本屋探訪記vol.74:都立大学駅にある出版の新しいタネ「MOUNT ZINE shop」

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6月23日に行った本屋巡りでは面白いところに行った。「SUNNYBOY BOOKS」や「リズムアンドブックス」など若い店主による個性的な、もしくは新しい街の本屋さんとでも言うような本屋さんを回った。

今回紹介するのはその中でもとびきりの変わり種「MOUNT ZINE」である(というわけで以下は2013年6月23日の記録だ)。

まとめ

時間のない方のためにまとめです。
  • 品揃え:zine(自費出版物)が2,30冊ほど。それと古道具。
  • 雰囲気:町家に素敵なものが置いてあった! って感じ。
  • 立地:都立大学駅から徒歩6分程度
東京都目黒区八雲2-5-10
tel:03-5726-8290
mail:zine(AT)mount.co.jp
open:木、金、土、日(12時-19時)
close:月、火、水
※お問い合わせはメールでお願いします電話はシェアスペース890につながります
URL:https://zine.mount.co.jp/
Twitter:https://twitter.com/mountzine
Facebook:https://www.facebook.com/mountzine

ジンとはなんぞや?

「MOUNT ZINE」はマウントジンと読むジンの専門店だ。

え? ジンって何か分からないって?

変な名前に驚かれた方もいるかもしれない。ジンとは個人による小規模の出版物である。
全共闘世代に流行ったリトルマガジンとも違う個人の主張というような堅苦しいものではない自己表現の一つとしての出版物。それがジンである。名前の由来はマガジン(magazine)のジン(zine)。手軽な雑誌とイメージしてもらえば良いだろう。
だから、猫が好きな人はひたすら猫のことを。ゴスロリが好きな人はゴスロリのことを。旅の記録を書く人だっている。形式だって自由だ。家庭のプリンターで印刷したものをホチキス留めしただけのものから印刷所でしっかり印刷されたこだわり溢れるものまで。情熱と財布の相談によって生まれる紙媒体のケミストリー。それがジンなのである。

若い人ほど紙が好き

そんなジンであるが5,6年前から密かなブームであったりする。出版業界がシュリンクし始めてから早20年。ネットで何でも手に入るからこそあえて「紙」で自己表現しようとする者が増えているのだ。
興味深いのが若い人ほど紙の本を魅力的だと思っていること。
サンプル数が少なすぎるとか偏りが強いとか結果それ自体に関する批判はあるだろうが国際ブックフェアに来るような本好きの若い人にそういう人が多いということは個人的に納得できる。
自分の周りには紙本が好きな人、電子書籍が好きな人、両方が好きな人。そのどれもがいるが、若い人で「本好き」と言っているような人はおしなべて紙で読むことが好きな気がする。あのページをめくる感覚が良いのだろうか。それとも手にとって見れることが良いのだろうか。電子雑誌に拙文を載せて頂いており、モノ好きで古本屋を開業したいぼくからするとどちらにもそれぞれの良さがあると思う。
しかし、紙で出すことプロダクトとして本を出版することそれ自体の面白さは確かにあると思う。そう思うからこそ「Cannes Lions2013の雑誌を作る夏プロジェクト」を企画したのだし自費出版にも興味があるのだ。
そして、そう思う人がたくさんいるからこそ「ジン」が人気なのだろう。情報を発信するだけなら別にブログやSNSで事足りるのだから。

意外と少ないジン専門店

ネットが浸透したからこそ注目されてきた紙出版という行為。では、その行為を下支えする様な流通は存在するのだろうか。調べてみるとこれが意外と少ない。代官山蔦屋書店やユトレヒトなどいくつかのジンが置かれている店はあるのだが専門店はないのだ。
大阪にあり今はもうリアルの店舗は閉じてしまった「Books DANTALION」と「MOUNT ZINE」くらいなのだ。

場所は都立大学駅から徒歩10分 閑静な住宅街の中

数少ないジン専門店である「MOUNT ZINE」だが、都立大学駅から徒歩10分野場所にある。駅名からすると学生街の気がするが実は同名大学は存在しないらしい。雰囲気の良いカフェが点在し緩やかに人が歩いている居心地の良い土地だ。そんな中に古い民家を改装したような雰囲気のある建物が突如として出現する。そこが「MOUNT ZINE」だ。


Horta(オルタ)とはらぺこめがねとMOUNT ZINE

中に入ると左半分がジンの販売スペース。もう右半分がアンティークの販売スペース。奥に事務所だ。ジンの専門店なのだと思ったので驚いた。どういうことなのだ。
その後、メンバーに話を聞く機会があった。どうやらジンが「MOUNT ZINE」。アンティークが「Horta(オルタ)」。事務所が「はらぺこめがね」というイラストレイたーのアトリエとなっており3つのユニットが関わっているらしい。志を同じくする仲間が集まって維持しているひとつの場なのだ。ここは。

あえてリアルな場をつくること

もっと話を聞いてみると実はMOUNT ZINEはプロジェクト名でありその固定店舗として「890」という場の一部にオープンしたのが都立大学駅にあるここなのだそうだ。
場を必要と思った仲間がやり方は違えどひとつの場を協力して作りだし共有する。
実は今回取材で訪れた6/23の後にHorta(オルタ)の方にお誘い頂いた「東京シェアスルー」でお話しいただいたのだが、なんとこの場所は古民家をいちから自分たちと仲間の手でリノベーションして作ったものらしい。その過程で地元の方と協力しているからオープン時から地域に根付いた活動ができる。それぞれリアルな場を持つことでウェブだけの時よりも仕事が増えたと嬉しそうに3ユニットも話している。
ウェブ全盛の時代にあえてリアルな場をつくることのあらたな可能性を感じた。

半年ごとに総入れ替えのジン

先に「MOUNT ZINE」はプロジェクト名であると書いたが、この890の一部を拠点にイベントやワークショップを企画してジンという文化を広げようとしているらしい。ジンを一緒に作ったり海外に日本のジン文化を紹介したり。890の中の店舗はそのアンテナショップのような位置づけのようだ。

ジンの取り扱いは取扱店が勝手に決めているらしい。MOUNT ZINEでははじめに半年分のお金を頂く前払い制。その半年分のお金の中にはイベントへの出店料も展示料も入っている。マージンを取るというやり方もあるが、こちらの方がある意味では計画が立てやすいかもしれない。要は初めの投資を回収できるかどうかなのだから一括で支払う方が計算はしやすいだろう。
また、当然だが半年ごとに店の展示は変わる。半年後に店を訪ねたら違うジンばかりになっているということなのだ。ジンはただでさえ少部数だ。欲しいジンが見つかった人はぜひその場で買うことをお勧めしたい。

Horta(オルタ)の素敵家具たちと古民家の写真をどうぞ

そんなわけでこの複合ショップ。何はともあれ行って欲しい素敵なお店なのだが、テキストだけではイメージしにくいだろうし最後に写真を載せる。ぜひこの素敵空間で個人の熱情あふれる自費出版物=ジンを楽しんで欲しい。そして、あなたも作ってみたら良いのだ。初期衝動のままにつくれる手軽さがジンの一番の魅力なのだから。

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