本屋探訪記vol.26:「SHIBUYA PUBLISSHING & BOOKSELLERS」は渋谷で「シェアオフィス×本屋」を仕掛ける

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本屋探訪記第26弾は、ナディッフモダンに続き、以前の帰京で行った書店「SHIBUYA PUBLISSHING & BOOKSELLERS」(以下は2011年7月2日の記録です)。


まとめ

まず、時間の無い方のために軽いまとめを。
  • 品揃え:新刊は最低限ある。後はアート、ファッション系が強い。サブカル系も意外と多い。
  • 雰囲気:清潔感溢れる! オシャレ!
  • 立地:渋谷駅から徒歩12分。ナディッフモダンより遠いし比較的閑散としているが思ったより遠くない。
東京都渋谷区神山町17-3
STORE HOURS : 月~土 12:00‐24:00 日 12:00‐22:00(イベント・ワークショップのため変更有 り)
PHONE : 03-5465-0588
URL:http://www.shibuyabooks.net/
Facebook:https://www.facebook.com/shibuya.publihsing.and.booksellers
Twitter:https://twitter.com/SPBS_Tokyo

渋谷のはずれにあるオシャレ本屋

渋谷駅のハチ公口を出て109を左手に真っすぐ進み、東急が見えてきたらメガネ店と東急の間の文化村通りを進む。駅前周辺の騒がしさはどこへやら、といった場所をテクテクと進むと、ガラス張りでお洒落なデザインオフィスと間違えそうな外見のショップが現れる。店名も特に書かれていないため、入りにくさがあるかもしれないが、ここが「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS」(以下、SPBS)だ。中に入ってみよう。

出版社 兼 本屋!

中は白一色で手前が8畳ほどの販売スペース。奥にガラス戸で仕切られた編集スペースがある。販売スペースは長テーブルが手前に2つ、右奥に1つ、左奥にレジカウンターがある。壁にはオーダーメイドのような変わった棚が置かれており、大まかなジャンルを示した赤いプレートがぶら下げられている。

本を見ていこう。

林央子とガーリーカルチャーフェア

訪問時、左手前の長テーブルでは『林央子とガーリーカルチャーフェア』として、林央子の『拡張するファッション』を中心に『美術手帖』『自分自身を切りひらくアート』『背中の記憶』『長島有里枝写真集』『服部一成グラフィックス』などが、雑誌では『花椿』『リトルモア』『リラックス』『オリーブ』、そのほか洋雑誌や洋書の写真集が置かれていた。
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「本の詰め合わせ」を売ってます

テーブルの奥からカウンターに至るまでにはフライターグのバッグ、その奥にレンタルボックスが6つほど置かれ、雑貨のほか、『SPBSボックスセット』と呼ばれる「本の詰め合わせ」を販売していた。カウンターの前では「おいしいお土産」というフェアが展開されていて、『コーヒーの扉をひらこう』という本のほか、『丸山珈琲の豆』やTHEOBROMAのジャムシリーズ、エスプレッソマシン、フレンチプレスが置かれていた。
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入り口から見て左側 アートやデザインの品揃えで割とマニアック

入り口から見て左側の棚を見ていくとカウンター側から1つ目の棚には漫画、文庫、新書、ハードカバー、大判本、絵本など区別なく酒食、山や自然の本。

2つ目の棚にはデザイン系の本が置かれ、雑誌『真夜中』や絵本、『TOKYO大学博物館ガイド』『ナガオカケンメイとニッポン』、北尾トロの『ヘンな本あります』『東京検定』など。3つ目の棚にはファッション系の本や『川島小鳥 写真集』『大人の科学マガジン 二眼レフカメラ』、洋書の写真集などが並ぶ。

入り口側に位置する4つ目の棚はアート系がメインで、『日本の図像』やマルセル・デュシャンの本、雑誌『流行通信』、洋書の大判本などがあり、このほか香水やデジタルトイカメラが置かれていた。入り口から見て左側の棚は基本的にアートやデザインの品ぞろえで、割とマニアックといえるだろう。

SPBSの月間ランキング

右側の長テーブルは正面左手に『佐野洋子対談集』、右手にSPBSの月間ランキング(1位は『仕掛け人たちの企画術』)がある。洋雑誌と古書(『広告批評』や大江健三郎、赤瀬川源平、『少年文芸』など)が並ぶ。テーブル奥の端には「文庫50選」と題して『男の作法』や『料理王国』、サンテグジュペリの『人間の土地』、手塚治虫の『罪と罰』、水木しげるの『猫楠』などが置かれていた。
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新刊のマンガ、雑誌、ハードカバー、新書

そこから左に行くと今度は手前半分(入り口から見て奥)が平積みで新刊のマンガやハードカバー、新書が区別なく置かれ(『泣けるアカツカ』『失われた時のカフェで』『芸術ウソつかない』や原発系の本など)、残り半分が新刊の雑誌となる。入り口から見て手前右のテーブルはこれで全てだ。

視線を上げるとポストカードなどを入れる器具に、サンデーやマガジン、週刊文春など週刊誌が入っている。SPBSの雰囲気には合わなそうなものだが、こうやって展示するとおしゃれに見えるから不思議だ。

入り口から見て右辺の棚 文学・評論など文字ものとマンガ

次は、入り口から見て右の壁棚を見ていこう。こちらの棚は上が高く天井近くまであり、余裕を持たせた面陳のディスプレイとなっている。

歴史、社会、思想

手前の棚は上の方が社会、歴史系の本。『その時歴史上が動いた』が30冊ほど、『よくわかる文化人類学』『虹の解体』、岡潔の本などが並ぶ。下の方は思想や社会派、科学系の本で、『史上最強の哲学入門』『フーコー入門』『ゲーテ格言集』『銃・病原菌・鉄』『文明崩壊』『儲けたいんなら科学なんしゃないの?』『たけしの最新科学教室』、宮台真司の本などが並んでいる。

「コトバのゲイジュツ」フェア

次の棚には文学系の本が並び、訪問時は「コトバのゲイジュツ」フェアが行われていた。内容は星新一や小松左京、萩原恭次郎、町田康、村上春樹、ケルアック、バタイユ、ル・クレジオなどの本、雑誌『ユリイカ』や『ガープの世界』など、基本的には古書が置かれている。店内の白と古書の茶色のコントラストが良い感じだ。
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まさかの「自炊展」

棚の途中には一面深緑色な2畳ほどのスペースにつながる通路があり、訪問時は『自炊展』として、有名人(みうらじゅんやアラーキーなど)に関係する切抜きをスクラップしたファイルがテーブルに置かれていた。良く見てみると既に何冊かのファイルが売約されている。こういう売り方もあるのだと参考になった。

「エンターテイメント」棚

スペースから出て続きの棚を見ると、上には『エンターテイメント』というプレートが掛かっており、ナウシカのセットや『飛行艇時代』など宮崎駿の本、ダンス関連、植草甚一の本、ジャズ、ヒップホップなど音楽系、中島らも、永六輔、阿佐田哲也の本、そして、ウルトラベヴンやドラッグ系、サブカル系が取りそろえられている。

一番右奥のコミック棚

一番右奥に当たる棚はコミックの棚。手塚治虫、つげ義春、今敏、浅野いにお、松本大洋、大友克洋、よしながふみ、岡崎京子、こうの史代、『度胸星』『ヒストリエ』『寄生獣』『稲中』『アメリカンコミックス大全』『20世紀 雑誌の黄金時代』『絶望に効くクスリ』『ティエンビエンフー』『もやしもん』などが並ぶ。なかなかマニアックな品ぞろえだ。

右横の壁棚は手前から思想や社会系などのお堅い系→文学→サブカル→マンガといったように、奥に行くにつれポップな棚作りとなっている。テーブルには月間ランキングの本や雑誌、文庫、新刊など。テーブルで一般客を導きつつ、よりディープな方向に進ませるという狙いだろう。

フライターグもあるよ

コミック棚の辺りから店内中央を振り返ると真ん中に仕切りがあるテーブルが目に入り、手前にはここにもフライターグのバッグが再び置かれていた。丈夫でデザイン性も高いバッグなので、SPBSに来るようなお客さんには良く売れるということだろう。

SPBSが選ぶリトルプレス20タイトル

そのままテーブルの向こう側に回り込もうとするとリトルプレス(小冊子)の特集として「SPBSが選ぶリトルプレス20タイトル」が並んでいた。知っているものは1つもなかったが『非流行通信』は名前からして気になった(その後、ジン専門店「ダンタリオン」で購入)。

すぐ隣には『リトルプレスの楽しみ』『リトルプレスをつくる』というハウツー本が置かれ、セオリーだなとは思いながらも、やはり実物の近くに置かれるとつい購入する方も多いのだろうと思った。
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テーブルの向こうに回り込むと文房具や小物入れなど雑貨が置かれていた。美篶堂のノートや豆本カードスタンド、ミュージアムノートや本型小物入れなどがあった。

菊池成孔の本棚

さて、これで店内全てを回ったことになる……と思ったらカウンター横に小さな本棚があった。横には『菊池成孔の本棚』とある。『〜の本棚』といわれると気になるのが人情、ということで中を覗くと『フロイトラカン事典』やカズオイシグロの『わたしを離さないで』、昔のSFマガジンなどがガラス戸の本棚に目一杯入っていた。菊池成孔という人は、ミュージシャンで音楽評論家の人だったと思うが、その人が小説はともかく、フロイト・ラカン事典を読んでいることには驚いた。人間、肩書きだけでは何も分からないものである。

これでSPBSは全て見て回ったことになる。

オシャレなサブカル本屋

SPBSはサブカル臭を漂わせながらも清潔観が溢れ、しかもポップでオシャレな雰囲気を保っている。僕個人としては『オシャレなサブカル本屋』というイメージだった。

棚だけ見ればマニアックにも関わらず、いまだに『オシャレなお店だった』という感覚をぬぐいきれないのは、SPBSの空間構築の巧みさだろう。非常に勉強になった本屋探訪だった。ちなみに、SPBSでは出版も手掛けているし、雑誌制作のワークショップなども開催している。機会があればそちらにも行ってみたいところだ。

最後に、カバーも欲しかったということで文庫50選からミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』を購入。以前から見たかったし丁度良かった。
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