中野まで自転車で行けるという話をすると「タコシェには行った?」と必ず聞かれる。諸事情が重なり行ったことがなかったぼくは聞かれる度に悔しい気持ちになった。 「本屋好きと自称している人間がまだタコシェに行ってないなんて!」 そう言われているような気がしていたのだ(ただの自意識過剰と言われればそれまでだが)。 あるとき中野ブロードウェイにドロッセルマイヤーというテーブルゲーム専門店の方と知り合いになった。せっかくなので休日に行こうと思ったのだが、ふと気付いた。 「タコシェに行くチャンスではないか!」 いくら自転車で行ける距離とはいえ30分はかかる道のりをタコシェのためだけに行くのは面倒だと思っていたのだがこれなら丁度いい。ついでに中野にある本屋も巡ってやった。 そんなわけでようやく「タコシェ」に足を踏み入れることができた次第である(以下は2013年6月9日の記録である)。
まとめ
時間のない方のためにまとめです。
- 品揃え:リトルプレス・zineを中心に、サブカル品揃え。ディープなものも多い。
- 雰囲気:ブロードウェイ内という立地もあり、マニアックな雰囲気。
- 立地:中野駅から徒歩10分程度
tel:03-5343-3010
fax:03-5343-4010
営業時間:12:00~20:00(年中無休)
URL:http://tacoche.com/
Twitter:https://twitter.com/tacoche
facebook:https://www.facebook.com/pages/%E3%82%BF%E3%82%B3%E3%82%B7%E3%82%A7/291194614285824
ヌード看板
凄い看板である。どうみてもスリムとはいえない性別不詳の人間がマンガタッチで描かれたもの。それがタコシェの看板なのだ。ちなみにこれは村上春樹の『またたび浴びたタマ』のイラストやジム・オルークのCDジャケットなどを手がけた友沢ミミヨさんのイラストだそうだ。 こんな看板を他の場所で掲げたらどうなるか。吉祥寺でも下北沢でも厳しいだろう。ギリギリ高円寺なら大丈夫だろうか。 しかし、中野ブロードウェイだから許される。これはもう自信を持って言える。まんだらけはもちろん様々なオタク的専門店が多い中野ブロードウェイだからこそこんな看板でも自然に受け入れられるのだ。
内装、レイアウト、BGM
中の様子を説明しよう。白で統一された店内は普通の古書店のように奥に長い店内は真ん中にある2つの平台で左右に分けられている。レジカウンターはもちろん一番奥だ。白で統一とはいってももちろん「オシャレ」とは違う。中野ブロードウェイ的ゴチャゴチャ感に溢れている。店の中も外もゴチャゴチャというわけだ。 BGMはなんだったろうか。おそらくJ-POPでないことだけは確かだ。とにかく中野ブロードウェイ的な店なのだ。
ミニコミがほとんどの品揃え
品揃えはミニコミがほとんどに少しの新刊・古本である。表に子供用Tシャツや古本も置いてあるように雑貨もある。
左辺壁棚 文庫〜風俗・サブカル系、ミニコミ、音楽関連
さて左辺の壁棚から見ていこう。 手前から文庫〜風俗・サブカル系が棚1本半で、杉作J太郎や『私説ミジンコ大全』、田亀源五郎、『ファミコンの思い出』、『世界の女とセックス』などである。 次はミニコミで棚3本分。『マンガルカ』、『PLANETS』、『酒とつまみ』、『野宿野郎』などなど。さらにパリのスタンプ作家Sardonさんのオリジナルスタンプや口琴もある。 その次は音楽関連本で棚1つ。雑誌『アルテス』や『DUB STEP DISC GUIDE』、村八分など。 次が、音楽関連ビデオで棚1本。CDで棚1本。ここで突き当たりとなりレジカウンターとなる。
右辺壁棚 コミックとアート系
次は右辺の壁棚だ。 手前から大量のフライヤーが棚1本分。 次がコミックで棚4本。ジョージ秋山、花輪和一、『ウルトラヘヴン』、町田ひらく、つげ忠男、いましろたかしなどなど。 絵本は少しだけで長新太『チンプンカンプントンチンカン』などイラストレーターによる限定絵本を中心に。 そこから先は映画や幻想文学、演劇、古本屋などサブカル系で棚を5本使っている。『エーガ界にささぐ』、『裸のランチ』、『夢と眠りの博物誌』、『雲遊天下』、『植草甚一の勉強』、『切手帖とピンセット』、『映画長話』、『濃縮四方田』などなど。 一番奥は洋画ビデオとなっている。
平台のグッズ、ミニコミとコミック
さて、最後に中央の平台だ。 奥から見ると、ここはほぼグッズで埋められている。カードとかピンバッジとかなどだ。 手前の平台はミニコミとコミックである。 ミニコミは『燃えよ!インディーズ」』、『第25回ピンク大賞PG』、『拷問遊戯』、『悪魔の落し子』、下北沢B&Bにも置いてある『なんとなくクリティック』など。 コミックは『僕の小規模なコラム集』、『ライオンの首』、『風童』、『みずほ草紙』、『世界地図の間』などなどである。
中野に存在するミニコミ宇宙
これで「タコシェ」の棚は見終わった。如何だったろうか。 広いとはいえない空間に所狭しと置かれた怪しいほどに情熱に溢れた小冊子たち。それに負けじと怪しい魅力を放つ市販本たち。 あまりの熱さにクラクラしたのは梅雨入りにしては決して暑すぎる陽気のせいではないだろう。圧倒されたのだ。会社生活では味わえない怪しげな情熱に充てられたのだ。 中野にはミニコミでつくられた宇宙が存在する。異世界に触れた気分で中野を後にした。