【連載】失われた「本屋」を求めて(1)

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「双子のライオン堂」という本屋を知っていますか?

あるとき知り合った男性と話していると「今度、本屋を開くんです」と言いました。それを聞いた時は同じく本屋を開きたいと日々活動している自分からすると「おめでとう!」という気持ちと「先を越された!」という気持ちがあって複雑でした。それから一年以上が経ち、まだまだ頑張っている彼を見て
「なぜ本屋を開くことになったのか?」「これまでどんなことをしていたのか?」「本屋になってからは?」
なんだかんだと聞けていなかったことをじっくりと聞いてみたくなりました。でも、せっかく聞くのなら自分一人だけ知るのはもったいない。そういうわけで本サイトに連載をしていただくことにしました。

珍しい名前のこの本屋。さて、どうやって始まったのでしょう?

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はじめまして、双子のライオン堂の竹田信弥と申します。
ネット古書店として10年の潜伏期間を経て、昨年5月に実店舗を東京文京区に出すことができました。まだまだ若輩者ではありますが、この場をお借りして本屋と本についてお話させて頂くことになりましたので、宜しくお願い致します。

趣味は草野球と読書、それと、本屋めぐり

生まれも育ちも東京、生粋の江戸っ子です。今年で28歳になりました。趣味は、草野球と読書、あと本屋めぐりです。好きな作家は、サリンジャー、カフカ、宮沢賢治・・・挙げたらキリがないです。

趣味としましたが、ほぼ毎日、どこかの本屋に行きますので、日課です。本屋と言う空間が好きです。高校時代の友人には「竹田と本屋に行くと、軽く4~5時間はかかる。しかも、ハシゴする」なんて言われてしまいます。すべて事実なので文句は言えません。本屋では、本はもちろんのこと、棚や本の並び、レイアウト、店員さんの動きなど、見る所がいくつもあってぜんぜん飽きません。僕にとっては展示品が無限に変化する無料の博物館です。こんなに素敵な場所はないと思います。

大学時代は文芸創作を志し、小説や詩のヨミカキをして過ごしました。文学というのは、範囲や対象を限定しませんので、小説の他にも、心理学や社会学、生態学や医学などかじる程度ではありますが、いろんな分野の本に出会うことができました。この経験が、いまの棚作りに大きく影響を与えているはずです。

話は逸れますが、「本屋や本の衰退」なんてことが叫ばれている昨今ですが、文学という分野はその中でも特に弱っています。僕はそれがとても悲しいのです。自分を支えてくれている文学には、もっとイキイキとしていて欲しいと考えています。常々「いつかリアル書店を開くなら、絶対に文学が幅を利かせている本屋を作ってやる」と思っていました。

読書に支えられたベンチャー時代

大学卒業後は、ベンチャー企業に就職しました。出版社・書店への就職も考えていたのですが、一度違う分野で知見を広げようとベンチャーの営業マンとして社会に出ることにしました。

ベンチャー企業では3年間、小さい会社でしたので営業を中心にいろいろな業務を経験できました。この経験は本屋立ち上げに大いに活きています。若い会社特有のガムシャラ感も自分の性に合っていたのか、楽しく過ごせました。苦しいこともありましたが、そんな時も本が拠り所でした。この時期は、多くのビジネス書を読みました。

また、文学にも支えられます。特に作家の自伝には、助けられることが多かったです。尊敬する先人たちが、困難にぶつかっては、それを解決していく様に、何度も励まされました。
会社生活も安定してきた3年目。仕事は順調でしたが、仕事量が増えて、読書もあまりできなくなり、ネット古書店の運営も放置気味になっていました。朝から晩まで仕事詰めで、ふと「本当に自分のやりたいことができているのか」「このまま同じことの繰り返しでいいのか」と言ったいま考えると青臭い疑問が浮かんできました。

そんなとき、上司から親会社への異動を促されました。とても光栄な話ではあったのですが「これは良いきっかけだ」と、一度会社を離れることにしました。

「ほんとうにやりたいこと」を見つけるために、「自分探し」をすることにしたのです。

そして開店へ

運も良く知り合いの会社に席を置かせてもらうことになりました。同時に、高校時代からはじめてしばらく放置していたネット古書店の運営にも力を入れることにしました。時間を見つけては仕入を行い、友人や先輩や先生に古本を譲って頂いたり、古書店めぐりをしてセドリを本格的に行いました。

かれこれ半年ほどそんな生活をしていると、知人のオフィスに空スペースがあることを知りました。その場所を見るたびに「あそこに、本屋を作れないかな」と勝手に妄想するようになり、次第に妄想だけでは我慢できなくなり、失うものはない! と、意を決して、とうとうお願いしてしまいました。

すると、二つ返事でOKを頂けたのです。
そして、僕は、憧れのリアル書店を開くことになったのでした。

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