しげる、妹尾河童、寺山修司、向田邦子、太宰治、夏目漱石、安部公房、村上春樹、よしもとばなな、筒井康隆、川上未映子、角田光代、村上龍
  • Book of Book:『すごい本屋』、『本の本』、『書物観光』、『植草甚一の収集誌』、『クラウドコレクター』
世界の中心で愛を叫んだけもの (ハヤカワ文庫 SF エ 4-1)百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967))族長の秋 他6篇薔薇の名前〈上〉

入口側

  • SF:『世界の中心で愛を叫んだけもの』、『クローム襲撃』、『星を継ぐもの』、ル・グウィン『パワー』
  • Foreign:『緑の家』、サガン、ガルシア・マルケス、カポーティー、『カラマーゾフの兄弟』、『白痴』、『罪と罰』、ボールオースター、サリンジャー、『薔薇の名前』、池澤夏樹編『世界文学全集』、『そしてカバたちはタンクで茹で死に』
どうだろう。なかなかの品ぞろえではないか。特にガルシア・マルケス全集が何冊も置いてあったのが素晴らしい。これは素晴らしいものがある。

真ん中のテーブルはオススメ商品

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さて、最後に真ん中のテーブルから見ていこう。目玉は最後に持ってくるのが礼儀ってものである。

とはいえ、実は入り口から中に入ると真っ先に見えるのはテーブルではない。テーブルの前に鎮座するスヌーピー棚なのだ。腰くらいまでの高さで横50センチほどの棚丸ごとひとつがスヌーピーである。入り口のネズミといいこの犬といい女子まっしぐらなのである。
残念ながら僕は女性ではなくスヌーピーがそこまで好きというわけでもないので、それらの魅力的な動物たちを華麗にスルーして手前のテーブルを見ることにした。あったのは『美術手帖』の奈良美智特集や『ZEROより愛をこめて』、『FAVES』(communeギャラリーの冊子でPOP解説によるとJuly Booksが記載されているらしい)などが平で置かれている。他にも平ではないが『世界の本屋さん2』が70%程度の値段で売られていたのだが、これは買いたい。買いたいがそうすると山のように溜まっている積読本はどうなる。そもそもなぜそんなに買ってしまっているのか。いや積読本はそのとき買いたかった本でもあるわけで恨むなら過去の自分であるということになり、「そんな卑屈なことは僕はしたくない。するくらいなら本など買わない方が良い」なんて威勢のいいことを思ったりしながら結局のところ、財布の中の現金が足りなかったのであきらめたという。つまりそれだけ魅力的なテーブルであったということだ。

余談が過ぎた。奥のテーブルに行こう。

奥のテーブルは横に置いてある長イスに雑貨が置いてあり、テーブル上には「ドロールマルス」というブランド?の雑貨、「北の模様帖」というブランド?の雑貨、マスキングテープ、さらに文庫でマドレーヌのクリスマスや絵本の『クリスマスの思い出』、『ペネロペ』、『ゆきあそびをする』、『急行「北極号」』、詩集で谷川俊太郎などが置かれていた。

悶絶女子

これで棚や商品については全て観終わった。素晴らしい品ぞろえである。僕の中のありもしない女性的部分がチラッとチラリズム的要素を醸し出しつつおやじどもを喜ばせそうなくらい素晴らしい品ぞろえである。しかし、しつこいようだが僕は男子なのでよく分からないのだ。左辺のデザインや写真、さらに角の文学については好きなものがたくさんあって女性的ではない部分が心中で活火山大爆発的な喜び方をしていたのだがいかんせん少女関係の棚はよく分からない。興味はあるがよく分からない。実は絵本も最近興味が…いやいや分からないと言ったら分からない。だから、とりあえず世の中の素敵女子たちにはこう言っておこう。

「女子どもよ、来店し、そして、悶絶しろ!」

July Booksはそんな悶絶女子が生まれる素晴らしい古本屋なのである。

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