【連載】失われた「本屋」を求めて(6)

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白山にある双子のライオン堂書店店主に「なぜ本屋になり、これからどんな本屋を目指すのか」を聞く連載「失われた「本屋」を求めて」。ついに最終回です。今まで20代後半の店主がどうやって双子のライオン堂書店を開くことになったのか。その理由と経緯、そしてそれを踏まえた上での現状を書いて頂きました。 最終回はこれからの双子のライオン堂書店と抱負を書いてくださいました。

本屋探訪記でも取り上げています。
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いま何が書店に必要か

書店がどんどん減っていることに関しては、すでにいろいろな所で嘆かれていますので、ご存知だと思います。実店舗は、ここ15年でおよそ半分になったと言われています。いままさに書店の役割をみんなで再考する時期なのでしょう。
いま書店のために必要なことは、書店をやりたい人がどんどん挑戦できる環境を増やすことだと思います。単純に、脳みその数が増えれば、今までに思いつかなかった斬新なアイディアが増え、中には、書店を生き残らせる提案がたくさん含まれているはずでしょう。
しかし、新刊書店を始めるのは、資金的なハードルやいろいろな制約が縛りをもっていて簡単にはいきません。これでは、志高く煌めくアイディアを持っていても、チャレンジできず、希望の種は、他業界へ流れてしまいます。閉鎖的になれば、衰退してしまうのは、歴史の理です。

双子のライオン堂書店は書店の可能性を追求したい

そこで、双子のライオン堂は、この規模も小さく、在庫も少なく、営業時間も短い、異質な書店経営を通じて、書店の可能性を追求していきたいと思っているのです。
私には、潤沢な資金があるわけではありません。メディアのチャネルも特にないです。現に、アルバイトを掛け持ち、交通費を節約するために自転車で通勤して、なんとかお店を回して生活しています。それでも、書店を運営するのは可能なのです。そんなの書店じゃないと言われるかもしれません。しかし、それは本屋とカフェを一緒にやったり、本屋をイベント収益で回すのと何が違うのでしょうか。どれも本屋だと認めることから始めれば、どこかに答えがあるかもしれません。その可能性の一つを見つけるためにも、双子のライオン堂は挑戦していきたいのです。

失われた「本屋」を求めて

当店は、これから、もっとオープンに、著者も読者さんも巻き込んで、新しい書店の形を追求できる実験的な書店を目指そうと思います。それには勉強会や研究会を開いても良いでしょう。共同オーナーになって頂いても良いです。お前より良いアイディアがある! と乗っ取ってくれても良いです。それが、「失われた『本屋』を求め」た結果であれば、こんな嬉しいことはありません。もちろん、乗っ取り返しますが。
そうして、見つけた未来の書店の片隅で、私はひっそり文学の復興に力を注ぎたいと夢見ています。文学の現状は、書店のそれと同じです。書店も文学もたくさん利用されて(読まれて)揉まれて磨かれて、良くなっていくものなのです。そのため、受け手を増やす取組――作家と読者が膝を突き合わせて話し合う環境を作ったり、文学の魅力を親身になって案内したり――を行っていきたいです。だからこそ、書店を残したいのです。

最後に

この連載は、今回でおしまいです。連載をはじめて、目の前にあったモヤモヤしたものが晴れていく感覚がありました。当初は、これから書店をやってみたい人の役に立てば、と思っていましたが、いつしか私自身のセラピーのようになっていました。お付き合いありがとうございます。
最後に、優しく見守ってくださった読者の皆さまと貴重な機会をくれたBOOKSHOPLOVERの和氣さんに、この場を借りて、感謝の意を表します。今後とも、双子のライオン堂をよろしくお願いいたします。

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<双子のライオン堂書店 店舗情報>

【営業時間】 火曜日・土曜日:13:00~21:00
【店舗住所】 東京都文京区白山1-3-6
三田線「春日」徒歩7分 ※三田線A6またはA5から出ると近いです。

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