【書評】古川日出男『アラビアの夜の種族』

いつかどこかで勧められて読んだ。1巻を読んだのは1年以上前で2巻3巻は続けて。

粗筋だけさらっとまとめておくと、

カイロの要人がナポレオンがエジプトに攻め込むことを知り、対策を練る。軍事的な何や彼やもありながらも、一つの策に辿り着く。それは、ある物語を書いた本を読ませる事ができれば大丈夫だろう、というもの。その物語とは……一千年の時を超えた怪しく数奇な3人の人間が紡ぐものだった。

とても惹きつけられる物語なのだけれども、古川日出男さんの作品はいつも文体が自分にとって特殊に感じられて読むのに一瞬のためらいが生まれる。以前読んだ『ベルニカ、吠えないのか?』も内容は良いのに没入があまりできずにどこか距離をおいて感じられた。

前の文章と矛盾しているようだけれども、本作では「ベルニカ」よりもはまり込む事ができた。理由は舞台がアラビアで、語り手の物語を聴く、という形式だからかもしれない。いつもなら感じられる引っ掛かりがオリエントな雰囲気を逆に醸し出してくれたからだ。

作者あとがきによれば何巻から読み始めても構わないそうだが、僕は1巻の暗く妖しい感じがお気に入り。

寝物語にちょうど良いとなんとなく思った。