【書評】絲山秋子『沖で待つ』

沖で待つ

絲山秋子さんが群馬の絵本屋・フリッツアート・センターで定期的に仕事をするらしい。その名も絲山房。ぜひ取材したいと思い手に取ったのが本作『沖で待つ』。作品の中でどれを読もうかと思って探したところ芥川賞受賞作が収録とのことで決めた。

そういえばSFでない小説を読むのは久しぶりである。絲山秋子さんの小説は初読ということもあり期待して読んだらこれがまた期待を超える面白さであった。

いや「面白い」というのとはちょぅと違うかもしれない。本書『沖で待つ』は表題作であり芥川賞受賞作でもある同作と、「勤労感謝の日」、「みなみのしまのぶんたろう」を収録した短編集。

基本的には「はたらく人」が主人公で「沖で待つ」と「勤労感謝の日」は女性、「みなみのしまのぶんたろう」は男性が主人公だ。

細かいところは省くとして、全体を通して思ったのは「小説を読む時間というのはこうもゆっくりした時間が流れるのだな」ということ。なんだろうか。ここのところ無くしている心の余裕が少しだけれど補給できるような。

豊かな読書体験だった。