本屋入門SWITCH!を終えて


2015年から2回開催してきた本屋入門。

お陰様で2回ともご高評をいただいて、卒業生による開業もいくつかあり嬉しい限りである
だが、3ヶ月にも及ぶ長期間のゼミとなるため、特に遠方の方など参加したくても出来ない方から凝縮版のようなものを開催して欲しい、という要望をいただいていた。そこで、2018年3月18日(日)に「本屋入門SWITCH!」という凝縮版本屋入門ともいうべきイベントを開催した。
内容は、前半部を講義、後半部をワークショップ(最後に発表会)に分け、前半では本屋のことを外部から30年見てきたどむか氏と内部から同じく長い間見てきたK氏による本屋の歴史、そして、本屋を含め様々なメディアについて詳しい「マガジン航」編集人の仲俣暁生氏に「いい本屋ってどんな本屋?」というテーマでお話いただいた。

後半では、前半の講義を受けて、自分にとっての「これから実現したい本屋の計画書」を2時間半かけて書くというものである。途中、小取次の八木書店さんや卒業生の親子絵本専門店NanuKさんのお話も伺いつつ、具体的に自分の中の欲望と対話し、「本屋をやりたい」というともすれば甘美な響きを伴う言葉に惑わされずに「自分が本当は何をしたいのか?」を明確にするよう注意深く伝えたつもりだ。

そう、重要なことは「欲望」である。

本屋という言葉には、内沼晋太郎氏の『本の逆襲』にもあるように、様々な意味を含んでしまっている。つまり、自分のやりたい本屋は、「本を売って生活する人(店)」なのか「本にまつわるなにがしか」なのかという問いがまず必要だということだ。


『本屋、はじめました』や『本屋がなくなったら、困るじゃないか 11時間ぐびぐび会議』などの本にある通り、粗利が22%という現状の条件の中では、個人で、新刊書籍一本での経営は難しいと言わざるをえない(もちろん例外はある。いつだってある)。そして、本は他に類を見ないほどの多品種少量生産の商品であり本を売ること一つをとっても専門的な技能を必要とする。


もし自分が目指している本屋が「本を売って生活するもの」だとするならば、生半可な気持ちでは出来ないということだ(古本屋では利益率を自分でコントロールできるが、新刊書店とは違う難しさがある)。

その前提に立った上で、仕入先の工夫や飲食や雑貨、イベントの導入、また古物売買など様々なオプションがあり、どういったバランスで経営を成り立たせるのかという視点が必要となる。

しかし、もし自分が目指している本屋が、本を売って生活するものではなく、本を置いたり並べたり集めたりすることで伝えたかったり残したかったり作りたかったりする何かだとするならば、考え方は変わる。

まず、主な収入源が本である必要がなくなる。それは開店日以外の日のアルバイトでもいいし、デザイナーなど本業が別にあればそれでも良い。以前にBOOKSHOP LOVERで紹介したBOOK LAB TOKYOのようにコミュニティビジネスのためのサービスとして本を並べたって良い。飲食店をしながら本を並べてもいいし、NPOとして運営しても良い。

重要なのは自分が何をやりたいか、ということであって、その答えとして「本屋をやりたい」では解像度が荒いということだ。

これは言い方を変えれば飯の種の話でもある。何をするにしても生きていかなければ仕方がない。飯の種=本であれば「本を売って生活する人(店)」であるし、飯の種=他の何かであれば「本にまつわるなにがしか」を志向していることになる。

(はじめは本を主な収入源にすることが難しいので、スタート時は他の収入源で生活しつつ徐々に「本を売って生活する人(店)」ということも、大いにあると思うし、実際にそうやっているところもたくさんある)

とはいえ、そのどちらが良いとか悪いとかそういうことではないと思うし、僕はどちらもが本屋だと思う。どちらももっと増えて欲しい。続いて欲しい。

と、まあそんなこんなを考えながら司会進行をしていたのだが、それが伝わっていたのかどうかは分からない。でも、結果としてワークショップ後の発表会では興味深い企画が多かった。受講前によりも具体的な本屋像が受講者の皆さんの中に描けるようになっていたからだと思いたい。

大きな手応えを感じたので、できれば、2回目もやれたら良いなと思う次第である。

今後、彼らがどうするかはわからないが、これから本屋として活動するならば全力で応援する。

祭りのあと



と、そんな感じで書いてきたが、最近は「である」調の方が書きやすいので何やら偉そうな文章になってしまった。お恥ずかしい。

何はともあれ、ご参加くださった皆々様に於かれましては本当にありがとうございました!

今後、本屋活動をする場合はぜひお声がけください〜!