「人が〈よりよく〉生きていくこと」のための本屋Titleが荻窪に来年オープン!

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独立系の新刊書店がオープンする!

この嬉しい知らせを聞いたのは11月頃だっただろうか。

しかも、聞くところによるとリブロ池袋本店でマネージャーとして働かれていた方だという。しかも経歴を調べてみると地方の中核店で店長を歴任されてきた方。そんなすごい人がなぜこのタイミングで独立したのか。

新刊書店「Title」はJR中央線荻窪駅から徒歩10分ちょっと歩いた場所に2016年1月にオープン(1/10前後を予定)する。

店主の辻山良雄さんに話を聞いた。

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「人が〈よりよく〉生きていくこと」のための本屋

和氣 まず、Titleについてお伺いします。具体的にどんなお店になるのでしょうか?

辻山 まず、いわゆるセレクトショップではありません。ベストセラーも雑誌も置く普通の本屋です。ただ、その中にもzineや古本、雑貨、オリジナル商品などを置くことで遠くからでもお客様が来てくださるような店作りをしようと思っています。

1階の手前部分が本屋。奥のカフェは店にいる時間をゆっくりと楽しんでもらいたいと思って作ることにしました。ブレンドは浅煎りと深煎りから選ぶことができ、コーヒーの他にもお酒や簡単な食事もお出しいたします。

2階は小さなギャラリーです。イラストレーターや写真家などの生の作品、漫画家・作家の原稿など何でも見せようと思っています。さらに、このスペースでは、読書会やワークショップなどで使ってもらったり、小さな古本市や蚤の市なども行えればと目論んでいます。そしてトークイベントなども積極的に行います。

※ カフェには未会計の本の持ち込みは不可。Titleで選んだライブラリーにある本は自由に読める。

和氣 開業を荻窪にした理由は?

辻山 中央線沿線の西荻窪から三鷹で探していました。本屋が集まっている西荻窪が最初は良かったのですが、乗降客数が少ないということと、家賃が高かった。そこで、さらに調べてみると現在の物件が見つかったんです。

Title 外観

もうひとつ。ブログにも書きましたが「生活」が残っているところが気に入りました。

どうしてもこの駅・この町に出したいという事ではなく、なんとなく共感しているというイメージ。中央線のその辺りは以前からよく訪れていた場所で、新しい店が多い割には、土くさい雰囲気がどことなくあり、「生活」が残っているという感じで気に入っていました。

物件探しの顛末(前編)より

和氣 品揃えについてお伺いします。「生活」の本に力を入れるとブログにありますが(以下引用)、なぜこのコンセプトになったのでしょうか?

ジャンルは満遍なく取り揃えますが、Titleが特に力を入れるのは「生活」の本です。Titleでは生活を「人が〈よりよく〉生きていくこと」だと考えました。衣・食・住はもちろん、文学や哲学、芸術、社会、ビジネスも「生活」の本と言えるでしょう。日常の様々な場面において、その人がよりその人らしくいられるための本、そうした本とは何だろうと考えながら、店に並べます。子どもが手にする本も、店の大きさからすれば多いと思います。『コロコロ』や『りぼん』も町には欠かせません。

こんな本を、おもに並べますより

辻山 これは開業を決意する前、書店員だった頃からぼんやりと考えていたことを言葉にしたものです。抽象的ですが、いざ開業するとなったときに言葉にしたらこうなりました。

例えば、私が若いときは、何かをやりたいと思ったときには本を読んで勉強しましたし、自分の考え方を定めるためにというか自分というものが出来上がる過程で本を読んでいました。

そうやって人生を歩んでいる中でそれぞれ大切にしている本があります。それらの本は本屋さんの何処かに並んでいる。これって本屋はそのまま「その人が生きるということ」につながっているということだと思うんです。

食べることも生きることだし、哲学を考えるのも生きることです。いろいろあるとは思うんですけど、生きることすべてに本屋は関わっていける気がしていて。一般的な生活という言葉の意味とは違いますが、「地に足ついた」と言いますか。「そのひとそのひとの生きることを良くするということ」が私の考える「生活」です。

和氣 以前のインタビューを読みましたが、そこに「本は格好いいものであるとか、本を読む事自体が格好良い行為であるとか、そうした流れを作っていきたいと思います」(東京都豊島区「リブロ池袋本店」──書肆探訪③より)とありました。その思いは「Title」にも引き継がれているのでしょうか?

辻山 いま世の中がすごく軽くなっていると思います。難しいことが敬遠されがちになっているというか。

ですが、あることにのめり込んだりとか自分自身になるための読書や思索といった時間は大事ですし推奨されるべきです。そういうひとりの時間も大事なんだという流れを作りたい。

でもそのためには、ひとりで本を読んでいる人を見て「あのひと暗いね」って言うよりも「あのひとカッコいいね」と言われるようにしないとそういう方向に行かないと思います。

そのためにもパッケージをカッコ良くしたりとかスマホをうまく使ったりなど。そういうことが必要かなと思っていますね。

リブロから独立したのは分からないことをやりたかったから

和氣 お店についてお伺いしてきましたが、そもそも独立された理由は、やはり、お勤めになっていたリブロ池袋本店が2015年7月に閉店したからでしょうか?

辻山良雄さん(以下、辻山) それだけじゃなくいろいろな理由があります。
ON READINGさんやブックスキューブリックさん、火星の庭さんなど個人で開業されている本屋さんと話すことが多く抵抗が少なかったというのもひとつの要因ですし、大きな組織の中で、自分の先が見えてしまうと楽しくなさそうだと思ったということもあります。閉店はひとつのキッカケですね。実は、辞職を願い出たのも閉店を知る前でしたし、流れの中で気が付けば独立していたというのが本当のところです。

和氣 転職という道は考えなかったのでしょうか?

辻山 考えませんでした。会社が嫌いで辞めたわけではないんですね。会社には良くしてもらったと思っています。それよりも、自分が分からないことをやりたかった。例えば、個人で会社を興す(辻山さんは株式会社タイトル企画という会社を2015年11月2日に設立している)とかです。はじめてやることって楽しいじゃないですか。

和氣 あたらしいチャレンジをされたかったんですね。

最後に、BOOKSHOP LOVERの読者には本屋の開業を目指している方も多いと思いますので、開業したい人に向けて一言お願いします。

辻山 「お金になるならない」や「楽しい楽しくない」などいろいろなモノサシで測ってみても、開業したい人はすると思っています。別に死ぬわけじゃないんだから。楽しく生きればいいと思いますよ(笑)

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ここに書ききれなかったこともTitleではたくさんやるようだ。「新刊本も古本も、本を売る事だけでなく並べる事や作る事も、とにかく本を扱っているところなのですよ」という気持ちから、雑誌をつくることもしてみたいという。

「人が〈よりよく〉生きていくこと」=「生活」の本を揃える本屋Title。

新年のオープンが楽しみだ。

【店舗情報】
店名:Title (タイトル)
住所:東京都杉並区桃井1-5-2
営業時間(予定):11:00~21:00(CaféのL.O. 20:00)
イベント時はクローズする場合あり
定休日:毎週水曜・第三火曜
URL:http://www.title-books.com