【小説レビュー】原田マハ『楽園のカンヴァス』



手伝っている読書コミュニティサイト・本が好き!でやけに評価の高い作家・原田マハさん。一度は読まねば、ということで手をつける。

まず、あらすじはというと……

美術館の監視員である主人公・織絵が、とある事情からルソー展に関わることになる。その理由は彼女の過去にあった。昔はルソー研究で世界的に有名な研究者だったのだ。物語はそこから過去に戻り、ルソーの幻の名品「夢をみた」の鑑定を彼女と、もう一人の登場人物〜とが行うことになったその一部始終が語られる。果たして誰もみたことのない幻の名品は本物なのか?

こんな感じの内容。

過去の話がメインなのだが、さらに物語内物語として、ルソーを描いた話が語られる。まったく意識していなかったけれども、ブログには書いていないが以前読んだ『月と六ペンス』の主人公のゴーギャンと同時代人である。本作の物語内物語で登場するルソーと『月と六ペンス』のゴーギャンのキャラクターが当たり前だけれどもまったく違いすぎて面白かった。

話は変わるが、同じ日に読んだ『アラビアの夜の種族』と本作にも共通点がある。「夢」が重要なファクターである点だ。前者は禍々しくも妖しい魔術的なものとして、後者はルソーの魅せられた美として描かれている。こちらはモチーフだが、同じモチーフなのに著者によってこんなにも使われ方が違うのかと驚いた。

不思議な共通点を感じた読書体験をさせてくれた本書『楽園のカンヴァス』。途中から話は若干分かってきたものの、そんなことを気にさせない文章で、特にラストの一文を読んだときは「良い物語を読ませてくれてありがとう」と感じ入ってしまった。