【連載】失われた「本屋」を求めて(3)

eyecatch2

白山にある双子のライオン堂書店店主に「なぜ本屋になり、これからどんな本屋を目指すのか」を聞く連載「失われた「本屋」を求めて」。第三回目です。前回は双子のライオン堂書店がなぜ選書専門店になったのかを書いてくださいました。今回は少し時を遡ってオンライン古書店時代について書いてくださるようです。どうぞ!

双子のライオン堂の歩み(前編)

今回は、双子のライオン堂のオンライン古書店時代をお話します。
双子のライオン堂は、僕が高校生のときにインターネット上に立ち上げたのが始まりです。

先駆者である北尾トロさんが『ぼくはオンライン古本屋のおやじさん』を出版してから約4年。オンライン古書店がじわじわ話題になっていて「誰でも古本屋になれる!」と謳っている本や雑誌が増えてきている時期でした。すでに、個性溢れるオンライン古書店がたくさん存在していました。

未成年で古物商許可証は取れるのか

さて、高校生で古本屋なんて出来るのか、と良く質問されるのですが、結果から言えば出来ます。始めた当初は、自分の蔵書からでしたが、仕入れもしないといけないぞと、古物商の許可も得ていました。この古物商の免許取得に関しては、高校生だったので苦労しました。

まず、書類関係の意味が分からなかったので、オンライン古書店の入門書やネット上の情報を集めてなんとか書き込みました。いざ提出!と最寄りの警察署に行っても話がなかなか通りません。
当時はオンラインだけで営業する古本屋が少なかったから「店舗の住所は?」「オンライン上で運営します」「オンラインってインターネットだけでやるの?」みたいな会話を担当者と入れ替わり立ち代りしました。
そこに年齢の問題が加わります。「君若いね、いくつ?」「17です」「なんで古物商なんか取るの?」「古本屋をやりたいからです」「ご家族が古本屋さんなの?」そんな具合で質問攻めでした。
未成年での取得に関してあまり例がないようで、各所に確認して「親の同意書があればいい」と言われたと思ったら「特別な理由がないと駄目」と言われたり、答えが出ないまましばらく放置。少ない在庫で運営していたので買取がしたく、正直困りました。
結局、いろんな書類を書いて、親に同意書のようなものを書いてもらったところで、18歳になってしまい、普通に許可がおりました。(ちなみに管理者は未成年だと駄目でしたので、父に協力してもらいました)

買取の難しさ

記念すべき最初の買取は、良く覚えています。同級生でした。大量の漫画と小説を休日に駅で渡されました。家に持ち帰って査定して週明け学校で買取価格を言ったら「安いから返して」と言われました。
自分が今まで古本屋で売ったときの経験よりは高くつけたつもりだったので、正直「何を言ってんだよ」と思いましたが、「俺が面白いと思う本は高いはず」という感覚も分からなくはないので、そのときは謝って返却しました。

その本に対する思いを汲み取れず、契約不成立になるケースは結構あります。
特に文学作品は、市場価格はどうしても高くならないですが内容は面白い場合が多いので、往々にしてこういったことが起こるのです。
いまでは、そういったときも、話し合いをして、理由(市場価格の問題や在庫状況)を話して納得いただくよう努力しますが、当時はまだ経験もなく「じゃあ買い取り出来ません」と謝るしかなかったです。

それでも、買取は楽しかったです。なぜならば、他人の蔵書や本棚を見ることが出来るからです。
また、本って世の中にたくさんあるのだな、と実感する瞬間でもありました。
仲の良い友人の棚にある本はだいたい興味のある本ですし、先輩や先生の本の棚に自分が読んだことのある本を見つけると嬉しかったです。

販売する方に関してですが、立ち上げ当初のサイトは蔵書と買い取った本のリストを並べてあるだけのとてもシンプルなものでした。そのため、なかなか本は売れませんでした。
徐々に、他のオンライン古書店のデザインを真似ていき、状態を詳しく書いたり、感想を書いたり、写真を載せるようになってやっと反応が出てきました。それでも月に2~3冊程度売れれば良い方で、友人には「あの本貸してよ」と言われる始末でした。
軽い気持ちで運営していた高校時代でしたが、大学に進学して少しずつ何かお店に色をつけたいなと考えるようになっていきます。(つづく)

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です