書店探訪記第17弾は、セレクトショップ「アーバンリサーチ」の「ドアーズ」(2011.5の記録)。
まとめ
まず、時間の無い方のために手短にまとめたものを書いておく。
- 品揃え:デザイン系とカフェやパン作りなどここと良い暮らしに関わりそうな本。セレクトショップでソファに座りながら本を眺めると言うのも良いもんです。
- 雰囲気:他のアーバンリサーチと同じ感じ。20代~30代向け。
- 立地:茶屋町なので良いと思う。ただ、階段が夏にはちょっとつらいかも。
Tel.06-6485-0178
営業時間:11:00〜21:00
定休日:不定休
URL:http://www.urban-research.co.jp/shop/store/3_2.html
Twitterアカウント:https://twitter.com/UR__Store
本も扱うセレクトショップ
今日は、以前の「ANGER(アンジェ)」に続き、本を扱っている他業種の店舗。セレクトショップ「アーバンリサーチ」の家具を扱うライン「ドアーズ」の紹介をする。
大阪駅を出て阪急側に向かいヘップファイブを右手に横切りながらロフトを目指す。すると、NU茶屋町の近くにエスカレーターのない無骨で結構なスペースをとった階段が見える。ここが「アーバンリサーチドアーズ」だ。
モダンなコンクリートむき出しの壁を両側に階段を上ると木を基調とした店内に入ることが出来る。広さは20畳くらい(広いのでテキトーです)で横に長い長方形の左下部分に小さい長方形を付け足したような形になっている。
右手にメンズ、左手にレディス、正面に雑貨がありその奥にカウンターがあるレイアウトでさらにレディスの一部、階段を上る時に左上に見える部分がカフェとなっておりメンズの奥には家具の販売スペースがある。レディスとカフェに用はなかったのでまず、メンズラインを見ていくことにした。
コンテクスト(文脈)で、購買意欲を刺激する
すると、アーバンリサーチには珍しくアウトドアがメインの品揃えだ。勿論、普通の服も置いてあるが登山用に使えそうなリュックサック(THE NORTH FACEなど)やトレッキングシューズ、カジュアルだがアウトドアでも使えそうな丈夫な生地で作られた服が多めに置いてある。
面白かったのがプロジェクターを使って「岳」のCMを流していたことだ。アニメの周辺グッズと同じような考え方なのだろうか。「コンテクスト(文脈)で、購買意欲を刺激する」という考え方が小売(特に服や本など余剰品)の間で広まってきていることを感じた。
リビングに見立てた場所にある本棚
それが入ってすぐ右手のコーナーで、そこを抜けると売り場はリビングのような雰囲気に変わってくる。ここに肝心の本があるのだ。
ここのスペースは、上述したように正四角形のリビングのような構成となっており中央にソファが何個か手前の壁沿いにBOXを積み上げたような形の本棚が。奥にはこれまた大きなBOXを積み上げた棚があり中にはイスが置かれている。
そして、手前の服スペースとの境目には書斎机が何個か置かれてありその上にはモレスキンやRHODIAのノート・手帳、ペンなど文房具が。何と端には洗濯機も売られている。家具のブランドは「カリモク」だ。
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デザイン・アートの入門書・読み物が多い
さて、肝心の本の紹介に移ろう。まず、本棚からだが小さな外枠だけの木箱を積み上げて行ったような形で20箱で一つの棚となっておりそれが二つ並んで置かれている。特にこれといってジャンル分け・文脈があるようには僕には思えなかったがセレクトは面白かった。
具体的には音楽系や旅、アウトドア系、民芸、建築、インテリアデザイン、デザイン、食、カメラ、カフェなど上質な暮らしに関わりそうな本、ライトニング(雑誌)、自転車についての本などがありもっと詳しく言うと安藤忠雄や南方熊楠、ソローの『森の生活』、京都の職人さんについての本、大橋歩の表紙集、『フェラーリと鉄瓶』(以前読んだことがある)、『リトルプレスの楽しみ』、『廃墟遊戯』などで、全体的には、個人の作品集とかではなく、あるジャンルの概要をしめしたようなものとか入門書、代表的な名品集、ある人物に迫った本といった品揃えだと感じた。
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誰がセレクトしているのか
店員さんに「誰がセレクトしているのか」とか「他店ではどうなのか」とかそういったことを聞いてみたがその店員さんによるとどうやら店によって多少違うらしい。例えば、梅田ルクアの中にある店舗だと『風の谷のナウシカ』全7巻があったが、今回の茶屋町店には置かれていないし岡本太郎の本もそうだ。
多分、本部である程度は決まっているが店舗による最良もある程度認められているということだろう。結局、誰がセレクトしているかというのは「本部からの指示」ということしか分からなかった。
これで本の紹介は終わりになるのだが他のメンズコーナーはというと現在いるリビングコーナーの周囲にバッグや靴などが置かれ、そこから中心に向かってまた服、そして財布やベルトなど革製品の雑貨があり、カウンターに至って、こから先はレディスとなる。
本はオシャレなものになりつつある?
今回の「アーバンリサーチドアーズ」であるが、ホームページを見ると「心地よい暮らし」がテーマであるらしく「「着る・食べる・住む」という日々の暮らしを内面から心地よくしてくれるアイテム」を売っているらしい。
「本」はこの中で、置いてある場所からして「住む」にあたるのだろう。以前行った「ANGER(アンジェ)」のテーマが、「上質な暮らし、美しいデザイン」であることを考える、僕が考える「本はお洒落なものになりつつある」という考えは割と合っているのかもしれない(まあまだ2店目ですが・・・苦笑)。
よく遊び、よく学べ
さて、僕が思うに「アーバンリサーチドアーズ茶屋町店」の柱は(カジュアル)アウトドアと家具、そして雑貨(それとカフェもか)が挙げられる。これが上述の「心地よい暮らし」とどう関わっていくか。
僕は「よく遊び、よく学べ」ってことになるのかなあと思った。アウトドアは「遊び」で、文房具や本は「学び」ということだ。
但し、ここで一つ重要なポイントがある。あくまでも「カジュアルに」ということだ。ただ「良く遊び、良く学ぶ」というだけなら、その辺のお店でよい。でも、「アーバンリサーチドアーズ(茶屋町店)」ならばカジュアルにお洒落に「遊び」と「学び」を楽しむことができる。
「アーバンリサーチドアーズ(茶屋町店)」が提案する上質なウェアー(服、身に纏うもの)とコンテンツ(その身で消費するもの)でならそれが可能ですよ」という狙いを感じることが出来たお店だった。
追記(2011年6月8日)
上記の記事を書いた後、 なんとアーバンリサーチの公式アカウント(@UR_Store)からツイッターで返信がありました!はじめはリアクションでしたが、そこから「本のセレクト」について聞いてみたところ、ご丁寧に担当の方の言葉まで教えて頂いて…いやー、こういうリアクションがあると「書いてて良かった」って思うなー。
そこで、上記の記事では「本部からの指示」としか分からなかった「本のセレクト」について担当の上林さんからの言葉を載せたいと思います(ちゃんと許可を取りました)。
僕「本のセレクトはどのように行われているか教えて頂けないでしょうか? 」
公式アカウント(@UR_Store)「DMにてお返事させて頂きました!HPにも少しコーナーがありますのでご覧下さいませ。 http://bit.ly/mAaslV」
ここからDM。
公式アカウント(@UR_Store)
「ご質問のお返事ですが、本のセレクトはDOORS南船場のスタッフが選んでいます。なかでも中心となっておりますのは上林というスタッフです。上林からの返答ですが「基本的には自分が読みたい本、おすすめしたい本、好きな本しかいれていません。ジャンルは問わず、今まで出会った中で心打たれた本やDOORSとしても繋がりのある方の本など。本棚って人の頭の中みたいなものだと思っているので、DOORSが伝えたい考え方を見て感じてもらえるようにしています。そばにあってほしい本、今後一生付き合っていくであろう本をセレクトし、基本的には一冊一冊発注しています。」とのことです。」(読みやすいように改行しています)
さて、ここからいつもの調子で敬語は外します。
本棚は人の頭の中である
「本棚って人の頭の中みたいなものだと思っている」この言葉は僕も同感で特に「人に見せる本棚」の場合、当てはまると思う。
- 自分が読みたい本→興味のある物事
- おすすめしたい本→自分の中の長所だったり社会に見せる部分
- 好きな本→自分の中のコアな部分
- 繋がりのある方の本→公私問わず交友関係
といった感じで「社会にこう思って欲しい自分」の内訳を見せるような感じ。「自分」っていっても単純に「自分はこういう人間である」なんてことは言えないわけで「こういった状況ではこういう反応をしがち」とか「こういう気分の時はこういう人間だ」とか。
そういった感じで色々な面、層がある。その中でこういった「人に見せる本棚」の場合、自分の中の(この場合、アーバンリサーチドアーズの社員であるという意識が入るが)人に見せたい部分をセレクトして並べる。
これが「自分のための本棚」の場合、より私的でリラックスした内容になり「頭の中の遍歴」のようなものになるのだろう。
アーバンリサーチドアーズの本棚の場合、そのバランスが秀逸で、それがアーバンリサーチドアーズのあのカジュアルでリラックスできる空間を作り出す一助になっているのかもしれないと思った。
公式アカウントの方、担当の上林さん。ご丁寧な回答、本当にありがとうございました! 今度、買わせていただきますね!